第21話
昼休み。
「お譲様、今日はどこでお昼にしますか?」
相坂ちゃんがちょっと顔をニヤつかせながら寄ってくる。
「顔、笑ってますよ?」
「気のせいです。」
「いえ、笑っていますよね?」
「いえ、気のせいです。」
「報告しますね?」
「ごめんて!!」
「素直でとってもよろしいですね。」
私は少し意地悪をしてみた。
「水無月さん。」
すると、背後から男の人の声がして一瞬びっくりしてしまった。
「きゃっ!?」
相坂ちゃんがすかさず私の背後に割って入る。
「誰なのか分かりませんが、背後から声をかけるのは失礼ですよ。」
見慣れない男子生徒を睨み付ける相坂ちゃん。
「これは失礼。僕は2年の浜口って言うんだけどね。ちょっとお譲様に挨拶に来たんだよ。」
クラス全体がざわつく。1年のクラスルームに上級生が来ているのだ。無理はない。
「そういう挨拶はご遠慮してもらっていますが?」
「僕はお付きの人に用事があって来たわけじゃないよ。水無月さんに用事があるんだ。どいてくれないか?」
お互い対立が続く。
「ねぇ水無月さん、ちょっと話そうよ?別に何か手を出すわけでもないんだし、いいだろう?」
「・・・。」
私は何も答えられなかった。ちょっと威圧的な雰囲気で怖気づいてしまっていた。
「お譲様はこれから昼食です。はずしてもらえますか?」
それでも相坂ちゃんが私と対面させないように間に入る。
「とても失礼なお付き人だね?よくそれで仕事が務まっているね?」
「あなたには関係ありません。」
すると浜口さんが私の腕を不意に掴む。
「ひっ!?」
思わず恐怖で声が出る。いきなり知らない人に腕を掴まれ、私は完全に恐怖に支配されていた。
「離せ!!」
相坂ちゃんが浜口さんの腕を掴み離そうとする。
「そう怒らないでよ。ちょっと付いてきて欲しいだけだからさ?いいだろ?」
「離せと言っている!」
相坂ちゃんが平手打ちをしようとした瞬間、その腕は浜口さんに掴まれてしまう。
「僕を殴ろうとしたね?いけない付き人だ。」
「きゃっ!」
浜口さんはそのまま相坂ちゃんに平手打ちを返す。相坂ちゃんが床に倒れるくらいの勢いだった。
私はここで恐怖が怒りに変わろうとしていた。
「浜口さん!女の子に手を出すとは無礼極まりないですよ。」
私は睨み付ける。
「やられたらやり返す。男だろうと女だろうと僕には関係ない。平等ってやつだよ。」
不敵に笑み浮かべる。
『おい、やめろ。』
クラスルームに響く声。
「あ?」
浜口さんはその声の主の方を向く。
「やめろって言った。」
フユトさんだった。
「誰だお前?先輩に向かってそんな口の聞き方はないんじゃない?」
「おい!フユト!」
モトキさんも駆け寄る。
「へぇ、ニ対一ってこと?まぁいいけどさ。」
クラスルームがざわめきに変わる。誰か先生を呼びに行ってて欲しい。私はそう願っていた。
「フユトさん!」
「か、篝さんが嫌がっているだろ。」
「へえ。かっこいいね君。」
今度はフユトさんに近寄る浜口さん。
「やめてください!浜口さん!」
私は叫ぶ。
「やめてほしい?なんで?」
「!!」
とても恐ろしい声。威圧感に負け、私は何も言い返すことはできなかった。
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