227話:謀反人たちの最期
島左近清興だ。ケビン・シュバルツを誅殺した後、国王ロバート・シュバルツに報告をした。ルナから遺髪と遺品を受け取ったロバートは無表情でそれを見つめた
「国士準男爵、御苦労であった。」
「ははっ。」
「ルナ。」
「ははっ。」
「直ちにケビンに着いてきた騎士たちに通達せよ、謀反人ケビン・シュバルツは国王の命で誅殺したのな。降伏すれば命だけは助ける、刃向かうものあらば斬れ。」
「ははっ!」
ルナに命令が下った後、島左近がケビン・シュバルツの処分について尋ねることにした
「畏れながらケビン・シュバルツの骸を如何致しますか?」
「知れた事、晒し首にしろ。謀反を起こせば身内でも決して容赦はしない事を世に知らしめるのだ!」
「ははっ!」
王宮前で待っていたケビン付きの騎士たちは王宮に参内している主人を待ち続けていると、王宮から大量の騎士と衛兵たちが現れた。ケビン付きの騎士たちは何事かと身構えていると、ルナが現れケビン付きの騎士たちに通達した
「ケビン・シュバルツに付き従う騎士たちに伝える、陛下の命にて謀反人ケビン・シュバルツは謀反のかどで誅殺した!武器を捨て速やかに投降せよ、刃向かう者があれば斬る!」
それを聞いたケビン付きの騎士たちは強い衝撃を覚えた。まさか自分達の主が誅殺されるとは思っておらず、しかも謀反が明るみになったのである。国王に従う騎士と衛兵たちは一瞬のうちにケビン付きの騎士たちを取り囲んだ
「・・・・降参だ。」
ケビン付きの騎士たちは武器を捨てて投降する道を選んだ。最早、主が死んだ以上、これ以上付き合うつもりはないようである。ケビン付きの騎士たちはそのまま連行されていった。それを見届けたルナは国王の下へと戻った後、ケビン付きの騎士たちが降伏した事を伝えるとオルマとイザークの方へ向いた
「オルマ、イザーク。」
「「ははっ!」」
「そなたら騎士たちは引き連れ、軍学塾【ヘイホウドウ】にいる謀反人ケビン・シュバルツと共謀した一味を1人残らず根絶やしに致せ!」
「畏れながら中には貴族の子弟も混じっておりまするが?」
「構わん、身分を問わず徹底的にやれ!」
「「ははっ!」」
オルマとイザークは騎士300人を率いて、直ちに軍学塾【ヘイホウドウ】へと向かった。民衆は何事かと驚き、それらを見送ると騎士たちは軍学塾【ヘイホウドウ】に到着し蟻が這い出る隙間を埋め尽くすように取り囲んだ後、オルマが号令をかけた
「カカレエエエエエ!」
「「「「「オオオオオ!」」」」」」
騎士たちは一斉に軍学塾【ヘイホウドウ】に突入した。【ヘイホウドウ】側は突然の騎士たちの来襲に驚愕した
「何事だ!」
「き、騎士たちだ!」
「ギャアアアア!」
「ま、まて僕は伯爵家の!」
「身分を問わず、一人残らず根絶やしに致せ!」
騎士たちは中にいる者たちを片っ端から斬り捨てた。その中には貴族の子弟も含まれていたが国王の命を優先しその場で斬り殺した。奥の部屋にいたマサユキたちは何事かと出てきてみると、騎士たちが塾生たちを斬殺している光景に恐怖を覚えた
「国王の命により1人残らず斬り捨てろ!」
「「「「「オオオオオオオオオ!」」」」」
マサユキたちは叶わぬと見て奥の部屋へ避難した。そして天井にぶら下がった1本の紐を引くと、そこからギギギと音がなり隠し扉が出現した。万が一の時に備えて作っておいたのである
「では行くぞ。」
「「「おう!」」」
隠し扉から入ったマサユキたちはそのまま奥へと進んだ
「こんな時に役に立つとはな。」
「静かに!」
薄暗く狭い通路の中でマサユキたちは身を屈めながら進んでいると後ろから足音が聞こえた。マサユキたちは背後から迫る追跡者を待ち構えた
「来い、返り討ちにしてやる!」
チュウヤが槍を持ち、構えていると前方から大量の矢が飛んできた。マサユキたちはまさか飛び道具を使って来るとは思っていなかったようで、狭い路地で身動きが取れなかった事もあって、身体中に矢が突き刺さった
「ぐはっ。」
「ぐう!」
「ぎゃあ!」
「くっ!」
最初はチュウヤが全身に矢が刺され絶命、カンベエは頭と背中に矢が刺さり絶命、ハンベエも頭と首に刺され絶命、そしてマサユキも額に矢が一直線に突き刺さり、その場で倒れた。マサユキたちが絶命した後に矢の雨が止み、そこへクロスボウを装備した騎士たちはマサユキたちの下へ駆けつけ、生死を確かめた
「うむ、マサユキ・ユイの死亡を確認した。」
「よし、この者たちを運ぶぞ。」
軍学塾【ヘイホウドウ】の鎮圧と首謀者であるマサユキ・ユイを討ち取った事を国王ロバート・シュバルツの下へ送られた
「謀反人ケビン・シュバルツ及びその一味を晒し首に致せ!謀反を起こせば身内でも容赦しない事を国内外に示すのだ!」
ケビン・シュバルツ、マサユキ・ユイ等は首を斬られた後、市民広場にて晒し首の刑に処された。官民問わず晒し首となったケビンとマサユキたちを呆れと嘲笑を浮かべながら見ていた。特に軍学塾【ヘイホウドウ】に通っていた貴族の子弟に対しては自業自得との声が大きく通わせた貴族の家は謀反がばれるんじゃないかという恐れと、謀反人が経営する塾に通わせたのが間違いであった事への失敗があり、殺された貴族の子弟に対する情は一切なかったのである
「国士準男爵、ヨイチ・ソウマ、オルマ・イーグル、イザーク・キャスタ、此度は大義であった。」
「その通りにございます。国士準男爵閣下のお働きもあって未曾有の危機が去りました。」
「「「「ははっ、有り難き幸せ。」」」」
ワシらは国王の私室にてロバート・シュバルツから此度の働きによる戦勝報告をした後に国王からお褒めの御言葉を賜った
「国士準男爵、早速、褒美の事なんだが・・・・」
「畏れながら陛下、私は褒美をいただくわけには参りませぬ。それに此度の出来事とは無関係にしてほしいのでございます。」
左近の口から褒美はいらないどころか此度の働きとは無関係だと返答が返って来たことにロバートは眉を潜め、与一は目を瞑り、ルナは驚き、オルマとイザークがぎょっとした表情でワシを見つめた
「理由を聞こうか。」
「ははっ、私はこれまで陛下に多大な御恩を賜りましてございます。此度の働きは陛下への御恩返しをしたまでにございます。」
島左近の口から【恩返し】をするための働きだと公言した時、ロバートたちは呆気に取られたが我にかえったルナ、オルマ、イザークたちが問い質した
「国士準男爵閣下、それとこれとは別でございます!」
「その通りです!閣下はシュバルツ王国を救った英雄にございます!」
「信賞必罰の厳格にせよと仰ったのは閣下御自身です、それを自分で否定するのはどうかと!」
「まあ、待て。」
問い質す3人をロバートは待ったをかけて制止させた。そして左近を見るとある事を効いた
「そなたが心配しているのは貴族たちの事だろう?」
「「「え?」」」
「余は軍学塾を制圧する際に、中にいる者は1人残らず斬り捨てた。ケビンが軍学塾を経営する賊と手を組み、謀反を画策している事をそなたが余に伝えた事で貴族たちがそなたに恨みを抱く可能性がある・・・・違うか?」
「・・・・御明察にございます。」
島左近はケビンと繋がっているマサユキ・ユイの事をロバートに密告した事で軍学塾【ヘイホウドウ】を制圧するに至り、中にいた貴族の子弟も巻き込まれ死亡している。亡くなった貴族の身内は国王を恨むわけにはいかず密告した島左近に恨む可能性がある事を感じ取っており、島左近だけではなく家族にも累が及ぶことを恐れ、此度は恩返しと自分はこの件には関わりがない事をロバートに見抜かれたのである
「まぁ、幸いにもそなたが密告した事を知っているのは余とそなたとこの場にいる者を含めて6人だな・・・・分かった、そなたの願いを聞き届けよう。」
するとルナはロバートの方へ振り向き、問い質した
「宜しいのですか、陛下!」
「あぁ、此度の事は余1人の考えとし、国士準男爵は関わりなしとする。そなたらも此度の事は他言無用にな。」
「感謝致します。」
「「「「ははっ!」」」」
「あ。」
すると左近はふとある事を思い出した。その様子を見たロバートは尋ねることにした
「如何した、国士準男爵?」
「畏れながら、宿代と土産代の立て替えを願い奉ります。」
「・・・・しっかりしておるのう。」
「御意。」
「分かった(現金な奴だな。)」
「ははっ!有り難き幸せ!」
その様子を見ていた与一、ルナ、オルマ、イザーク等は島左近の悪い意味での抜け目のなさに呆れかえっていた
「「「「(ちゃっかりしてんな。)」」」」
こうしてケビン・シュバルツとマサユキ・ユイ等によるシュバルツ王国乗っ取りは未然に防ぎ、再び平穏を取り戻すのであった
※次回は最終話です




