第13話
放課後。
「フユト、このあとどうする?」
「未定だ。」
「誘うんじゃなかったのか?」
「簡単に言ってくれるなよ。」
『ふぁっ!?』
ん?
今の声、篝さんか?
視線を向ける。篝さんが恥ずかしそうに顔を赤らめていた。相坂さんと話をしているようだ。
「なぁフユト。」
「ん?」
「あの相坂って、篝ちゃんから離れることってあんのかな?」
「ないだろ。護衛みたいなものらしいぞ。」
「篝ちゃんとふたりきりになったらどうする?」
「う、うるさいぞモトキ。」
静まれ、僕の顔。赤くなるな。
「顔、赤いぞ。」
うるさい、ほっとけ。
「あ。」
篝さんがクラスルームを出ていってしまった。
「フユト、追うか?」
確かに気になる。
「そうだな、追うか!」
「ストーカーかよお前。」
「バッ!お前が今誘ったんだろうが!」
「俺は『追うか?』としか言ってないからな。」
それを誘いと言わずに何というんだよ。
「早坂くん、ちょっといいかしら?」
背後から声がかかる。
「ん?」
クラスメイトの女子。名前は確か………。
確か……。
「………。」
「橘だけど。」
「あ、あぁ!橘さんね!うん、今思い出した!」
やらかした。
「で?何か用?」
「べ、別に特別用事があるわけじゃないけど、席が近いわけだし、これからよろしくって意味で…。」
あ、そういうご近所への挨拶的なやつか。
「う、うん。よろしく。」
なんか、『それだけ?』みたいな顔をされたんだけど。
「それじゃ、また明日ね。早坂くん。」
「あ、うん。また明日。」
橘さんは足早にクラスルームを出て行った。
「何だったんだ?あいつ。」
モトキも首をかしげている。
「いや、普通に挨拶だろ。」
「そんなもんなのか?まぁ、いいけど。」
こうしてる間に篝さんが行方はまったく分からなくなってしまった。
「はぁ。」
話足りないな。
とはいえ、どこに行ったのか分からないし、帰るしかないのか……。
「モトキ、帰ろう。」
「え?いいのか?」
「あぁ。もうどこに行ったか分からないしな。」
「篝ちゃん、鞄置いたままだぞ。」
「え?」
本当だ。もしかして、ここに戻ってくる?
「留まるか?帰るか?」
「悪いモトキ。少し待つ。」
「付き合ってやんよ。」
「わ、悪いな。」
「お前の恋の為だ。」
「そ、そんなんじゃねぇよ。」
本当はそんなんなんだけどな。あえて口にはしない。
いつ戻るのか分からないけど、僕は待つ。
そう決めた。
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