第16話
「篝ちゃん。」
「ん?」
カーペットに大の字で横たわりながら小さな声で私の名前を呼ぶ。
「告白しないの?」
「ふぁっ!?」
ななな!何をっ!?
「好きなんでしょ?」
「た、確かに……そうかもしれないけど…。いきなりはそんな。」
「恋なんて、みんな突然よ。」
相坂ちゃんは瞳を閉じているので本心なのか冗談なのか分からない。
「まだ……焦らなくてもいいんじゃないかな?」
私の心は今の結論。
「あんなパッとしない男のどこがいいんだか。」
「報告させてもらいますね?」
「わわっ!篝ちゃん、ごめんて!」
面白い子。
「でも、この事は身内には内緒にしてほしいの。」
「安心して。恋の邪魔だけはしないわ。」
私が一般の人を好きになるなんて、許されるわけがない。
「でもさ、花音様と秋伸様も学園恋愛でゴールインしたんじゃなかった?」
相坂ちゃんが私の方を向く。目は真剣だ。
「うん。お父様とお母様は学園で知り合って今に至るらしいの。」
「秋伸様は確か元一般の人でしょ?」
「うん。」
「篝ちゃんの胸は誰の遺伝なのかしらね。」
「な、なに言ってるのよ!」
私は胸を無意識に隠す。
「夏目の血?」
「やめて。」
私は即答する。自分でも驚くくらい冷たい声が出た。
「ごめん。」
「お茶にしましょうか?」
私は話題転換に移る。
「そうね。」
相坂ちゃんは起き上がり、テーブルの前に座る。
「この紅茶、いつ飲んでもおいしいわよね。」
「お母様の極秘ブレンドなんだって。私にも教えてくれないの。なんか、思い出の味だから自分だけのものにしたいらしいわ。」
「甘い青春時代のにおいがするわね。」
「そうかもしれないね。」
「でもさ、篝ちゃん。」
「なに?」
「紅茶に金平糖を入れるの、やめない?」
「な、なんでよ!甘くて美味しいからいいじゃない!」
「太るわよ?」
「うっ…。」
「太る前に明日告白しようか?」
ぶふっ!
紅茶を吹いてしまった。
「何でそうなるのよ?」
「別に。」
もう。
相坂ちゃん相手でも恋話は恥ずかしい。
今はまだ、私は自分の気持ちには嘘をつくことはできないのだった。
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