第15話
【視点:水無月篝】
私は再び中庭に戻ってきた。
「篝ちゃん、どうだった?」
中庭で待っていたのは相坂ちゃん。二人きりになるチャンスを与えてくれたというわけだ。
「相坂ちゃん、帰ろう」
「何かあったの?元気無いわね?」
「今日はさ、私の部屋でお茶しない?」
「え?ええ、いいわよ。」
「行こう?」
「何かあったのね?」
「結局、私の事はお嬢様として見ていたのかもしれない。」
相坂ちゃんが何も言わずに頭を撫でてくれた。
「もう気持ちは消えちゃった?」
相坂ちゃんに言われた一言。
そんなことはない。例え、悲しいことがあってもこの気持ちは冷めていなかった。
「ううん。消えてない。」
「ちゃんと話さないと本当の意図は分からないものよ?また明日、話す機会があるといいわね。」
「ありがとう、相坂ちゃん。」
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私たちは屋敷に帰ってきた。実は相坂ちゃんも同じお屋敷の別館に住んでいる。
別館だと同じお屋敷とは言えないって?
通路は繋がってるの。
って誰に言い訳にしているんだろう、私。
「お母様、ただいま戻りました。」
「お帰りなさい篝。廻ちゃんもお帰りなさい。」
「ただいま戻りました、花音様。」
廻ちゃんと呼ばれた相坂ちゃんは、少し照れくさそうに挨拶を返していた。
「あら?どうしたの篝。何かあった?」
お母様にも気付かれてしまった。
「なんでもありません。ご心配なく。」
「そう?何かあったら相談しなさいね。」
「はい。」
「廻ちゃん、篝を頼むわね。」
「かしこまりました。」
「行こう?相坂ちゃん。」
「はい。」
相坂ちゃんはお母様やお父様の前では敬語しか使わない。例え私であっても。
二人で私の部屋に向かう。
「ふぅ。」
ため息をついたのは相坂ちゃん。
「ため息はダメだって普段から言ってなかった?」
「ここは篝ちゃんの部屋だからいいのよ。」
「もう。」
ここは私たちが私たちのままで居られる唯一の場所かもしれない。
「で?何があったの?」
「その話はもう少し待ってくれないかな。」
「あっそー。」
ぷいっと顔を反らして床のカーペットに大の字で横になる。
「このモフモフが気持ちいいー。このカーペット最高。」
ほんと自由だなこの子。
素の相坂ちゃんを見ながら、私の心は少し晴れた気がした。
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