第14話
しばらくの間、クラスルームで待機。
いつ戻ってくるのか分からない。少し緊張する。
「フユト悪い、ちょっとトイレに行ってくる。」
「おう。」
………。
ん?
このタイミングで戻ってきたら、かなりやばい状況じゃないか?
相坂さんもいるだろうから、なかなか誘いにくい雰囲気になってしまう。
しばらく考えているとクラスルームの扉が開く。
「あら?フユトさん?」
来た!
「や、やぁ。」
やぁってなんだよ。自分自身にツッコミする。
「あれ?相坂さんは一緒じゃないの?」
「えっと、お花を積みに行っているそうなので。」
トイレか。紳士ならここはあまり追及したらダメだぞ。って誰に言ってんだよ。
「……。」
お互い無言。なぜか篝さんも扉の辺りから動かない。
「えっと、鞄?」
「あ、はい。鞄を取りに戻りました。」
ようやく篝さんが自分の机に駆け寄る。
「………。」
『あ、あの!』
お互い同時に同じ発言。
恋愛漫画みたいな展開だな。
「フユトさん、先にどうぞ。」
くっ。可愛い。ここはメジャーに返したほうがいいのか?それとも本当に先に答えるべきか。
それにしてもモトキ遅いな。二人きりはかなり緊張するぞ。
「えっと、篝さんは……。」
この後は暇?
そう聞こうとして僕の思考は停止する。暇なわけないだろ。お嬢様だぞ。
「はい?」
「いや、帰りはお迎えが来たりするの?」
「……えっ?」
あれ?少し悲しそうな顔になったように見えたのは気のせいか?
「迎えは…来ません。目立ちたくないので。」
明らかにトーンダウンした篝さんの声。
気に触ってしまったのか?
「えっと、篝さんは何を言おうとしたの?」
急いで話題を変える。
「………いえ。いいんです。ごめんなさい。」
ズキッ。
ごめんなさいという一言に過剰反応してしまう。もし、ここで気持ちを伝えてしまったら。
もし『ごめんなさい』と言われてしまったら。
くそっ。なんて恋は難しい感情なんだ。
「あの、フユトさん。また……明日。」
鞄をじょうひんに持ち上げた篝さんは、少し寂しそうなままその場を後にした。
僕は追えなかった。
でも、確実に分かることは、篝さんを傷つけてしまったということ。
誰でも分かるようなあからさまな寂しさの感情を表に出していた。
「終わった……。」
はは。終わった…。
嫌われてしまった。
また明日と言われたけど、明日からどうすればいいんだ。
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