第22話
【視点:早坂冬登】
『おい、やめろ。』
僕は我慢できずに声を上げていた。
いかなる理由があっても、女の子に暴力をふるったり嫌なことを強要するのは許せない。
「あ?」
浜口が振り返る。相坂さんはまだ立ち上がらない。でも、ゆっくりと起き上がろうとはしている。
「誰だお前?先輩に向かってそんな口の聞き方はないんじゃない?」
「おい!フユト!」
モトキも僕の側に駆け寄る。
「へぇ、ニ対一ってこと?まぁいいけどさ。」
周りがざわめく。
「フユトさん!」
「か、篝さんが嫌がっているだろ。」
「へえ。かっこいいね君。」
まったく何とも思っていない浜口の口調。とても威圧的な顔に変わる。
僕はノープランだ。このあとどうするのかなんて考えてもいなかった。
「やめて!浜口さん!」
「やめてほしい?なんで?」
「暴力はやめてください。」
篝さんは恐怖に耐えるような声で浜口と戦っている。僕もなんとかしないと。
「それならどうすればいいのか、君なら分かるだろう?」
「ど、どうすればいいのですか?」
「僕と一緒にちょっと来てくれって言ってるんだよ。分からない?」
浜口はようやく起き上がった相坂さんの前に歩み寄る。
嫌な予感が頭をよぎる。
すると、僕の隣にいたモトキが相坂さんのほうへ向かって走る。
「相坂!!」
浜口の蹴りをモトキが受ける。
「ぐっ!!」
ガシャーンっと大きな音を立てて机共々吹き飛ぶモトキ。
「モトキ!!!」
まずい。このままではまずい。考えろ僕。
「相馬!!」
相坂さんがモトキに駆け寄る。
「だ、大丈夫か?相坂。」
「どうして!?」
「へえ。こいつ、お前の彼女か?」
浜口はまだモトキから離れない。
「嫌っ!」
モトキを睨みながら、今度は篝さんの腕を掴む浜口。
僕の心臓は一瞬大きな鼓動を打った。
「やめろ!!」
今度は僕が叫んでいた。
「お前、叫ぶことしか能がないのか?」
腕を掴んだまま僕を睨み付ける浜口。
「来るなら来い。その代わり、篝さんを離せ。」
「もうやめてください!お願いします!」
篝さんは泣いていた。
相坂さんはモトキを介抱している。
あとは僕が・・・。
僕が篝さんを助けないと!
好きな人も守れないで、何が好きだ!男を見せろ僕!
浜口との距離はあとわずか。
©️2017,2018,2019 すたじお・こりす/ёlrensia visual online co.,Ltd.




