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異世界は神様と共に  作者: 腹巻
35/42

35話 ニンゲンハスベテキエロ



ハルは馬車の中で目が覚めた。



隣でアルヨルが驚いた顔をしている。



「あれ?ここはどこですか?」


「王都に向かう馬車の中です。」


御者席に座る兵士が答えた。



「クリスさん達はどこでしょう?」


「・・・残られて戦っていますよ。」


「ちょっ、降ります。降ろして下さい。」


「そう言う訳には・・・」


アルヨルは兵士に向かって声を掛けた。


「将軍には私から話しておきます。王都にはあなた一人で行って下さい。ハルさん、戻りましょう。」


「はい!」



ハルとアルヨルは急いで馬車から降りて、来た道を引き返した。




クリスはハルに睡眠薬を飲ませていた。


かなり強い薬で王都までは起きないはずだった。


なぜか途中で薬の効果が切れてしまった。

戻る距離は短くなって助かったが。








戦いは膠着していた。


いくら数が多くても1度に対峙する数には限度がある。


ジリジリと押され気味ではあったが、時間稼ぎが出来れば良い。



出来るだけ多くのゴブリンを倒そうと気合いを入れる。


だがいきなり飛んで来た大規模魔術によって、事態が急変した。


「何だあれは・・・」


目の前に出現した黒いゴブリンが、味方のハイ・ゴブリンも纏めて焼き払ってしまった。




アニエスが解析を使用するが、名前以外は分からない。


「あれはヤバイ!逃げろ!」


誰もが理解していた。


ゴブリンに似ているがまったく別の魔物。


とても人の手でどうにか出来るような相手では無い。


魔王と比べても圧倒的な存在。

かつて無い程の恐怖と絶望がこの場を支配する。


「・・・・無理だ。」

クリスですら、いや、クリスだからこそ敵の異常さが分かってしまう。

本能が戦うのを拒んでしまう。




空から舞い降りた黒いゴブリンから放出される威圧感は、敵味方なくその場にいた全ての者に恐怖を与えた。




「ワガナハルナルーコノヨヲスベルモノ。」


人語で話しているが、まともに聞いている人間はいない。


「ニンゲンハスベテキエロ」


既にこの場で立って居る者はいなかった。






ルナルーはこの場に居る全てを消し去るつもりでいた。



勇者が居たのは驚いたが、既に興味は無くなった。


ルナルーの心は褪めていた。


例え勇者ですら、今の自分に何の感情も与えてはくれない。


人間とはなんとも弱き存在なのか。


側近ウジンの話を思い出し笑ってしまう。


このまま大きな街に向かおう。


もういい。消えろ。


手に魔力を込め、【ブースト】を使う。

それでなくとも強力なルナルーの魔術。

それが直撃すれば辺り一帯は消し飛ぶだろう。



魔術を発動しようとした時、奴は現れた。




「あれ?戦いは終わったんですか?」


誰も反応する者はいない。


「あ!ゴブリンみっけ!」


おもちゃを見つけた子供の様に、ハルはルナルーを指さす。


近くにいたギンに向かって話し掛ける。


「新しい攻撃考えたんだよね。」


ギンは目を見開きハルを見ている。



ハルは目の前のゴブリンに向かって手のひらをかざした。

「いくよ。【発火】【燃焼】」


一瞬でゴブリンは燃え上がるが、苦しんでいる様子はない。




しかしこの時ルナルーは戸惑っていた。


なぜか魔術が発動しない。


どんな攻撃も無効化してしまう自分がなぜ燃えているのか。







「あれ?効いてない。じ、じゃあえっとこれだ!【崩壊】」






全身を包んでいた炎が消えた。


ルナルーの発動途中の魔術も完全に消滅してしまった。


なんだ?何があった?


未知の攻撃に動揺が隠せない。


身体がバラバラになる錯覚を覚える。


いや、錯覚じゃない。


【存在強化】【存在超強化】【硬化】【状態異常回復】【身体強化】【回復】


身体の崩壊が止まらない。


なんだこれは!


なんなんだこいつは!






「あれれ、やっぱダメかな?もう一丁【崩壊】」






「ぐぐがあぁぁぁ!」


崩れていく!


俺の身体が・・・


【存在強化】【存在超強化】【存在強化】【存在超強化】【存在強化】【存在超強化】【存在強化】【存在超強化】【硬化】【状態異常回復】【存在強化】【存在超強化】


止まらない!何故だ!


俺は神だぞ!


奴は何者なんだ!






「ゴブリン相手にこれじゃ役に立たないか。【崩壊】」






ダメだ!


崩れていく。


俺の夢も・・・






「えい!」


ハルは杖でゴブリンを殴り付けた。






「ぐぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!」






ルナルーの身体は完全に崩壊した。



「よっしゃ~!」

ハルは杖の攻撃で倒したと思って喜んでいる。


霧散してしまったルナルーがいた場所には、変わった形の杖が残っているだけだった。




ルナルーが消えて威圧は無くなった筈だが、しばらくは誰も動けなかった。



「クリスさん。大丈夫ですか?」


やっと我に返ったクリスは、何も無かったように剣を構えた。


ゴブリン達もやっと状況を理解出来たらしく、慌てて逃げて行ってしまった。


逃げるゴブリンを見て、予想以上の数に青ざめる兵士達だった。






マルゴライム将軍は事態収拾を認めた手紙を王都に送り、怪我人の回復を待って街に帰還した。




この戦いは箝口令が敷かれ、世間的にはオーク退治という事になっている。



王都からの使者より招集命令が下ったのは、街に着いてすぐだった。

今回の件には関係無さそうだ。



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