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猫耳少女の素敵異世界勇者録  作者: apricoap
黒の勇者と赤の勇者
23/28

勇者三人と里帰り1

目的地が決まったらすぐに向かえばいいと思うでしょ?


世の中話そんな単純じゃなくてすぐに問題が見つかったんだ。


もちろんのこと冒険者の最前線であるスタブの街に学校の卒業生もいるわけで、その人たちに聞き込みしているとその学園都市パープルで活動するためにはやっぱり市民権がなければいけない。


基本的に自分の出身国じゃない街は通るぐらいならどうにかなるけど、3日以上の滞在なら市民権が必要というのがこの世界の基本的な法。


スタブの街も同じでだから冒険者が魔獣を狩らなきゃいけない間隔が3日になってたりする。


で、ここから聞き込みをした成果なんだけどその街に限り入る方法が二つ。


一つ目は学生として、二つ目は教師として。


学生としては絶対に嫌だってレオンがごねてたし、聞き込みの成果によると学生になるにしても推薦が必要なんだって。


そもそも、退学という響きがなんか嫌だというのは元学生の三人の共通見解だったりしてね。


消去法として教師としていけばいいってことになったんだけど学生になるより楽なわけもなく前途多難だったってわけだ。






「はい、まとめると学園都市に入るためには教師になるか学生になるかなんだけど……」

「学生はぜってーにいやだ」

「……とレオンがごねてるので臨時教師としての潜入を目指すよ」


「そして、学生ならばともかく臨時といっても教師になるためには学校の理事か貴族レベルの推薦状が必要ということは分かりました」


「有名学校には信用も必要だからね」

文化や技術が発達していないからこそ最も重要視されるのは信用なのだ。


「なんで推薦状のためには闘技大会に参加しなきゃいけないんですか!!」

魔物の活動が活発化する冬に開催されるスタブの街の名物である闘技大会。

元々は街が一番上の一層しかなかった頃に世界の傷から湧く魔物に対抗するために強い人を集めるために開催されたらしいが、今ではただの冬の入りの名物となっているらしい。

そんな大会だが参加するには問題が山積みだ。


そのうちの一つが……

「クルス的に弱体化しちゃうんだっけ」


「聖騎士《パラディン》の補正がなくなっちゃいますからね!!」

前では考えられないクルスの言葉に少しだけ苦笑いが漏れる。

そして、ついでに状況によって戦闘力が乱高下する難儀なクラスだという印象を確認しなおす。


でもこんなことで弱体化しなければ世の中には聖騎士《パラディン》が大量に増えるだろうと思うぐらい強いクラスなのだ。


本職には劣るけど常にすべての攻撃と防御、魔法に補正が行くとかチートクラスにもほどがある。


「せいぜいちょっと硬い治癒士《ヒーラー》一人と道具禁止のせいで役に立たない戦士《ファイター》一人のお荷物を抱えてレオンが勝てるとは思えません」


「力を合わせれば道は開けるものだぜ」


「相手も同じことをしてきますよ。」

レオンのそこそこいい言葉をバッサリと切り捨てるクルス。


「優勝する必要はないよ。ベスト8あたりまで残れば紹介状代わりとして十分だし、そもそも闘技大会の条件は5人だ。強いソロの人を2人見つけられれば可能性はゼロじゃない」

そんな人もう街にはいないだろうけどね。

「それに無理だったらこの街のそこそこ偉い人に賄賂でも何でも送って学生用の推薦書を書かせるから。レオンを黙らせて」


「約束ちげえぜブラック。漢と漢の約束は破っちゃならねえんだぜ」

慌てて椅子から立ち上がるレオンに向かってシスター直伝男をあとくされなく振る時のポーズを構えながら要意していた返しを放つ。


「今の僕は女なのでそんな理論は通じませーん。それに勝てばいいんだよ勝てば」

「それもそうか」

詭弁を使ったはずなのに意外とすぐに納得された。

これは勝てばいいところに納得されたのか、女は約束を守らなくてもいいと言うところに納得されたのかでレオンの頭の具合が分かる気がする。


「でさ、この街で探してもいいんだけど強い人は大体もうパーティ組んでるよね。こっちは一応街の外に釣れるかわからない戦士《ファイター》が一人いるんだけど、そちらはなんか候補ない?」

まあ、病気の母親の看病を甲斐甲斐しくする虎耳の筋肉男だ。

大会含めて往復2か月程度だし、命の危険もないから釣れる勝算はそこそこ。


「一応白の国の方に腕の立つ僧侶《モンク》が一人います。術師系なのでバランスの面でもいいかと。気は進みませんが」


「俺の方はいねえ」

レオンの答えが意外だった。でも1年もたたないうちに国を離れたらだれが強いかとかわからないのも無理ないかもしれない。


「両方成功したら一応5人か。最悪の場合は適当な人を雇うしかないとして、一度僕とクルスはここで別れておきますか。それで、レオンはどうする?」


「俺は帰りたくねえ。かってに飛び出してきちまったからな」

気まずそうな渋い顔をするレオンを見て今なら学校に入れられることもないんじゃないかと思ったが漢の情けで言わないでおく。


「あー、じゃあレオンはここに残る?それともクルスか僕についてくる?」

「うーん」

「それでしたらミーアの方がおすすめです。白の国は堅苦しいですからね」

腕を組んで悩み始めたレオンにクルスが助言をする。

国に住んでいる人もそう思うならきっとそうなのだろう。


「それじゃ、ブラックの方にする」


「いいところだからきっとレオン黒の国を気にいるんじゃないかな」

レオンがついて来てくれるのは正直戦力としてありがたい。

それに何しろ黒の国はこれでも前世に続く第二の故郷。

少しだけ自慢したい気持ちもなくはないのだ。


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