表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/96

第32話

午後からの授業もこなし、放課後になる。


「お譲様、この後の予定はどうされますか?」


「・・・。」


私はわざと知らんぷりする。


「・・・お嬢様?」


「・・・。」


「・・・・かがりちゃん?」


「何?」


「え?そういうことだったの?」


「だって、今はクラスルームにあんまり人も残ってないし、小声なら平気でしょ?」


「しかし・・・。」


「・・・。」


「これからどうする?」


相坂あいさかちゃんはどうしたい?」


「・・・はぁ。色々言いたいことはあるけど、とりあえず話を進めましょうか。」


話しの途中で溜息をつくなと言ったのは、どこの誰だろう・・・。


「私は篝ちゃんのやりたいことに付き合うわ。」


「だったら、私の部屋でお茶会しましょう?話したいこともあるし。」


「話したいこと?」


「ええ。」


今日のお昼の事とか。


「ここでは言えないこと?」


「ええ。」


「それじゃ、行きましょう。」


「早坂君はいいの?」


「いいわ。」


私は冷たい声で返す。


「・・・。」


ちょっと驚いたような顔を見せる相坂ちゃん。


お昼の事がちょっとひっかかっているせいか意地悪してしまう。




■■■■■



「お帰りなさいませ。」


お屋敷で出迎える従事さんたち。私は今だにこれに慣れない。


「ただいま戻りました。」


事業用のお屋敷からプライベートと書かれたエレベーターにIDカードと指紋認証を施す。


ポーン。


緑色に点灯したディスプレイと共にエレベーターの扉が開く。


扉の「閉」ボタンを押すと自動的に我が家へと導いてくれる。


ポーン。


再び電子音が鳴り響き、中央通路へ抜ける。


そのまま通路を歩き、再び大きな扉の横にある認証システムに先ほどと同じ作業を繰り返す。


「篝ちゃん。」


「ん?」


「いつも思うけどさ。これ、面倒じゃない?」


「口には気を付けないと、もうお屋敷よ?」


「ごめん。」


お屋敷で悪口はご法度になっている。これが暗黙のルール。



「おかえりなさい。」


お母様が出迎える。


「ただいま戻りました。」


めぐりちゃんも、おかえりなさい。」


「ただいま戻りました、花音かのん様。」


「あら?」


お母様が不思議そうな顔で私を見る。


「学園で何かあった?」


「どうしてそう思われるのですか?」


「・・・昔の私と同じような顔をしているわ。」


「え?」


「ふふっ。」


微笑むお母様。


「申し訳ありません、一言よろしいでしょうか?」


ふと相坂ちゃんが珍しく会話に割り込む。


「どうしたの?」


「花音様は、アイリという方をご存じですか?」


「アイリ?」


「はい。情報によりますと夏目と何か関係があるようなのです。」


「相坂ちゃん!」


私は話しに割って入る。



夏目。昔、夏目家は水無月家の執事を務めてきた家系だ。お母様が学生の頃に、反逆行為があったようで、詳しくは知らないけど絶縁状態と聞いていた。


「失礼しました。お忘れください。」


相坂ちゃんが深く頭を下げる。


「廻ちゃん。私は、今でも夏目は好きですよ。」


「え?」


私と相坂ちゃんは顔を見合わす。


「私は夏目百合なつめゆりという姉のような存在の人と、学園を卒業するまでずっと一緒だったんだから。」


昔を懐かしむような顔をするお母様。


この話は初めて聞く。これまで夏目というワードもタブーに近かったから。


「でも、今は昔の事よ。」


「どういうことですか?」


私は無意識に質問していた。


「百合ちゃんは、結婚して子供を産んで、その後すぐ亡くなったわ。もともと持病を持っていて長くはなかったの。」


「そうだったのですか。」


「篝。」


優しくも厳しい瞳が私をとらえる。


「あなたも、後悔しない人生を歩みなさい。」


「はい。」


「それじゃ、難しい話はここまで。廻ちゃんも、ゆっくりしていってね。」


「ありがとうございます。」


「行こう、相坂ちゃん。」


「はい。」


一礼して、私は自室へと向かった。


©️2017,2018,2019 すたじお・こりす


※本話では、「図書室のお茶会」の原作を一部引用しております。

「図書室のお茶会」©2010,2011 ゆきづきせいな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ