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異世界は神様と共に  作者: 腹巻
40/42

40話 捜索

帝都の中だけでも鉱山と呼ばれる場所は10ヶ所以上。


元々、帝都は稀少な鉱石を採掘する為に出来た街だったのだ。

だからこの帝都周辺は掘れば今でも鉱石が出る。


山で無くとも鉱山と言うなら無数に存在した。

ギルマスの言葉を信じ、帝都から出ていないとしても、特定にはかなり時間が掛かると思われる。



クリス達は新たな鉱山の情報を得るべく工業ギルドに向かった。



「そうか、ありがとう。」

「お役に立てず申し訳ありません。」

「いえ。」

特に情報も得られず3日が過ぎていた。



◇ ◇ ◇




留守番の為に暇を持て余していたハルは、宿の庭ならと弁当を作って貰って、ピクニック気分を味わっていた。


宿の庭は広く、大きな樹が2本立っている。

今は使われていない古井戸が隅にあるが、安全の為に埋められているから大丈夫だと宿の女将さんが言っていた。


古井戸の囲いは大理石の様な素材で出来ていて、とても井戸には見えない。


「ギン、お弁当を食べよう。」

女将さん特製サンドイッチは、教会で聖女様に教えて貰ったものらしい。


「肉サンドはギンにあげよう。その代わり玉子サンドは僕が貰う。ニシシ。」

大好きな玉子サンドを最後に残して野菜サンドを食べていく。


「美味い!ドレッシングがあるのは予想外だったな。」

お酢が存在するなら希望が出て来る。

マヨラーとしての使命だ。


「玉子サンドはどうかな?あれ?」

ギンを見ると既に食べ終わっていた。


「ギンが食べた?玉子サンド。」

激しく首を振って否定するギン。

「おかしいなぁ。確かに後1つ残ってたはずなのにな。」



「・・・まさかね。」

埋められている筈の古井戸を覗いて見る。


「埋まって無いじゃん。」

よく見ると井戸には新たに掘られた形跡がある。

しかも誰かが縄ばしごを掛けたみたいだ。


「やっぱり何かいるね。多分人間だな。子供の足跡が残っている。」


ハルは女将さんに頼んで玉子サンドを追加して貰った。


「おーい、誰かいるならおいで。一緒に食べよう。」

古井戸の横でサンドイッチを食べながら待つ事10分。



井戸から出て来た者を見て驚いた。

見た目は子供だが手が異常に大きく、身体も毛皮に覆われている。


サンドイッチをあげると美味しそうに食べ始めた。


「君はここに住んでるの?」

ハルが聞くと、子供は首を振って答えた。


「僕はハル。この子はギン。君の名前はなんて言うの?」

また首を振った。

言葉が分からないのかな。


「お腹空いてる?サンドイッチまだあるよ?」

「タベル オイシイ アゲル」


「喋れるんだね。誰にあげるの?お父さん?お母さん?」

「ミンナ アゲル タベル」


「この下に皆が住んでるの?」

「タベル サガス 」


「食べ物を探してるの?良く分からないな。一緒に行っても良い?」

「・・・・ タベル ホシイ」

子供はコクンと頷いた。


「ちょっと待ってて。食べ物貰って来るから。」



ハルはまた女将さんから食べ物を貰って、子供の後に付いて古井戸に入って行った。

ギンは器用に風魔術を使って下に降りる。


真っ暗で目が慣れるまで子供と手を繋いで進む。


井戸の下は横穴と繋がっていて、屈まないと進めない程狭い。


随分歩いた所で大きな縦穴に出た。

周りの岩がぼんやりとした光を放っている。

暗い中を進んで来た為か、かなり明るく感じる。


所々に穴があいていて、人がこちらを覗き込んでいるのが分かった。



子供に手を引かれるままに1つの穴に入ると、中は広めの空間があり、両親らしき人が驚いてこちらを見ていた。


「はじめまして。これをどうぞ。」

背負って来た食べ物を渡すと、子供の両親は奥から石を持って来て渡して来た。

代金の代わりだろうか。

価値なんて分からないが、一番綺麗な石を貰っておいた。



両親は子供より話が出来るらしく、この場所の説明をしてくれた。


大昔からこの場所に住んでいた種族で、やはり土竜の獣人族らしい。見た目通りだね。


たまに神が現れ、石と交換に食べ物をくれるのだそうだ。


だがその量は少なく、外へ出て食べ物を探していたらしい。


だが神は外へ出る事を禁じているので、この事は内緒にして欲しいと懇願された。


「大丈夫。それに今度はたくさん食べ物を持って来ますよ。」

「アリガトウ タスカル」

「ではまた。」



ハルが井戸から出ると日が暮れていた。


部屋にはラグナさん達が帰って来ていた。

「ハルさんどこか行ってたのか?」

「いえ。庭に居ましたよ。」

「ああそうか。」

セーフ。バレてない。


しばらくしてクリス達が戻って来た。

「アニエス達はもう帰ってるのか?」

「こっちは手掛りなしだ。そっちは何か分かったか?」

「いや、ダメだった。明日は工房に行って来ようと思う。」



クリスの師匠、クルー・バルカンが捕らえられている鉱山の捜索は、何も進展が無いまま数週間が過ぎていった。



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