第10話
「あなたは?」
先輩とはどういうことなんだろう?
「私?私は後輩だよ!水無月先輩!」
「失礼とは存じますが、これ以上はお嬢様に近づかないでいただけますか?」
「相坂先輩はお厳しいね!」
「なぜ、私の名前を?」
「私は何でも知ってるよ。」
「何者ですか?」
「そんなに睨まないでよ、相坂先輩。そのうちきっと分かるから。」
「どういう意味ですか?」
女生徒は何も答えない。そして、ゆっくりとこちらに向かってくる。
相坂ちゃんが更に前に出て制止しようとする。
「これ以上は近づかないでいただけますか?」
「そんなに警戒しないでよ。私は水無月先輩と握手したいだけなんだよ。」
「ご遠慮ください。」
何だろうこの子。根拠は無いけど安らかな気持ちにさせられる。私の感はなぜかこの子は安全だと告げていた。
「相坂さん、平気です。」
「お嬢様!?」
私は相坂ちゃんの前に出る。
「水無月先輩、はじめまして。」
「あなたを何とお呼びすればいいですか?」
「水無月先輩、私は後輩だよ?敬語はいらないと思うな。」
「ごめんなさい。気を付けるわ。」
なかなか名前を明かさない。
「後輩さん、もし名前を言えないならあだ名でもいいよ?」
「おー。」
目を丸くして何かを察したことに嬉しさを感じているみたいだ。
「アイリって呼んでほしいな。」
手を差し出すアイリさん。
「水無月篝です。」
握手する。
瞬間、何か胸が熱くなる。なんだろう?不思議と懐かしさを感じる。
「アイリさん、あなたは何者なの?」
「あなたの後輩だよ?」
「早坂冬登さんとの関係は?」
相坂ちゃんが口を挟む。
「早坂先輩との関係?」
「はい。どういう関係でしょうか?」
「んー?なんで?逆に早坂先輩と何か関係があるといけない理由でもあるの?」
わっ!?えっ!?
私、顔が赤くなってないよね?
「特に深い理由はありません。」
「特に?」
「はい。」
なんだろう?相坂ちゃんが押されてる?
「相坂先輩は早坂先輩が好きなの?」
「ふぇっ!?」
とっさの事に変な声が出てしまった。
「………。」
相坂ちゃんは無言。
「ふーん、水無月先輩のほうなんだ?」
「ふぁっ!?」
ボンっと言わんばかりに顔が赤くなるのを感じる。
「いいね!いいね!早坂先輩は水無月先輩の事好きそうだからアタックしてみるべきだよ!」
「えっ!?」
さっきから驚きっぱなしな私。
すると昼休みの終わりを告げる予鈴がなる。
「あ、いけなーい!次体育だ!それじゃーねー、水無月先輩、相坂先輩!」
アイリさんはそのまま駆け足で屋上をあとにした。
「相坂ちゃん。」
「なによ?」
「いや、なんでもない。」
フユトさん、私の事、好きなのかな?
私はそこばかり気になっていた。
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