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異世界は神様と共に  作者: 腹巻
15/42

15話 黒い角



遭難生活7日目にして、待望の村が見えて来た。


村の入口まで走って行くと、警備係の兵士に止められた。ごめんなさい、嬉しくてはしゃいでしまいました。


事情を説明すると、組合まで案内してくれた。

「ありがとうございます。」

「いやいや、話は聞いてたよ。本当に無事で良かったな。」

そう言って警備係の兵士は持ち場に戻って行った。


組合でも相当心配してくれていて、結構な騒ぎになっていたらしい。

しかし、残念ながら乗合馬車は、昨日出たばかりだった為、次は5日後になるとの事。


暇が出来たのでその間は、村を色々観て回ろうと思う。


組合で宿を用意してくれたので、少し早いが夕食を食べて寝てしまった。

ギンも一緒に泊まれる宿にしてくれたおかげで、喜んだミサの抱き枕になっている。


次の日、組合でフラーノを出てからの事を話したり、乗合馬車のその後について聞いた。

なんと、勇者さん達に助けられたらしい。

勇者さんって綺麗な女性だったし、会いたかったなぁ等と思っていたら、この先の街で僕らを待っているらしい。

今思い出したけど、話さないといけない事があるのを、すっかり忘れていたよ。

思い出したらドキドキしてきた。


ギンの事だけど猟犬の場合は、街に入る前に飼い主登録が必要みたいで、ペット用の首紐を買わされた。

別に猟犬って訳じゃないけど、行動を制限されてもつまらないしね。

大きい街にはカッコいい首輪も売っているらしいので、ギンには悪いがしばらくしょぼい紐で我慢して欲しい。


一応、ミサを王都へ送り届ける任務中なので、新たな仕事を受ける訳にもいかず、暇な時間を過ごしていた。

やる事といったら、旅で汚れた服や道具を洗ったり、砥石を借りて鉈や短剣を研いだりするくらい。

初日にはそれらを済ませてしまったのでもうやる事は無い。

3日後には観れる所は大方見てしまった。



暇をもてあまし、僕らは村から少し離れた森に来ていた。

村に来る途中で栗の木を見つけたからだ。

時期が早いかと思ったが、結構な量の栗が拾えた。

日本で見た栗の倍は大きい。栗饅頭は無いかな、焼き栗でもいいから食べたいな。


帰り道、村のすぐ近くで大きな熊に出会った。


その熊は背中に、真黒な4本の角が刺さっていた。

いや、生えているのかな。

意味がわからないが、進化をした熊?

野生の熊に出会った事なんて初めてだ。

死んだ振りをした方がいいんだっけ?


そんな事を考えていると、ギンが炎を吐いた。

しかし、熊は怯むことなく、火ダルマのまま突進してきた。

僕はミサを抱えて木の影に隠れる。

ギンは華麗に跳躍して突進をかわすと、背後から爪で熊の背中に生えた角を一本折った。

今簡単に折ったと思うが、必殺技か?必殺技なのか?

熊は角を折られても痛みを感じないのか、同じように突進を繰り返す。


背中にあった4本の角は、既に全て折られて道に転がっている。

ギンの炎攻撃にも何のダメージも無さそうだ。


だが熊も流石に疲れたのか、動きが止まりボーっとしている。そして突然、森に帰ってしまった。


助かったみたいだ。

ミサを抱えてギンに近づくと、先ほど折り取った角を持って行けと吠える。

よく見れば、黒と言うより深い紫色で異常に重い。

4本の角を荷袋に詰め、村に戻った。



組合で買い取って貰おうと、受付に話すとすぐに買取担当者が現れた。


聞けばこの近辺に出没する熊だと言う。

今まで人を襲うことは無かったらしいが、ここ数年で角が生え出して、それにともなって狂暴になっていったらしい。

魔獣化したのではないかと言われているが、討伐依頼を出しても捕獲出来る人間がいなかったらしい。

確かに弓矢くらいじゃ倒せそうもないね。


価格は組合でも詳しくは判らず、王都の本部に送って調査をしてもらうと言っていた。

結果が出次第連絡をくれるそうだ。


立派な角だから少し期待してます。はい。


旅の準備も整った。

いよいよ明日の朝、乗合馬車で次の街へ向かう。

勇者さん達も待ってるだろう。

組合でフラーノ支部への伝言をお願いし、今日は早く寝る事にする。



〇  〇  〇



乗合馬車での旅は順調で、2日後に”オルガーノ”の街へ到着した。


まずは組合への報告。

次の馬車の出発日を確認する。7日後に出発だそうだ。

ギンが一緒に泊まれる宿を紹介してもらった。

そして勇者さんからの伝言で、話をしたいので都合の良い日を教えて欲しいとの事。

いつでも良いんだけど、明日の朝に来ますと言って宿に向かった。


宿に着いて7日間分の宿代を払い食事に出掛ける。

大きな街だから贅沢な食事をしたい。

干し肉と硬いパンは当分要らない。


夕陽に染まる山々を見ながら、ここまでの旅を振り返ってみる。

考えてみるとたった半月程の旅なのに、かなり濃密な時間を過ごした気がする。

ミサにはかなり無理を強いてしまった。5才の女の子には相当負担だったと思う。

だがもうここまで来れば、乗合馬車で王都はすぐだ。


たぶん、僕は元の世界には帰れないだろう。記憶があまりないので寂しさはない。

だがミサとの別れを思うと胸が苦しくなる。

王都に住めばまたミサにも会えるだろうか。

まだ任務途中だが、そんな事を考えてしまう。


それより明日は勇者さん達と会うんだった。

優しそうな人だったけど、僕の正体が分かればどうなるか分からない。

僕の正体が悪魔的な感じだった場合は討伐対象なんだろうなぁ。

自分でも分からないんだから、今考えても答えは出ない。

頼むよ自分、勇者的な正義の味方であってくれ。

わりと本気で。


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