第35話
学園に着き、今日何度目か分からない溜息をつきながら靴を履き替える。
考え事をしすぎたせいか、段差で足を躓いてしまう。
「うわっ!!」
モフッ。
ん?柔らかい。
ん?
何か柔らかい二つの膨らみの間に沈んだ僕は、そのまま視線を上に向ける。
「やだ先輩、だ・い・た・ん!」
「うわ!!!」
僕は急いで後ろに跳ね返る。
「きゃっ!」
えっ!?
再び誰かにぶつかってしまう。
そして、そのままその人に覆いかぶさるように倒れる。
「いたっ!!」
「やっ!?」
・・・。
唇に柔らかい感触を一瞬だけ感じる。ほんの一瞬だけど、確かに触れた。
「!!」
僕は一瞬で血の気が引く。
「か、かかかかかか篝さんっ!?」
「・・・・・。」
「早坂!!!」
相坂さんが血相を変えて僕に迫る。
「どけこらっ!!!」
足で僕の事を蹴落とす。
「痛った!」
今度は腰を強打して倒れる。
なんて日だ。
「お譲様!大丈夫ですか!?」
「・・・へ、へ?」
「お譲様!?頭でも打ちましたか!?頭大丈夫ですか!?」
必死に頭を撫でる相坂ちゃん。
ちょっと失礼な事を言ってるように見えるのは僕だけか?
じゃなくて!
「か、篝さんごめん!!ほんとごめん!!!」
ダンっ!!!
座り込んだ僕は立ち上がろうとすると、顔すれすれを相坂さんの足が襲いかかる。
「早坂・・・。」
「えっ!?」
足を僕の顔の横についているせいか、下着が丸見えなんですが・・・・。
「あ、相坂さん!そのくらいにしてください。」
ようやく篝さんが声を発する。
「・・・はい。」
素直に篝さんに従い、僕を軽蔑の目で見ながら後ろへと下がる。
「・・・フユトさん、以後気を付けてください。では。」
それだけ言うと篝さんは先に行ってしまった。
「・・・終わった。」
「よしよし。」
僕の頭を不意に撫でるアイリさん。
「というか君、どこから来たの!?」
「最初から廊下に居ましたけどぉ?私が恋しくてハグしたんじゃないんですかぁ?」
「ないない。それじゃ。」
「え~、釣れないなぁ。」
「ったく、お前、ほんと昨日から女難の相が出てるな。」
「・・・否定はしない。」
モトキは呆れた感じで溜息をついた。
「はぁ。行くか・・・。」
最悪の一日の始まりだ。
でも、僕、篝さんとキ、キ、キス・・・した。
今思い返すと急に心臓の鼓動が早くなる。
・・・喜んでる場合でもないか。
どうにか篝さんの中の僕の印象を回復させなければ!
ポジティブだ、ポジティブに行くぞ、僕!
そう自分に言い聞かせた。
©️2017,2018,2019 すたじお・こりす




