36 フィールドワークです。
合宿後半に入りました。もうそろそろ終わりです。
僕たちのグループのフィールドワークは事前に決めていた通りに、午前中に島で有名なお弁当屋さんで昼ごはんを買った後、登山となっている。
登山と言っても頂上を目指すわけではない。2、3時間程度で登れる様に道中が整備されているその目的地は、島の中でも1位2位を争う絶景スポットとなっているそうだ。
そこでお昼食べてから下山し、温泉の源泉の付近で無料開放している足湯に浸かりながら時間まで過ごすと言った内容だ。
「よし、皆んな準備出来たか?」
「大丈夫。」
「それじゃ、しゅっぱーつ。」
司は昨日の事が嘘の様にいつも通りのあざと可愛いを体現していた。結局、あの事を知っているのは僕と姉さんだけで、周りに心配をかけたくないと言っていたために黙っておくことにした。
姉さんが後で言っていたけど、あのまま何も無しで引き下がる可能性は低いらしい。もしかしたら僕たちも巻き込んで何か仕出かすかもしれないので注意しておくようにしよう。
「ん? 周りを気にしてどうした紫苑。」
「なんでもない。」
「そうか。逸れるなよ。」
「うん。」
最初はバスに乗ってお昼のお弁当を買いに向かう。
「それにしても色々充実してるよね、この島。」
「この島には在住している人が多いようだね。」
「これだけの設備だ。管理するために人は必要だろう。」
「シーズン時期の相場見た? 僕のお小遣いじゃとても行けるような額じゃなかったよ。」
「そうか? 割と大丈夫だろう。」
「私も大丈夫かなぁ。」
「僕も多分大丈夫。」
「私も余裕だね。」
「君達の金銭感覚やばくない? 雲雀様はともかくとしても、マモル君達はいくらお小遣い貰ってるの?」
「俺は実家で働いているからな。その働きによって俺に配分されている。大体月5、6万ぐらいか。」
「私は何もしてないけど、たまにエリちゃんのお手伝いしてるだけで、私は8万ぐらいかな?」
「僕はカード貰っただけ。幾らかは知らない。」
そういえば本当にいくらあるんだろう。結局確認するの忘れてた。
「……そうだった。ここは金持ちの集まる場所だった。」
「そう落ち込まなくても大丈夫さ。」
「ちなみに皆んなの家業を良ければ教えてくれない?」
「俺は実家が老舗の料亭だ。」
ご飯美味しかったなぁ。また食べに行きたいな。
「私はよく知らないけど、コンサルタントの仕事をやっているみたい。」
コンサルタントて何だろう。
「なるほどね。それなら納得だね。紫苑ちゃんは?」
「僕は自分で稼いだ?」
「なんで疑問形なの?」
「カード貰った時にそう言われた。」
「んー、よくわからないけどいいかな。」
「確か雲雀の所は美容関係全般を手がけているんだったか?」
「そうさ。女の子には欠かせない物を取り扱っているから、君達にはお世話になっているかもね。」
姉さんが使ってるのって雲雀の所が作ってたのかな?
「私もいつも使ってます。」
「僕も僕も。」
「それはありがとう。」
「おい、次でバスを降りるぞ。」
「ほーい。」
バスの中で話していたらあっという間に最初の目的地に着いた。ここのお弁当は値段はそこそこ高いが、どの惣菜も一級品で人気があるみたいだ。
時間をかけて悩んだ末に手毬寿司と鰻のちらし寿司弁当に決めた。お寿司は食べた事が少ないのでこれにした。生物が入ってるけど、僕の力を使えば腐ることは絶対にないから安心だな。今から楽しみだ。
「よし、皆んな買ったな。これから登山もとい散歩みたいなものだ。整備されているとはいえ足元には注意しろよ。」
「大丈夫だよ。このために専用の運動靴を履いてきたからね。」
出発前から皆んな学校指定の体操着に着替えていたので、弁当をリュックに入れて目的地を目指す。
「登山なんていつぶりだろう。」
「僕は中学校の時に登ったのが最後だなぁ。」
登山のルートはジョギングにも使われているため、人がちらほらといた。周りを木々に囲まれていて新緑が太陽の光を浴びて出来た木漏れ日が美しい。
「私達の中学校は無かったね。もともと中学時代はあまり自由が無かった気がするね。」
「そうだな。俺達は何処に行くにも多くの人が付いてきて自由が無かったな。高校に入ってからはむしろ自由になり過ぎている気もするがな。」
「そうなんだ。僕は高校からだから知らなかったよ。」
周りを自然に囲まれているのはなんだか心地いい。精霊だからかな?
「それにしても、やっぱり少し肌寒いね。」
「そうだね。一様暖かい飲み物を用意しておいたから欲しい時に言っておくれよ。」
「流石雲雀様ですね。用意周到です。」
終始和やかな雰囲気で目的地まで到達した。早くお弁当を食べよう。
「ふぅ、到着。うわぁぁ〜! いい景色だね。」
「本当だな。」
景色よりご飯が先。
「じゃじゃーん、こんな時の為に自撮り棒を持って来ました。」
「何それ。」
「紫苑君は知らないのかい? これはスマホで自撮りする為の道具だよ。」
自撮り? 携帯にカメラ機能なんてあったの?
「よし、背景をバックに記念撮影するか。」
むー、ささっと終わらせてお弁当食べよう。景色はその後で。
「はい、集まって。」
司が真ん中で左右にコサキと僕で後ろにマモルと雲雀が寄ってきた。
「撮るよー、ハイチーズ。」
後ちょっと




