遊園地
遊園地に着いたらさっきまでのケイトの雰囲気はどこにやら。俺の手を引っ張ってあっちへこっちへ走り回った。疲れた。姪3人を同時に相手にする並みに疲れた。
「次何に乗る?」
「お前、もう少し休ませろ」
「何言ってんの!さっき休んだばっかりじゃん」
「じゃあもう一回」
「ダーーメ。じゃあ、次はあれ」
と、ケイトはジェットコースターを指さしやがった。くそ、俺を殺す気か。別に苦手じゃないからいいんだけどな。
「……ごめん、酔った」
「アホか。だからさっき休もうぜって言ったろ」
酔ったのは俺じゃない。ケイトだ。さすがハーフ。日本人にしては色白なので顔が真っ青なのが、よーーくわかる。
「ここに座ってろ」
「あんたは?」
「なんか適当に飲み物買ってくるよ」
「ありがと」
ケイトは椅子に座り、テーブルに突っ伏した。どんだけ酔ったのだろうか。
俺は近くの売店で飲み物二つを買った。
そして、ケイトのところに戻ると、さすが美人って言ったところかケイトが大っ嫌いなチャラ男二人組(いわゆるDQNってやつ)にナンパされていた。……ここはあれか?俺が彼氏のフリでもして追い払うのがいいのだろうか。やれやれだな。
「おーい、ケイトー」
「ん、遅いよーー」
マンガだと「彼氏持ちかよ」とか言って立ち去るのだが、俺に対して
「んあぁ?」
とか言って、ケンカを売ってきやがった。おいおい、DQNならここでおとなしく帰りやがれ。苦手だがある程度役を作るか。茶番は苦手なんだけどなクソヤロウ。
「なーに、人の彼女に手ェ出してんだよ」
「ふん、てめーが彼氏なのか。冴えない彼氏だな」
ここで俺の何かがキレた。明らかに冴えないっていう部分だけどな。
「ざけんな、ゴルァ!!」
DQNのみぞおちに蹴りを喰らわせてやった。見事に入っていった。メキメキって感じの感覚がした。
「ゴホッゴホッ!くそ!」
むせながらDQNは消えていった。
「ったく、ふざけんなあのDQNが」
「ケンカ、意外と強いんだな」
「いや、たまたまだ」
あれは相手が無防備だっただけで、ケンカとなればまた別物だ。
「ほれ、飲み物だ」
蹴り一発だけだったので、こぼれてはない。はずだ。
「中身何?」
「アクエリ、コーラのほうがよかったか?」
俺が持っている飲み物を前に出しながら言った。
「コーラ」
俺の手からコーラを奪い取り、飲み始めた。なんか飲んでいる顔がガキだな。
「はい、ごちそう様」
「飲むのはやすぎ。ションベン行きたくなるからな」
「女の前でションベン言うな」
「……シッコ」
「それもダメだろ。てか、そっちの方がアウトな気がする」
「じゃあ、なんだWCて言えばいいのか。これで満足か?」
「なんか、目的ちがってないか?」
てか、目的ってなんだ?
「よし、じゃあ次行こうか」
早くも立ち直ったケイトは立ち上がった。ちょっと待て俺にも休ませろ。
「しょうがないな。じゃあ、待ってあげる」
そうして俺は無事に休むことができた。まあ、その後連れまわされたのは言わなくてもわかるだろう。
最後になんやかんやで観覧車に乗ることになった。時刻は夕方。夕飯は家でとれるみたいだな
。それにしても最後に観覧者か。こんなこと実際に本当の彼女とやってみたいもんだ。
「ありがとな。今日は楽しかったよ」
「そうかい。そりゃ、よかった」
観覧車からの夕日はとても綺麗だった。
「夕日綺麗だな」
ケイトもどうやら俺とおんなじことを考えていたようだった。
「そうだな」
特に話すこともなく、二人で夕日を見ていたら、
「ねぇ」
「ん?」
「一つ言いたいことがあるんだけど」
「なんだ、言ってみろ」
「 好 き 」
「は?」