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リベンジマッチ編

https://44163.mitemin.net/i849323/挿絵(By みてみん)

綾小路文香、二年前の中学一年生。


私は、一年生ながらにして、生徒会文化委員長に立候補することにした。




「相手は優也くんか。負けちゃったね」


大親友の有希ちゃんから、既に「負け」宣言されてしまった。親友の筈なのに、戦う前からひどい仕打ちだった。




「有希ちゃん。菊池先輩を知ってるの?」


「良く知ってるよ」


「どんな人なの?」


「めっちゃ凄い人だよ」


「・・・有希ちゃんのお兄さんって、今度生徒会長に立候補するんでしょ。お兄さんと比べてどっちが凄いの?」


「断然、優也くんだね」


「・・・そんなに凄いの?」


「完全完璧に凄いよ」


「何がそんなに凄いの?」


「・・・とにかく凄いんだって」




私は、どうしても有希ちゃんの言葉を受け入れられずにいた。


凄い凄いと言われても、全然そんな風には思えないのだ。




生徒会長に立候補する有希ちゃんのお兄さんの方が、よっぽどすごい人に見えてしまう。


私は「有希ちゃんのお兄さん以上に凄い人なんかいるわけがない」と完全に決め込んでいた。




でもしかし、そんな私の甘い考えなんか一瞬で粉々に打ち砕かれるのだった。


菊池優也先輩は、有希ちゃんの言葉通りに本当に凄い人だった。





ありえないくらいの惨敗だった。


私は二年生の立候補者、菊池優也先輩に完膚なきまでに叩きのめされた。


 投票直前に担任の先生が、「相手は二年生で強敵だけど、せめてウチのクラスの皆は綾小路さんに投票してあげてくださいね」と言われていたのだが、クラスの人数分さえも票を集めることが出来なかった。



今更ながらに自分でも無謀なことをしてしまったと思っている。




 本当に有希ちゃんの言ったとおりの相手だった。勝てるとは思っていなかったが、正直ここまで差がつくとは思っていなかった。



 しかし、もし投票前の担任の先生のあの一言が無かったらと思うと、肌にあわを生じてしまう。あの先生の一言が無ければ、おそらく私の票は、二桁にも満たなかっただろう。いや、それどころが、自分だけの一票になってしまっていたという究極の結果になる可能性さえあったと思えてしまう。




 負け方が悪すぎる。周囲の人は「相手が悪かった」と言ってくれる人はいたが、こんなに惨めなことは無いのだった。学校では気丈きじょうに振るまっていたが、家に帰ると涙が止めどなく溢れてきてしまう。れあがったその目は次の日も引かず、ついには学校を休んでしまった。




こんな思いをしながらも、私は菊池先輩のどこが凄いのかが分からなかった。







あれから一年が経過し、生徒会選挙のシーズンが再びやってきた。


 どうしても文化委員長になりたい文香は、再度文化委員長に立候補したが、またもや今回も強敵が立ちはだかった。なんと五十嵐君が対戦相手として、文化委員長に立候補してきたのだ。



五十嵐君と言えば、生徒の間でもとても人気がある生徒だった。現生徒会の副会長でもあり、本来であれば、生徒会長に立候補しても当選するだろうと思われるほどの実力者だった。




「相手は五十嵐君・・・」




 誰も何も言えずにいた。


 既に敗戦が濃厚な気配が周囲を漂わせている。文香自身でさえ、おぼつかない顔をしてしまっている。



しかしそんな絶望的な状況にあっても、全然諦めていない女の子がいた。




「優也くんに応援演説をお願いしようよ。そうすれば絶対に当選できるよ」




 大親友の小松有希こまつゆきが提案してきたのだ。


 有希ちゃんは、菊池先輩のことを良く知っている。彼に頼めば間違いないというのだ。




でも文香はとても迷っていた。というかこんなの無理に決まっているのだった。昨年戦いを挑んでボロボロに負かされた相手に対して、自分の応援演説を依頼するなど、こんなこと考えたこともないのだった。



有希ちゃんのその発想が私には信じられないのだった。




でも、ひょっとして、もし本当に菊池先輩が私の応援演説を引き受けてくれたとしたら・・・と考えてしまう自分がいる。




でもしかし、本当にそんなことが可能なのか。


上級生とまともに話しをしたことすらない私が、菊池先輩に応援演説を依頼するなんてことが本当にできるのか。




「そんなの無理に決まってるって。菊池先輩とは何の面識めんしきもないのに引き受けてくれるわけないよ」


「そんなことないって。優也くんはとっても優しいから絶対に引き受けてくれるって。善は急げよ。今ならきっと生徒会室にいると思うから」





 兄が生徒会長をしている有希は、生徒会メンバーが生徒会室に居る時間をほぼ把握している。


 文香は心の整理がつかないまま、半ば強引に有希に引っ張られるようにして教室を出てしまった。




何かが起こる予感がした。


今まで経験したことの無い、これからとんでもないことが起こるような、そんな予感がする。




有希ちゃんに手を引っ張られながら校舎を出ると、爽やかな秋の風が全身を包み込んできた。




不安から期待へ。そして夢を実現するために、私が今やるべきことは一つだった。




もう迷ってはいられない。


初めは有希ちゃんに手を引っ張られていたが、生徒会室の入り口に到着するころには、二人は並んで歩いていた。




有希ちゃんのとんでもない提案とその行動力によって、文香の人生が大きく変わろうとしていた。


文香は扉を開き、有希ちゃんと一緒に生徒会室に足を踏み入れた。


イラストは、有希ちゃんに引っ張られながら、優也くんのいる生徒会室に向かっていく所です。

AIイラストを使用しました。

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