芽が出た!ぴぃの大発見と、まごじいの金言
朝――
納屋の裏。昨日、日向に並べた卵パックの前に、モフモフが正座していた。
「……タロー?」
ぴぃ……
「なんか、いつにも増して神妙だな……」
たすくが近づいた瞬間、
「ぴぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!!!」
耳がビリビリする大音量の雄叫びが畑じゅうに響いた。
「お、おい!?なにごと――」
タローが鼻先でぴょいっと示す。
そこに、あった。
小さな、小さな――緑の芽が、ちょこんと顔を出していた。
「……出た。出てる。芽……出てるぅぅぅ!!」
たすく、謎の舞いを踊る。腰にくる。
「ぅいってぇぇぇぇ!!」
ぴぃっ!(ぴょんぴょん!)
タローもぴょんぴょん跳ねながら、卵パックのまわりをぐるぐる回る。
「よしっ!!収穫――」
「まだじゃ」
「えっ」
ぬるっと現れたのは、杖をついたまごじい。
「芽は急かすもんじゃない。
今はな……“そっと見守る”んじゃ」
「は、はい……」
まごじいは、土に膝をつき、そっと芽を見つめた。
「芽が出る。それはな、土と水と光と、何より――お前たちの“気配”があったからじゃ。
命はな、見てるんじゃよ。ちゃんと見守ってくれる誰かがいるかどうかをな」
たすくも、黙ってうなずいた。
「よっしゃ……よし、タロー。俺たち、これから芽を育てるチーム結成な」
ぴぃっ!(キメ顔)
「名づけて、“芽育隊”だ!!」
「名前がダサいのぅ」
「すみません師匠!!!」
ぴぃぃぃっ!(めっちゃ跳ねる)
*
その後――
タローはモーさんを連れてきて、芽を見せびらかしていた。
モーさんは鼻先をふぉーっと寄せ、あたたかい息を吹きかける。
鶏たちもわらわらと集まり、芽のまわりで首をかしげながらコケコッコ。
「……なんだろ、家族ってこういうのかもな」
たすくがぽつりとつぶやいた。
誰かが芽を喜んでくれる。
それが、こんなにうれしいとは知らなかった。




