閑話1
本編とはあまり関係ないので読み飛ばして貰っても構いません。
[楠家の一コマ]
紫苑たちが生まれて間もないころの楠家は騒然としていた。
「おい聞いたか、牡丹様達に子供が出来たそうだ。しかも、双子だとよ。」
「本当か!だがお二人はどちらも女性なのに一体どうやって?」
「そんな細かい事を考えても仕方ないわよ。あの方達は私達の常識なんて通じないわ。」
「それでな、何でもお世話係をしてくれる人を1人だけ募集しているそうだ。」
「なんと!それは誠か!?」
「おーいお前ら。当主が大広間に集合しろって言ってるぞ。」
「「「「承知。」」」」」
大広間では全員が集まっていた。そこでは双子の話題で持ちきりで当主からの報告を今か今かと待っていた。
「静かに。つい先ほど牡丹様からご連絡をいただいた。何でも産まれたばかり双子のお世話係を任せたいそうだ。」
「「「「おおぉぉぉー!」」」」
「待て待て、まだ続きがあるのだ。なんでも、お世話係は女性限定で最も優秀な者を1人までだそうだ。」
「「なん…だと…。」」
「「おしゃぁぁぁーー!!」」
男性はそのまま崩れ落ち、女性のテンションは舞い上り雄叫びを上げていた。
「今から切り落として女性になれば問題無いのでは…?」
「おい!誰でもいいから悠人の阿保を止めろ。」
男性陣は悠人の奇行を押さえるために、女性陣はお世話係争奪戦を開始していたりと混沌としていた。
争奪戦は知力武力を競い合い、壮絶な戦いを勝ち抜いた薫子が無事お世話係に就任したのであった。
優勝コメント 「可愛いは正義」
[楠家の一コマ 2 ]
ショピングモールの後日談
「ついにこの時が来たか!紫苑様とゆり様の成長記録をこの目で見る事が!!」
「全く、お前たち兄妹だけいい思いしやがって。俺にも合わせろや。」
「そうよ。私だって会ってお話ししたいわ。」
「すまん、すまん。これで今は我慢してくれ。」
薫子から渡された成長記録の写真鑑賞会が開催され、興奮と熱狂に包まれて、日をまたいでも終わる事は無かった。
[楠家運営の会社の一コマ]
snow white corporation 略してSWCは芸術品、骨董品などを主に販売買取をしている会社だ。その他にも美術館、博物館も管理運営も担っている。世界規模で展開しているために日本にも支部が存在していた。
「久しぶりにsnow whiteの水彩画が届いたぞ。」
「よっしゃ!なら次の美術館の目玉は決まりだな。」
「やっぱりsnow whiteの新作があるだけで集客率が変わるからな。」
「その界隈では有名人だもんなぁ。」
「snow whiteもそうだけど、lily宛ての作曲依頼も大概やばいよな。」
「お二人の収入だけ桁が違うよ。」
「全くだ。」
「「一目でもいいから本人を見てみたいなぁ。」」
その他にも謎のデザイナーなどのおかげで、大企業と遜色ないほどに有名な企業となっている。
[とある男子中学生の追憶]
今日は志望校である猫柳高校の入試だ。同じ中学生で知らない人はいないだろう。私立の中高一貫校で中学の頃から通っている人は基本的にお嬢様や御曹司ばかりと有名だ、中には例外もあるみたいだが。
この学校には高校時に編入試験で一般の人にも通うチャンスがある。ただ偏差値の高いところが難点だ。それでも特待生は学費のほとんどを免除されるなど等の恩恵がある他に、スポーツにも力を入れているので最新鋭の設備が揃っているなどの魅力的なものが多いため、倍率が5倍とか当たり前だ。
今回は俺と同じ中学校でここを受験した奴は俺を含めて2人だけだった。
「偏差値が高いから眼鏡のがり勉ばっかりかと思ったが、意外と可愛い子いるな。」
「周り見ている余裕あるってお前中々図太いな。」
「お前が気を張りすぎなだけだよ。もともとダメもとで来てるようなもんだし。」
はぁ、なんでこいつはやる気ないんだよ。そんなに仲良くないから何とも言えないけどこっちのモチベーションまで下がるというか、何というか。
「もうそろそろ始まるから移動しようか。」
「確か教室は別々だったな。じゃ、お昼はフリースペースに集合な。」
「了解。」
教室に入ると最後の見直しをして時間ぎりぎりまで詰め込んだ。午前中のテストはもともと勉強してきたのもあって手ごたえは上々だった。最後に見直したところが出てきたのは運が良かった。残りは得意教科の英語だから余裕だな。さてと、待ち合わせ場所に向かうかな。
「よう。テストどうだった?俺はいい手ごたえだったよ。」
「……。」
「おい。おーい!どうしたんだよ。」
「天使にあった…。」
「は?頭でも打ったのか?」
「俺の教室に天使がいたんだ…。」
「現実逃避か何かなのか?とりあえず飯食って次のテストの見直しでもしたいんだけど。」
「お、おう。」
もしかしてこいつ電波とかいうやつだったのか?あほらしい。ほおっておいて飯食べておこう。暫くお互いに無言で食べていたら、今度は進んでいた箸の手がピタリと止まって一点を見つめて動かなくなってしまった。なんか心配になってきたんだが。
「さっきからなんか変だぞ、大丈夫か。」
「あれ…。」
ん?指差す方を気になって見てみると、普通の女生徒が2人仲良くお弁当を食べているところだった。
「なんだよ。普通の女生徒しかいないんだけど。」
「もう一回、もう一回だけ確認してくれ!天使に変わっているはずだから。」
「また意味の分からんことを…。えっ?。」
ばれないようにもう一度確認すると誰かに殴られたような衝撃を受けた。本当だ!天使だ、天使がいるぞ!!なんじゃあれは!?
不健康に見えない程度の白い肌に、ぷるんとした瑞々しいピンクの唇。瞳は吸い込まれるような紫色で日本人特有の黒髪は枝毛の一つもなく輝いていた。一瞬、日本人かと思ったが顔立ちが西洋風ためにハーフだと予想する。
天使のビスクドールと言っても過言ではない容姿に惚けていたら、強制的に顔を戻されて現実に帰ってきた。
「な!な!!やばくないか!?くっそおぉぉーーー!!もっと真面目にやっていればあの子と同じ高校生活を送れたはずなのによぉ。」
「そんなこと言ってもあの子が受かっているとは限らないだろ。」
「いや、絶対に受かってるはず。なんせテストを早々に終わらせて寝てるぐらいだし。」
「マジか。テスト終わったら声掛けてみようかな。」
「はっ、抜け駆けはさせないぜ。それより勉強教えてくれよ。」
「何を今更。」
「俺は決めた。ぜってーこの高校に受かってあの子とデートするんだ。後期にまだチャンスあるだろ?」
「後期とか倍率も難易度も更に上がるが大丈夫なのか?」
「だから、勉強教えてくれ。頼む。」
「仕方ねえな。貸し一つだからな?」
「ありがとう!やっぱお前いい奴だわ。」
そうして俺は前期に、勉強を通して親友となった奴は有言実行で無事後期で合格していた。
そうして待ち焦がれていた、入学式が始まる。
久しぶりに風邪を引きました。




