24話 タカシ
短めですが。
皇帝との謁見は玉座の間で行われた。
異世界より召喚されたコウキ達3人は、用意された礼服で皇帝の前に跪いている。
「お前達が勇者か?」
「はい。そうです。」
代表してコウキが答えた。
「これから隣国との戦争も控えている。精々手柄を立てるがいい。」
皇帝の話は予想範囲内だが、直接言われると言葉に詰まる。
「!?・・・はい。」
「ちょっと待って下さい!」
戦争という言葉を聞いて七海さんが声をあげた。
「戦争なんて聞いてません!」
皇帝はナナミをジロリと睨むと、不機嫌そうに側近と何か話をして出て行ってしまった。
。
「西野さん、怒らせたらまずいよ。」
「ちょっと秋川君までそんな事言うの?信じられない!」
そう言って部屋に戻って行った。
タカシはまた何かブツブツ言っていた。
この後ちょっとした騒動があった。
皇帝の寝室にナナミが呼ばれたのだ。
もちろん目的はひとつしかない。
これを聞いたクルー団長が、皇帝を諌めてくれたので大事には至らなかったが、次の戦争に強制参加が決まってしまった。
戦争まで約1ヶ月。なるべくLVを上げるために訓練も厳しくなった。
◇ ◇ ◇
タカシは毎晩のように城を抜け出し酒場に来ていた。
酒を飲みたい訳じゃない。スキルを奪う機会を探しているのだ。
見方を変えれば勤勉とも言える。
皇帝に会った時、戦争が近いと聞かされた。
コウキやナナミは嫌がっているが、俺は戦争が待ち遠しい。
戦場なら【奪取】を使い放題だからだ。
後は【解析】があれば完璧なんだが。
だがその機会はすぐにやって来た。
帝国の労働力の半分は他国から連れて来られた奴隷だ。
こいつらは逆らう事も許されず、主人の為に死ぬまで働くだけの存在だ。
使う事の無いスキルなら、奪い取っても良いだろう。
偶然入った酒場の奴隷女が俺を見て固まったていた。
間違いなく【解析】を使っている。
そう確信した俺は【奪取】を発動させた。
思った通り【解析】を持ってやがった。
【解析】を取ってからは効率が爆上がりだ。
攻撃スキルを奪うとバレ易いが、補助系スキルはバレ難い。
これは俺の持つスキルの組合せだから判明した事だが、同じスキルは重ねられる。
【剣術1】と【剣術1】を重ねると【剣術2】になる。
とは言っても修練度があるらしく同じ【剣術1】でも結構な開きがあった。
街で適当に集めた【剣術1】では6つ合わせてやっと【剣術2】になった。
多分【剣術1】の修練度は1~10。
【剣術2】は1~20となり上がり難くなる。
だが【奪取】がある俺には問題ない。
そして、【解析】を取った事により、魔獣からも奪える事が分かった。
昆虫系の魔獣は状態異常スキルと耐性スキルを持っている。
動物系の魔獣は身体強化とステータス+を持っている。
ゴブリンやオークは個体によるが、武器スキルや魔術スキルを持っている。
魔獣のスキルを奪うと力を封じる事になり、倒しやすくなるという効果もあった。
俺はいつの間にか傭兵ギルドでBランクにまで上がっていた。
ステータスも相当上がっているはずだ。
Name :タカシ・サトウ
LV :24
HP:980
MP:1210
STR :159
DEX :147
AGI :128
INT :170
MND :137
―
スキル :【火魔術3】【水魔術2】【土魔術2】【風魔術3】【氷魔術1】【雷魔術1】【奪取】【解析】【短剣術1】【剣術4】【拳闘術1】【棒術1】【毒耐性4】【麻痺耐性3】【身体強化】【加速1】【STR+36】【DEX+24】【INT+32】【MND+14】
加護 :女神イリアス
これから戦争が始まるまで、奪いまくってやる。
強くなれば稼ぐ事ができる。そうなればこんな国に居る必要ないしな。
傭兵ギルトからの帰り、酒場に立ち寄り傭兵どもを物色していると、場違いな程貧弱そうな男が声を掛けて来た。
「タカシ・サトウ様ですね。はじめまして、帝国で商売をしておりますナシュモと申します。」
「・・・」
「ああ、どうぞお調べ下さい。」
Name: ナシュモ・マレ
LV:3
HP:120
MP:90
STR:16
DEX:16
AGI:16
VIT:16
INT:16
MND:16
―
スキル:【棒術1】【土魔術1】
加護:―
「俺に何の用だ。」
「いえね、わたしなら貴方の手助けが出来るんではないかと。」
「必要ない。」
こんな弱そうな奴に何が出来るというのか。
「そうですか。では気が変わりましたらいつでもご連絡下さい。欲しいものは何でも用意いたしますよ。」
そう言って屋号と名前の書いた紙を俺に渡すと帰ってていった。
胡散臭い奴だ。
しかしなぜ俺の名前を知っていたんだ?
急いで外に出たがあの男は見当たらなかった。
帝国はマツヤ王国に対して宣戦を布告した。




