17話 スキルをバラ蒔きながら、ここまで旅して来たってのかよ。
ハル達を宿まで送り、明日の行動を聞いて迎えの時間を決めた。
拠点まで戻って来た我々は、今後の予定を決めるところだが、色々後回しにして、ハルの能力についての話をした方が良いだろう。
「彼の話だが、どこまで信用出来るだろうか。」
「多分嘘は言って無いと思いますね。」
「それは同意する。」
「俺もだ。」
彼の人間性に問題はなさそうだ。人間なのかは分からないが。
先程アニエスが言いたそうにしていた事を聞いてみた。
「アニエス、彼の魔術。どう見た?」
「・・・あれは魔術じゃない・・・スキルだ。」
アニエスは呆れたように言う。
「「「!?」」」
言葉の意味が分からなかった。
「どういう意味ですか?」
「あの水筒には【水源】のスキルが付いていた。」
【水源】とは水を湧き出させるスキルで、存在が確認されているのは王国で使用されているもの1つだけ。
今から百年以上前、古代遺跡から発見された水瓶型の魔道具に付与されていたと言われている。
「どういう事だ?」
「硬パンと同じだ。」
なるほど、とラグナも納得したようだ。
「やはり何らかの能力と見て良いだろうな。」
「あのミサという子とシルバーウルフも調べたが・・・。」
アニエスはミサとギンの能力も解析していたみたいだ。
「どうでした?」
「女の子の方は【自動回復】【絶対防御】【心眼】【健脚】【状態異常無効】のスキルが付いていた。」
「聞いた事ないスキルもありますね。」
「聞いた事は無いが、【絶対防御】と【状態異常無効】があれば、もう誰にも傷ひとつ付けられる事は無さそうだな。」
「ウルフには【自動回復】【俊速】【筋力増加】【感知】【毒無効】【鋭牙】【飛爪】【風魔術1】【火魔術4】【火耐性】が付いていた。」
「もう言葉が出ねーよ。」
「やはり思った通り、スキルを付ける能力みたいだな。」
「しかし本人にはスキルも魔力も無いと言うのはどう言う事なんだろう。」
「あの反応を見ると、自分の能力には気付いてなさそうですね。」
「危ういな。」
「そんなに危険な奴には見えないがなぁ?」
「そう言う事じゃない。」
「ああ、もし山賊に連れ去られていたら・・・。未知のスキルを持つ山賊なんて、我々でも対処出来るかどうか。」
「「・・・・・・」」
ラグナとマリアが顔を青くしている。
「まあ可能性は低いだろう。」
「でも、もし、もしですよ。彼がひと月、いや半月早く召喚されていたら・・・」
マリアがこちらに向いて言う
「確かに危ういかも。」
「この世界がな。」
今度は全員の顔が青くなる。
確かにそうだが、魔王軍にはあの日あの時間に、召喚を行なう理由があったのかもしれないな。
「明日からは誰かが側に付いて、見守るしかなさそうだな。」
「スキルをバラ蒔きながら、ここまで旅して来たってのかよ。」
「ここで彼を保護出来たのが救いだ。」
「能力の事は本人に教えなくても良いんでしょうか?」
「確かに本人に自覚してもらった方が良い気もする。」
「彼の任務が終わったら話し合おうか。」
「そうしましょう。」
彼の能力が他人に知られた場合、どの様な事態が起こるのか。
仲間以外には話す事は出来ない。
魔王どころじゃない。
世界を滅ぼしかねないハルの能力に、戦慄を覚えるクリスだった。




