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異世界は神様と共に  作者: 腹巻
13/42

土くれ



遭難生活も4日目になった


朝食をしっかり食べる。

夜の間に血抜きしたウサギを担いで出発した。

歌いながら歩くこと5時間位。森が終り、目の前に街道が現れた。

「ミサ、街道に出たぞ。やったー!」

「やったー!」

ミサも喜んでいる。

目の見えないミサは、相当に不安だったはずだ、文句も言わず僕に付いてきてくれた。

僕だってミサがいてくれたから頑張れたんだ。

王都までまだまだ遠いが、村か街に出れば馬車も使えるはずだ、もう少しだ、頑張れミサ。


街道に出て1時間も進まないうちに、乗合馬車が使う休憩所に着いた。

周りには人影はない。

乗合馬車がいればいいな、と思っていたので少し残念だが、そんな都合よくいくわけないか。


まずは薪集めだが、近くに薪小屋があるので、乾燥を気にする必要がないのは有難い。

自分たちが使う分の薪を小屋から拝借して、同量を補充しておく。

これがマナーなのだ。組合で教えてもらった。


まずは先送りしたウサギの解体をする。

火を起こし軽く焼く。

そうすると皮が剥がしやすいのだが、毛皮は使えなくなる。

腹を割いて内臓を取り出し、水で洗ったら大きなモモ肉を外す。

次はむね肉と前足を外した。残りは背骨ごと3つに切り分けて終了。

組合で習った通りなのだが、獲物が大き過ぎて参考にならないな。鶏じゃないし。

穴を掘って不要な部位を埋めておく。

焚き火に三脚を立て、水を入れた鍋を掛ける。

肉は骨ごと入れる。

後は塩と薬草で味を調整するだけだ。


食事の準備も大方終わり、ミサに声を掛けようと振り向くと、ミサの横にあった土塊が動いた気がした。

僕は全力で走って、ミサを抱えて土塊から距離を取った。

離れた位置からじっと見つめた。よく見れば、土にまみれた動物の様だ。


「おにいちゃん、どうしたの?」

「近くに動物が倒れてるんだよ。危ないからここにいるんだよ。」

10分は経ったと思うが、動き出す気配はない。

鍋の中は良い感じの匂いを漂わせている。

動いたのは気のせいかも知れないが、油断はしない。

足のそばにあった小石を、土塊に投げ付けた。外れた。チッ。


仕方なく焚き火の近くに、ミサを避難させ、杖を持ってゆっくりと近づいた。

近くで見るとそれは、痩せ細った大きな犬だった。

つんつん、つんつん。

反応は無い。

「犬だね、死んでるみたいだ。」

「犬さん、可哀想。」

リサが言う通り、流石にこのまま放置は可哀想なので、埋めてあげようと、すぐ横に穴を掘った。


出来た穴に犬の死骸を落とそうとした時、目がこちらを向いた。生きてるのか?

急いで杖を持って構えるが、動く様子はないが、まだこちらを見ている。

「まだ生きてるみたいだ。」

「良かった。」

とミサはパァっと明るい表情で笑った。


動物を平気で殺して食べる癖に、目の前に死に掛けてる犬は可哀想に思う。

人間なんて勝手なものだがそれでも良い。

ミサもこの先ずっと優しい子でいて欲しいもんだ。ちょっと親目線過ぎたか。

しかし悪い男に騙されたりしないかとても心配だ。

・・・・今動いた。

早くしないと本当に死んでしまうな。


直接水筒から口元に少しづつ水を掛けてあげた。

最初の内は反応も無かったが、そのうち舌が動いて水を舐め取る様になった。

よし!もう少し頑張れよ。


焚き火の近くに移動させて、ほぐしたウサギ肉を口に入れると、モゴモゴと食べている。

野生って逞しいな。今まで死に掛けていたとは思えない。

でももう大丈夫そうだな。


僕達も食事を済ますと、ミサを寝かせ、ウサギ肉を焼いておく。

犬がこちらを見ていた。

「まだ食べ足りないか?」

何の反応も示さず、じっとこちらを見ているだけだ。

「お前が人の言葉を分かればいいんだけどなぁ。」

「ヴォン」

お!?吠えた。言葉分かってんのか?

もしかして人に飼われていたのかもしれないな。

「まずその体を洗わなきゃな。」

土にまみれたままじゃあ可哀想だ。


鍋に残ったウサギ肉をほぐして口に入れてあげる。

予備の器に水を入れて、犬の近くに置いた。

街道に出て精神的余裕も出て来た。

明日には村にでも着くと良いな。



朝、目を覚ますと太陽は既に高く昇っていた。

いつの間にか寝てしまったようだ。


消えた焚き火を着け直し、朝食の準備をした。

犬は歩ける位、元気になっていた。野性やっぱりすごい。

僕とミサはいつものパン粥。

犬には夕べ焼いたウサギ肉。

食べ終わったら出発だ。

「いぬさん、どうするの?」

そうだ、忘れてた。

「僕たちは出発するけど、お前はどうする?」

聞かれても困るよな。

しばらく森を見ていたが、「ウォン」と吠えると立ち上った。

「お!一緒に行くか。」


こうして道連れが一匹増えた。

今日はなんとか村に着きたい。それが無理でも水場があればいいんだけどなぁ。

ミサが自分で歩くと言うので、それに合わせて手を繋いでゆっくり進んで行く。

犬も付いて来ている。


森と違って太陽が容赦なく照り付ける。

でも僕らの足取りは軽かった。






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