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第78話

「モトキさん、フユトさんがいる病院を教えてください。」


「まぁ、いいけど。ひとつだけ聞いていい?」


モトキさんが困ったような感じで髪をかいた。


かがりちゃんは、フユトとどういう関係なの?」


「……恋人です。」


「え?」


「篝ちゃんってあいつと接点なんてあった?」


「ええ。あります。」


「いつの間に水無月みなづきとお近づきになったんだよあいつ。」


「……相馬そうま、その発言は控えてほしい。」


めぐりが会話に割って入る。


「いいのよ廻、気にしてないから。」


「ごめん篝ちゃん。でも、フユトが事故に遭う前に知り合って恋人同士になったってことだよね?」


「はい。」


「あの、今日会いにいけませんか?」


「面会は関係者がいれば時間内で可能だけど。」


「お譲様、それはさすがに……。」


「でも、会いたいの!」


「気持ちは分かりますが、水無月として面会に行くには手順が。」


「責任は私がすべて負います。」


「篝ちゃんってフユトと本当にそういう関係なんだ?」


モトキさんが驚いている。


「それなら今日、放課後に行こうか?」


「いいんですか!?」


「いいよ、俺は篝ちゃんを信じるよ。」


「ありがとうございます!!」


私は立ち上がりモトキさんの手を握る。


「ちょっ!?篝ちゃん!?」


「あ!」


「も、申し訳ありません!うれしくてつい。」


「ゴホン。」


廻が咳払いする。


「ごめんね、廻。」


「お黙りくださいませ、お譲様。」


むっ。


「モトキさん。」


「なに?」


「モトキさんは誰か気になる方っているんですか?」


「え!?」


モトキさんが驚きつつも、廻がものすごく驚いている。


「お譲様!?」


「何?」


「いや、その質問はちょっと相手方の配慮を欠いているというかなんというか……。」


「いますか?」


私はそのまま攻める。


「いや、その……気になる人はいるよ、うん。」


恥ずかしそうに答えるモトキさん。


「もしかして、うちの従事ですか?」


「え!?」


「え!?」


二人がハモる。


「お譲様!!」


「いや、まさか、そうくるとは思って無くて俺……うん。」


「え?」


「そ、相馬!?無理しなくていいぞ?お譲様の戯言だから!」


「その……なんだ。俺、相坂あいさかの事、ちょっと気になるっていうか、あはは。」


恥ずかしそうに笑うモトキさん。


「これで両想いですね。」


「ちょっと!篝ちゃん!?」


廻はひどく動揺しているようで、お譲様ではなく名前で呼ぶ。


「お二人はお友達からゆっくりと恋人になってください。」


「何満面の笑みを浮かべてるのよ篝ちゃん!!バカ!」


「何よ?好きなんでしょ?よかったじゃない?」


「だけどさ!手順がさ!滅茶苦茶じゃない!?」


「結果オーライだよ、廻。」


「覚えてなさい。」


「二人って、実は仲いいんだな。」


モトキさんが驚きで騒然としていた。


「そうですよモトキさん。私と廻は本来はこういう仲です。これからはモトキさんが居る時も自然体でいるようにします。」


「あ、ありがとう。」


何のお礼なのか分からないけど、どういたしましてとお返ししておく。


「キスする?」


「しないわよ!!」


「しないって!!!」


二人が再びハモる。


「ほんと覚えてないさいよ篝ちゃん!」


「ああ、怖いですね、廻は。」


「なんか、いいな二人は。」


「そうですか?」


「うん。俺とフユトも事故に遭う前はそんな感じでバカやってたな。」


「ちょっと相馬!バカって何よ!私はバカじゃないわ!」


「ご、ごめん。」


「モトキさん、モトキさん。」


私は手招きする。


「な、なに?」


「ここに座ってください。」


私は席を譲る。


「ど、どういうこと!?」


「廻の隣がよろしいかと思いまして。」


「いや、その平気だから!」


「遠慮なさらずに。」


すると廻が私の背中をつねる。


「痛いっ!」


「え!?どうしたの!?」


「いえ、なんでもありません。」


私は廻を睨む。


でも、廻の照れ隠しがおもしろくて愛おしい。


「可愛いわ、廻。」


「ほんと覚えてなさいよ。」


「明日になったら忘れるかもしれないわね。」


「それなら忘れる前に仕返しさせてもらうわ。放課後以降にでも。」


廻がニヤリと笑う。


「うっ。」


まさかフユトさんと再会してから何か企んでるわね。


「さ、お昼でも食べましょうか。」


私は話題を変える作戦にでる。


「そ、そうだね。」


結局モトキさんは私と席は変わらないらしい。


「まさか入学早々、可愛い女の子二人とお昼が食べられるとは思ってなかったなー。」


モトキさんも気を取り直した感じで普通の話題に持っていこうとしていた。


「もう、モトキさんったら。」


「篝ちゃん、これどうぞ。」


廻がタコさんウィンナーを差し出す。


今日のお昼は廻が作ってくれている。


怪しい。


「いや、モトキさんどうぞ?」


「え?そ、それじゃ遠慮なく貰おうかな。」


「ダメよ!篝ちゃんに食べてほしいの!」


「何でよ?」


「好きでしょ、これ。」


「好きだけどさ、そこまで執着しなくても。」


「ほら、口開ける!」


強引に廻が口元に運んでくる。私は仕方なく口を開ける。


ん?


なんだ。普通のタコさんウィンナーだ。


……。



…。




「!!!」



辛い!猛烈に辛い!


「ごほっ!」


私は思わず咳き込む。


「篝ちゃん!?大丈夫!?」


モトキさんが心配そうに近寄る。


「ぐむっ!」


辛い。


私は急いで水筒へ手を伸ばした。


しかし、廻に水筒を取られてしまう。


「相馬、お茶どう?」


「え?なんか篝ちゃんが欲しそうだけど?」


「いいのよ。いるの?いらないの?」


「い、いただきます。」


辛いよ。


覚えてなさいよ廻……。



お茶がもらえたのは数分経ってからだった。

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