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226話:ケビンの最期

ケビン・シュバルツ一行は総督府から出発し全速力で王都へ向かう途中で、各地の反ロバート主義の貴族が建てた訓練施設、武器庫、兵糧庫等が火事になり全てが全焼した事がケビンの下に届けられた


「総督閣下、各地の軍事施設、武器庫、兵糧庫が謎の火災によって全焼致しました。」


「何、それは本当か。」


「ははっ。」


「うむ、まあ私の金で作ったものではないからな、別にどうでも良いが。」


後見人に選ばれたケビンにとってはむしろ好都合であった。自分との関わりとなる痕跡が消えてくれた事で動きやすくなったのである。すると部下がマサユキたちに知らせるかどうかケビンに尋ねた


「この事、マサユキたちに知らせますか?」


「いや向こうもいずれは気付くだろう。奴とて今になって反乱を起こそう等と考えぬだろう。」


「ははっ!」


「総督閣下、そろそろ出立の準備を。」


「うむ、急ぐぞ!」


「出立!」


一方、軍学塾【ヘイホウドウ】ではケビンが総督府を出発し王都へ向かっている事がマサユキたちの下へ届けられた


「総督が王都へ向かっているだと、それは確かか!」


「あぁ、総督が王都へ向かっていると言うことは、国王の命もあと僅かという事だ。」


「うむ、反乱に加わった貴族たちも施設を燃やされて懐を痛んだようだが、ケビン総督が後見人に就任することで我々と協力を取り次ぐ事が出来たしな。」


「さて各々方、ここが正念場、今こそケビン総督を旗頭に我等の願いを叶えようぞ!」


「「「おう!」」」






島左近清興だ。総督府から出立したケビン・シュバルツは全速力でこちらへ向かっているとの事である。ワシらは王宮の一室にて打ち合わせをしていた


「いよいよでございますな。」


「あぁ、実に長かったな。」


ワシらはというと国王ロバート・シュバルツの命でケビン・シュバルツを誅殺するよう命じられた。国王はワシに頭を下げ、【せめて一思いに始末してくれ】と頼まれる形で・・・・


「与一、オルマとイザークがケビンから武器を取り上げ、密室に閉じ込めた後に始末致すぞ。」


「ははっ。」


作戦はこうである。王宮に到着したケビン・シュバルツ一行を規則だと言ってケビンと騎士たちを切り離し、ケビンだけを王宮に行かせる。その途中でオルマとイザークがケビンの所持品(服や靴以外)を取り上げた後に一室にて入れて閉じ込める。そこへ一室に隠れていた島左近と颯馬与一や【お庭方】によってケビン・シュバルツを始末、ケビンに従っている騎士たちは国王の放った騎士団によって補殺、後は騎士団が軍学塾【ヘイホウドウ】を包囲し、塾生全員を補殺する作戦である


「与一、失敗は許されぬぞ。」


「ははっ、下より望むところにござる。」


そして運命の日がやって来た。ケビン・シュバルツ一行は王都に到着したとの報告があり、ワシらは事前に例の一室にて待機していた。ケビン・シュバルツ一行が王宮に到着した時、応対したのはルナである


「総督閣下、お待ちしておりました。」


「陛下は御無事か?」


「畏れながら芳しくございません。」


「そうか、陛下もさぞ無念であっただろう。」


ケビン・シュバルツは1滴の涙を見せた。周囲から見れば国王であり兄が助からない事に涙する1人の身内に見えるであろう。ケビンはこの日のために自力で涙を流す練習を欠かさず行っており、自力で涙を流すことも朝飯前である


「では参るぞ。」


「畏れながら、ここからは総督閣下御一人でお願いしまします。」


「我等は同行出来んのか!」


「申し訳ございません、急を要する事なので。」


ケビンの付きの騎士たちは王宮に参内する事が叶わない事に激昂し、ルナを問い詰めようとしたがケビンに制止された


「良い、私1人で行く。」


「閣下!」


「ルナも申していたであろう。物々しく入れば何事かと下手な勘繰りや詮索をされるのは困るからな。」


「・・・・はっ。」


「では我等はここで御待ちしております。」


「では総督閣下、こちらへ。」


ルナに案内され、国王のいる部屋へ向かうとそこへオルマとイザークが待ち構えていた


「総督閣下、申し訳ございませんが所持品を預からせて頂きます。」


「ふん、私が陛下を亡き者にしようと思っているだろう?」


「いいえ、非常の時なれば何卒。」


「・・・・良かろう。」


ケビンは持っている所持品をオルマとイザークに渡した。所持品を受け取ったオルマとイザークはそのままルナとケビンを通した。オルマとイザークはケビンの後ろ姿を見つつ頭を下げた。とある一室に案内され、ルナから【ここでお待ちを】とケビンを部屋に入れた後、外から鍵をかけて閉じ込めたのである。そうとは知らないケビンは長椅子ソファーに座りつつ、今にも笑みを浮かべるのを何とか抑えていた


「くくく、これで私は後見人の1人、そして国王へ・・・・・うっ!」


するとケビンの首筋に痛みが走った。首を擦ると何か小さい物が刺さっており、それを抜き確かめるとそれは針のついた小さな矢であった


「こ、これは。」


「麻酔針にござるよ。」


「ん!」


声をした方へ振り向くと、そこには島左近と颯馬与一が立っていた。ケビンは何故、ここに島左近たちがいるのか戸惑っていた


「国士準男爵!何故、そなたがここにいる!それに麻酔針だと!どういうつもりだ!事と次第によっては・・・・」


「総督閣下・・・・いやケビン・シュバルツ、謀反のかどにより、この場にて誅殺致す。」


「何!」


「貴様の謀反は既に陛下のお耳にも達しておる、御覚悟召されよ。」


左近がそう言うと日本刀を取り出し、与一も手裏剣を取り出した


「く、くそ!(こんなところで死んでたまるか!)」


ケビンは近くにあった物を島左近に向けて投げ続けた。左近と与一はそれを巧みに避けたりしながら、手裏剣をケビンに目掛けて投げた


「があ!」


手裏剣が全てケビンに命中し傷口から血が出てきた。ケビンはそれでも怯まず、物を投げ続け扉まで近付き開けようとしたが鍵をかけられ、開けられなかった


「くそおおおお!」


「ふん。」


「ギャアアアア!」


左近は音を立てずに近付き、背後から日本刀で背中を斬りつけた。ケビンは悲鳴をあげた後、その場で倒れ込んだ


「くうう・・・・」


地面を這うように移動するが先程の麻酔針と背中の刀傷によって動きが徐々に鈍くなった。そこで与一が足で抑えつけ、動きを停止させた


「わ、わたしは・・・・」


「御覚悟召されよ。」


「わ、わたしは、こ、国王に・・・・」


「御免!」


「がはっ!」


与一が忍刀を心臓目掛けて突き刺した。そこから徐々に意識が途切れ始めると共に走馬灯が浮かび上がった。幼い自分が、母とレムと一緒に遊んでいた頃を思い出しつつ、命の炎が徐々に消えていく


「は、母上、レム。」


ケビンはそう言い残した後に絶命した。左近と与一は片手合掌をした後に遺髪と遺品だけを取り出した。本当は首も取るのだが国王の許可もなしでするわけにはいかず、報告の後にケビンの骸をどうするか確認を取ることにした


「ルナ殿、いるか!」


ワシが大声を張り上げると外からカチャカチャと音がなり扉が開くと、ルナが扉の外で出迎えた


「終わりましたか?」


「あぁ、ケビン・シュバルツの遺髪と遺品だ。」


「・・・・はい、確かに、遺骸はこちらで運びますので国士準男爵閣下とヨイチ殿は私と共に陛下の下へ。」


「うむ、心得た、行くぞ与一。」


「ははっ。」


ワシがケビン・シュバルツの遺品と遺髪をルナに渡した。ルナは複雑そうな表情でそれを受け取った後、ケビンの骸は後で回収するそうなので我等はルナと共に国王の下へと向かうのであった

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