第38話
「知りたいと願う人の希望を叶えないというのですか?」
視線は相坂さんへと向けられた。
「・・・私は聞かされている。創造主とは何か。そして、この街にだけ存在するということも。」
「そうですか。」
「二人は一体何の話をしてるんだ?」
僕は何も分からない。
「早坂、これ以上関わらないほうがいいわ。」
「どうして?」
『それは私が説明しましょうか?』
階段の上から聞こえた声。
「花音様。」
相坂さんが一礼する。
「水無月花音。」
アイリさんも興味深い笑みで花音さんを見上げていた。
ん?水無月?
それってつまり・・・。
「篝さんのお母さん?」
僕も階段を見上げる。
『あなたは創造主ではない。』
「いいえ。創造主です。」
『この街の創造主はフランチェスカただ一人。そして、その創造主は姉妹であることが条件。』
「・・・。」
『フランチェスカは葵美津菜という子と義姉妹の契約を結んでいます。」
「さすがは水無月花音さん。」
アイリさんと花音さんの会話が続く。僕は黙って聞いていることしかできなかった。
『それに、あなたが夏目の娘であるわけがない。』
「根拠でも?」
『夏目百合・・・百合ちゃんは、今はもうこの世に存在しません。』
「ふふっ。」
不敵な笑みを浮かべるアイリさん。
「そう。水無月花音はすべてを知っているということですか。」
「今日はもう帰ります。興ざめです。」
「ちょっと!?アイリさん!?」
僕は引き留めようとしたけど、そのまま薄暗い廊下へと消えた。
「なにがどうなっているんだ?」
『あなたは?』
花音さんが僕の前へと歩み寄る。
「僕は早坂冬登と言います。あの、篝さんとは同級生です。」
『そう。』
僕の瞳を覗き込む花音さん。
『あなたは昔の秋伸さんに似ているわ。』
「秋伸さん?」
『私の夫です。』
「え!?」
どういうことだろう?
『血は争えないということかしらね?不思議な日常は世代を超えて再び訪れようとしているわけですね。』
「創造主とかそういうのは今はどうでもいいんです。篝さんに会わせてもらえませんか?」
『・・・いいでしょう。着いてきて。』
「花音さま!?」
制止する相坂さん。
『いいのです。この子は、また何かを変える力を持っているかもしれないと感じるのです。』
「ですが・・・。」
『すべてを知りたいなら、私に付いてきて。』
そういうと階段を昇り始める花音さん。
僕はそのあとに続く。早く篝さんに会いたい。
今あるのはその思いだけ。
©2017,2018,2019 すたじお・こりす




