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第42話

気が付くと朝になっていた。


午前に軽い診察が行われ異常はなしだった。


しかし、水無月みなづき家のほうからの意向で退院は許可されなかった。


今回の件でメディアが騒いでいる為、病院で安全に待機してほしいとのことだった。



コンコン。



病室に横になっているとノックの音が静かな病室に響く。


ちなみに僕の病室は個室。


「どうぞ。」


「お邪魔するわ。」


相坂あいさかさんだった。


「ど、どうしたの?学園は?」


「お譲・・・かがりちゃんがいないのに私だけ学園に行く理由なんてないわ。」


「側近なんだっけ?」


僕は昨日の疑問を解決する為に少し彼女に探りを入れてみることにした。


「そうよ。何よ?今更。」


「今日は一緒にいなくていいの?」


「篝ちゃんとの面会は禁止されているわ。」


「側近なのに?」


「そうよ。」


相坂さんが少し不機嫌な顔つきになる。篝さんに会えなくてもどかしいのだろうか?


「ふーん。僕はいつでも会っていいって言われたけど?」


早坂はやさかは特別だからでしょ?」


「・・・。」


特別。そうだといいけど。


「私の用件を話してもいいかしら?」


不機嫌な声。


「その前にひとつ聞かせてほしい。」


「何よ?」



「あの・・・事故の時、相坂さんは・・・どうして・・・。」


そこまで言って僕は留まってしまった。



【どうして篝さんを助けなかったのか?】


そんな質問をするのはさすがに酷ではないだろうか?それを言ってしまうと僕も助けられなかったわけだし、相坂さんのせいにしているような感覚になってしまった。


「何よ?最後まで言いなさいよ?」


「いや、ごめん、やっぱりいい。」


言えない。


すると相坂さんは僕のところまで歩み寄り、ベッド脇で前かがみになり僕と顔の位置を合わせる。


目の前に現れる相坂さんの顔。


美人系の整った顔。黒髪長髪で女の子らしいふんわりしたようないい香りがする。


「あ、相坂さんっ!?」


心臓の鼓動が高鳴る。


でも、僕は相坂さんの目を至近距離で見たからこそ気付いたことがあった。


「あ・・・。」


「気が付いたかしら?」


冷徹で冷たい声。感情が一切ない無機質な声。僕はその声に寒気を感じていた。


目が離せない。


「・・・言ってごらんなさいよ?気付いたんでしょう?」


「えっ・・・その・・・。」


言葉にならない。


相坂さんの目。右目が微かに赤い。そう、右目だけ。


「・・・言えないの?」


ドクン。


心臓がさらに高鳴る。


「あなたに足りないのは勇気よ。あなたは自分の信念を貫く勇気がない。」


「・・・。」


「何かを成し遂げるには勇気がいる。そして覚悟、信念。あなたにはそれが何一つない。」


「そ、そんなことは・・・。」


「言いたいことも言えない。そんなあなたが篝ちゃんの前に立った時、何を語れるというの?」


「君は・・・誰だ?」


僕は無意識にそんな一言を発する。


「誰?私は相坂廻あいさかめぐりよ?何を言っているの?」



コンコン。



「!!」


ノックの音。


「フユト?居るか?」


モトキの声だった。


「え!?ちょっと待って!」


僕はモトキを少し待たせる。この状況を見られたらまずい。


「え!?」


僕は相坂さんを布団の中に引きよせる。


「な、なにを!?」


「シー!隠れないとまずいでしょ!!」


「いや!ちょっと!!」


僕は返事をまたず、モトキを招き入れる。


「どうぞー。」


「おーっす。調子はどうだ?」


「お、おう、もう平気だよ。」


「ん?どうした?顔、赤いぞ?」


「いや、うん、なんでもない。」


「まだ病み上がりなんだから、無理すんなよ?」


「ありがとう。」


なんか、お腹のあたりで相坂さんの吐息を感じる。


僕は布団の隙間から彼女の様子を見る。


目が合った。


顔を赤くして睨んでいる。


「フユト?」


「あ!いや、なんでもない!」


実は今回は判断ミスだったのではないかと後悔する。


「あの、モトキ、悪いけど、自販機で水を買ってきてくれない?」


「え?ああ、いいぞ。」


「あ、お金・・・。」


僕はお金を渡そうとしたけど、モトキは「いらねーよ」って言いながら病室を後にした。


勢いよく相坂さんが布団から出る。


「な、なに考えてるの!!」


顔が真っ赤だ。


「いや、モトキに見られるとまずいでしょ?」


「ふ、普通に私もお見舞いに来たって言えばいいことでしょう!?」


「うん、それ、僕はさっき気付いた。」


「帰るわ!」


「え?話は?」


「また時間をずらしてから来るわ!」


「・・・。」


さっきとは別人のように、いつもの調子に戻り顔を赤くしたまま病室を出て行く相坂さん。


それから少し乱れた布団を整えようと、軽く布団を払う。


「ん?」


ピアス?


砂時計のような形をしたピアスが落ちていた。


相坂さんのかな?


今度来た時に返そう。


僕は病室の机の引き出しに、ピアスをしまう。


一体彼女は何の用事で来たんだろう?





©2017,2018,2019 すたじお・こりす

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