第27話
【視点:早坂冬登】
早く中庭に向かわないと。そう思っている矢先、背後から声がかかる。
「早坂君。」
「え?」
振り返ると見知らぬ女生徒。
「君は?」
「私は、その、同じ1年です。ちょっとお願いがあるのですが。」
「ごめん、ちょっと僕急いでるから。」
そのまま中庭へ急ごうと踵を返すと、背後から再び袖を掴まれる。
「待ってください!」
「何?」
「ちょっと、その、一緒に図書室から書類を職員室に運ぶのを手伝ってほしいんです!」
「いや、手伝いたいけどその、急いでるから!」
「お願いします!」
突然の大声に周囲がざわつきはじめる。
「・・・はぁ。」
僕は溜息をつくと、女生徒の隣に立つ。
「ほら、さっさと終わらせよう。」
「ありがとうございます!」
こうして、仕方なく図書室へと向かうことする。
本当に急がないと一緒にご飯を食べる時間がなくなるし、さっきの事案の聴取もあるから早く終わらせておきたい。
「君の名前は?」
そういえば名前を聞いてなかった。
「湊と言います。」
「僕の名前を知っているのはなぜ?」
「え?いえ、ちょっと、まぁ。」
少し顔を赤らめる湊さん。
「どういうこと?」
「と、とにかくいいじゃないですか、そんなこと。」
話題は打ち切られてしまった。
■■■
図書室に着いた。
「えっと、書類はどこにあるの?」
「司書室にあります。」
湊さんがポケットからおしゃれな洋風の鍵を取り出す。
「それ、結構レトロ感があっていいね。」
僕は垂直な感想を口にする。
「そうでしょう!私も気に入っているんですよ!」
「湊さんって図書委員?」
「はい!」
司書室には図書室の中央通路を通って奥のカウンターの後ろに扉がある。
そこへ向かう為に僕たちは通路を進んでいたけど、不意に湊さんが何かに躓いて転びそうになる。
「きゃっ!?」
「危ない!」
僕は抱きかかえる感じで湊さんを受け止める。
「ご、ごめんなさい。」
恥ずかしそうに顔をうずめる湊さん。なんか柔らかいものが当たってる。
『フユト・・・さん?』
「え?」
僕がその声に反応して、図書室の入り口を見ると篝さんが立っていた。
相坂さんと一緒だ。
「か、篝さん!?」
驚く篝さんと、すごい勢いで睨み付ける相坂さん。
どうなってしまうんだ、僕・・・。
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