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異世界は神様と共に  作者: 腹巻
14/42

14話 白銀


日も傾き始めた頃、川が見えて来た。

街道から外れて、林を越えた先にある。

川幅は10メートル位で、大きな川ではない。

「ミサ、川が見えたよ。」

「かわ?」

ミサは川に行った事がないらしい。

「魚とか捕れるかも?」

「さかな~」

ミサを抱えて走る。

ミサが楽しそうだと僕もうれしい。

海とか川ってテンションが上がるよね。

川に近づいた時、すぐ後ろで犬が吠え出した。

何事かと立ち止まり、吠えている方向を見ると、川からでっかいワニの口が飛び出した。

「うぉぉぉ」

目の前で口をバクンと閉じ、ゆっくり川に沈んで行った。うん、ワニじゃない。

イルカみたいな体が見えた。恐竜の一種だと思う。

犬が吠えてくれなかったら食べられていたよ。

「ありがとうな、助かったよ。」

「ありがとう。」

ミサも僕に合わせてお礼を言っていた。


恐竜は怖いが川も諦められない。水浴びしたい。

川から少し離れて浅瀬を探す事にした。

幸いにもすぐに河原が見つかった。

早速、皆で水浴びだ。

深場に近付かなければ、大きい恐竜は来れないだろう。

浅瀬でミサを洗ってから、犬の洗浄に掛かる。

血と泥と油に塗れていて、汚れが落ちにくい。

しばらく水に浸かってもらい、砂利を付けて擦る。

なんと犬の泥を落とすと、綺麗な白い体毛が現れた。

茶色だと思っていたので驚いた。

しかも傷だらけで、所々ハゲていて、とても痛々しい。

街で買った傷薬があるので、塗ってあげたが犬にも効くのかは不明。


名前を”早太郎”と付けようとしたら吠えられた。

なぜだ。

シロ、ポチ、マサルとか候補はあったが、気に入らなかったようだ。

結局、白銀という意味だと説明して”ギン”という名前で渋々納得したようだ。

こだわり過ぎだろう。

白い体毛なんだからシロで良かったんじゃないか。


今日は河原で寝る事にした。

川の支流を利用した魚の罠を作ったので、明日の朝が楽しみだ。




朝、ギンの声で起こされた。また寝てしまった。

気を抜き過ぎてる自覚はあります。反省。


ギンの吠えている方へ行くと、昨日仕掛けた罠にでっかい魚が掛かっていた。

ワニ頭の魚、うん、昨日の恐竜の子供だね。

しかも他に掛かっていた魚を、こいつが食べてしまったみたいだ。許さん!

食っちまうぞ。いや、やめよう。

少し離れた所で親恐竜が見てるな。さっきからワニ口が出たり入ったりしてる。

こっち見んな。怖いよ。



暴れるワニ魚にマントを被せ、大きな口を押さえながら抱えあげた。

そのまま川の深い所に投げ入れてあげると、親恐竜が寄ってきて一緒に帰っていった。


子供恐竜の壊した罠を作り直す気力はなく、パンをかじっていると、バシャバシャッと大きな魚が降ってきた。

ハッっと川を見ると、あの恐竜が悠然と泳ぎ去って行った。恐竜の恩返しか?何でもいい、有難い。

拝んでおこう。パンパン。


せっかくの好意だ、焼いて食べようと思う。

捌こうと鉈を撃ち込むが、骨や鱗が硬すぎて、まったく刺さらない。

鎧の様な外殻に隙間はなく、唯一軟らかい腹を割いて内臓を取り出した。

だがこれ以上の解体は無理だった。

仕方なく石を積んで大きなかまどを作り、そのまま焼く事にした。

だけどしばらく焼いても変化無し。なんだこれ。火耐性とかなのか?

強い火魔術とかじゃないと焼けないのかも?


「ギンは火魔術使えたりしない?かな?」

ダメ元で聞いてみる。

「ウォン?!」

しばらく悩んでいたが、突然ギンの口元から、火炎放射機のように炎が吹き出した。

「凄いよギン、火魔術を使えるなんて。」

期待していた訳じゃなかったので、かなり驚いた。


この旅ではギンの高い能力に驚かされてばかりだ。最初に会った時の死に掛けた状態から、身体も一回り大きくなった気がする。


そんな事を思っていると、炎に焼かれた魚の鱗が焦げて反り返って来ている。

魚を裏返してもう一回ギンに焼いてもらう。

焼き上がった魚の鱗は簡単に剥がれ、そこから覗く白い身は、とても美味しそうに見える。


「どうかな、毒とか無いかな?」

危機回避の点でも、ギンの能力は高い。

臭いを嗅ぎ、少しだけ食べる。

「ウォン」

大丈夫みたいだ。それを聞いて僕とミサは食べ始めた。

「旨い旨い。」

「おいしいね。」

ミサも気に入ったようだ。


この魚、見た目に反して相当美味い。

白身で柔らかく、味は濃いが臭みは無い。

塩を振るだけで、いくらでも食べられそうだ。

例えるならアンモニア臭のしない鮫の大トロかな。

分かりにくいか。


僕達は腹いっぱいになるまで食べた。

残りはすべてギンが食べてしまった。

かなり大きな魚だったのにな。

ギン君、また体大きくなったんじゃないか?


骨は焚き火に入れたが、燃やす事が出来なかったので、砂を掛けて埋めておいた。




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