表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モフモフ猫魔獣に転生した私は、イケメン公爵にモフモフ可愛がられるだけのスローライフが待っていました。【連載継続】  作者: 逆立ちハムスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/51

暴かれた秘密と憩いの場

「……ふぅ。今夜のマタタビ・ポーカーも、なかなかのレートだったわ」


深夜、最高評議会の定例集会を終えた私は、夜風に吹かれながら公爵邸へと戻ってきた。誰もが寝静まった静寂の中、忍び足で自室へ向かおうとした、その時だった。


(……!? 誰か来る! 猛スピードで!)


暗闇の向こうから、凄まじい勢いで何かが突進してくる。幽霊か、はたまた暗殺者か。身構えた私の前に現れたのは、振り乱した髪に、血走った瞳のカトリーナだった。


「ステラーーー!! わたくし、ついに! ついに突き止めましたわよ!!」


「ふぎゃっ!?(ちょ、苦しい!)」


返事をする間もなく、私は強烈な力で抱き上げられ、骨が鳴るほどのハグを受けた。あまりの気迫と圧迫感に、私の意識は一瞬遠のき、酸欠で半失神状態に陥る。


「カトリーナ! それは本当か!? ついに特定したというのか!?」


突如、廊下の向こうの扉がバァン! と蹴破られ、レオヴィルが叫びながら飛び出してきた。どうやらこの兄妹、一睡もせずに何かを共謀していたらしい。


「本当ですわ、兄様! ご覧なさい、この調査結果を!」


カトリーナが広げた羊皮紙ノートには、驚くべきことに私の「交友関係」が、挿絵付きで詳細に記されていた。

『銀色の鋭い眼光の猫(通称:ギル)』

『食欲旺盛な灰猫(通称:モグ)』

『熱心な信奉三毛猫』(通称ララ)』

『色香漂う妖艶なペルシャ猫(通称:プリシラ)』

『片目に古傷を抱える黒猫戦士』(通称ドン)』


(……ストーカー!? 完璧なストーカーじゃない! どこで、いつの間に調べ上げたのよ!?)


「なるほど……。この銀色の猫が、ステラの『用心棒』的存在か。そしてこのペルシャ猫が、ステラの『社交界の指南役』だな……。カトリーナ、よくやった。これは我が公爵家の存亡に関わる重大な情報だ」


「ええ、兄様。ステラの友人たちを味方につけることこそ、ステラの心を真に掴む近道ですわ!」


二人は廊下に座り込み、まるで隣国との戦争計画でも練るかのような、深刻かつ真剣な表情で猫友リストを分析し始めた。


(……バカバカしくて付き合ってられないわ。勝手にやってなさい)


私は酸欠でフラフラになりながらも、隙を見てカトリーナの腕から脱出。呆れ果てて白目を剥きながら、ウルルの待つ、自分のふかふかベッドを目指し、そしてダイブでベッドに潜り込んだ。


────


翌日の昼下がり。

昨夜の騒動は夢だったのかと思うほど、私は幸せな三度寝を満喫した。ルンルン気分で最高級のサーモンパテを平らげた私は、「さて、みんなに昨日の戦利品マタタビでも配りに行くか」と、いつもの裏庭へ向かった。


だが、裏庭に足を踏み入れた瞬間、私の足が止まった。


「……え? な、なにこれ……。私のお気にの裏庭が……消えてる?」


昨日まで、ただの芝生と植え込みだった場所には、信じられない光景が広がっていた。

そこに出現したのは、大理石と金細工で飾られた、平屋建ての「猫専用・豪華絢爛ギルドハウス」だった。


柱には爪研ぎ用の最高級麻紐が巻き付けられ、屋根には太陽光を効率よく集めるための魔法の集熱板。内部には噴水から流れる循環式ミルク(!)の泉があり、至る所にシルクのクッションが敷き詰められている。


(……嘘でしょ。半日。たった半日で、こんな国家予算級の建物を建てたっていうの!? 公爵家の建設部隊、ブラック労働どころの騒ぎじゃないわよ!)


建物の中では、すでにギルメンや最高評議会のメンバーが、我が物顔ではしゃぎ回っていた。


モグは「ここ、どこを歩いてもおやつが落ちてるよぉぉ〜!」と、自動おやつ供給機の前で顔突っ込みながら、狂喜乱舞している。

無関心を装っていたギルでさえ、特注の「研ぎ味抜群の丸太」を前に、隠しきれない興奮で爪をバリバリと立てていた。

プリシラは、最も日当たりの良いテラス席の特等席で、琥珀色の瞳を細めてくつろいでいる。

そして、端の方ではドンが、ルールを知らないギルメン猫たちに「いいか、これがババ抜きだ」と、ドスを利かせた声でトランプの英才教育を施していた。


「ステラ様! 素晴らしい場所ですわね! これもすべて、ステラ様の威光の賜物ですわ!」


ララが目を輝かせて私の元へ駆け寄ってきた。彼女の背後では、物陰からレオヴィルとカトリーナが「ふふふ……友人たちを籠絡ろうらくする作戦、大成功ですわね」「ああ、これでステラは、もうこの屋敷から一歩も出られなくなるぞ……」と、不敵な笑みを浮かべて密談している。


(……みんなが楽しそうなのは良いことだけど。これ、完全に『外堀から埋められてる』わよね)


私は、豪華すぎる猫ハウスの眼下で、かつてないほど真っ白な白目を剥いた。

自由を求めていたはずなのに、気づけば、私の周囲には最高に居心地が良くて、最高に逃げ出しにくい「ユートピア」が完成しつつあった。


私は、ララに引かれるままにミルクの泉へと向かいながら、この屋敷の異常なスピード感と執念に、改めて戦慄を覚えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ