第28話
ものすごい剣幕で向かってきたのは相坂さん。
目の前まで来ると、いきなり胸ぐらを掴む。
「あなた、どういうつもり!?」
「いや!え!?誤解だよ!」
突然の出来事に変な弁解をしてしまう僕。
「・・・っ!」
何かを言いたいけどひっこめた感じで僕はあっさり突き飛ばされながら解放される。
「僕は、手伝いを頼まれたから!」
僕は相坂さんではなく篝さんを見て叫ぶ。誤解なんだ。
「・・・。」
篝さんは何も発しない。
すると湊さんが相坂さんの前に立ちはだかる。
「私の彼氏にひどいことをしないでください。」
『はっ!?』
僕と相坂さんの声がシンクロする。
「ちょっと!?湊さん!?何言ってるの!?」
「見損なったわ。」
無感情な声で僕の顔を睨み付けると、相坂さんは篝さんの元へと戻っていってしまった。
「申し訳ありませんお嬢様。場所を変えましょう。」
「ちょっと!待って!!」
二人は図書室を後にする。
「どういうつもり!?」
湊さんに怒鳴りつける。
「どういうつもり?ですか?あなたこそ、どういうつもりですか?」
「は?」
すると表情が一変する。さっきまでオドオドしていた彼女の面影は一切無く、すごく闇に包まれたような鋭い表情へと変わっていた。
例えるならば、黒幕。
「浜口先輩が停学処分になったら、あなたを絶対許さないわ。」
「君、浜口の仲間?」
「仲間?ちょっと違うわ。」
すると、園内放送が鳴り響く。内容は僕に特別指導室へ来るようにというものだった。
つまり、浜口の聴取が終わったから僕の番というわけだ。
「・・・それじゃ。」
僕はそのまま図書室を後にする。
「覚えててね。」
そんな捨てセリフをが聞こえた気がした。
僕はそれよりも誤解したままになっている篝さんのことしか頭になかった。
ここで嫌われてしまったら、僕の学園生活は終わる。それだけは阻止しないといけない。
さっき掴まれた襟を正す。
相坂さんの爪が少し首に当たってしまったようで、ちょっと擦り傷になっていた。
「はぁ。」
溜息をつきながら特別指導室へと向かう。
「あら?溜息はいけないって誰かが言ってたわよね?」
振り返る。
「相坂さん・・・。」
篝さんは居ない。
「あれは誤解だよ。あとで説明する。」
「いらないわ。」
「え?」
「そんな弁解は要らないって言ったの。もうお譲様に関わらないで。」
「!」
「早坂、あなたとお嬢様は釣り合わないわ。」
「・・・。」
元々身分が違う。そんなことわかってる。わかっているけど・・・。
それでも僕は・・・。
「相坂さんは・・。」
ひとつ質問をしようとしたら、人差し指で口をふさがれる。
「!!?」
不意に触れられた相坂さんの指。
「早く特別指導室に行きなよ。」
そして離される人差し指。
「・・・お邪魔したわね。」
それだけ言うと僕の前から去っていった。
相坂さんもよく分からない人だ。謎の行動が多い。
でも、まだ相坂さんは完全に僕のことを嫌ったわけではなさそうな気がする。
嫌いな相手に、きっと手は触れないだろう。
何か意図があるはず。きっと。
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