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第11話

それからクラスルームに戻ってからも、私は上の空で授業を受けていた。


『いいね!いいね!早坂先輩は水無月(みなづき)先輩の事好きそうだからアタックしてみるべきだよ!』


さっきのアイリさんの一言が頭を離れない。


何も根拠(こんきょ)の無い一言なんだろうと思う。でも、今の私はその一言にも過剰になってしまう。


でも、学園生活早々にしてフユトさんにフラれてしまったら私の3年間はかなり辛いものになりそうだ。


一目惚れ。


今まで私は一目惚れというものを経験したことがない。だからこそ、戸惑いもある。


「戸惑いねぇ。」


「!!!!」


私は慌てて顔を上げる。


「えっ!?相坂ちゃん!?」


え?授業は!?


「授業、終わったわよ。それに、クラスルームよ。」


あっ!


「相坂さん、授業はいつの間に終わったのですか?」


「お嬢様、頭大丈夫でございますか?」


「ちょっとぉ!!」


はっ!?


ついつい大声を出してしまった。


「な、なんでもありません。ははっ。」


空笑いで誤魔化す。


「覚えておきなさいよ。」


小声で相坂ちゃんを睨む。


相坂ちゃんのドヤ顔をどうにかしてやりたい。


それにフユトさんにも見られた。恥ずかしい。


「はぁ。」


ついため息が漏れる。


「お嬢様、ため息はいけませんよ。」


「はーい。」


「それと、今日はもう放課後です。どうしますか?」


「うーん、どうしよう。」


考えていないけど考えているふりをする。


「フユトさんとカフェでもいたしますか?」


「ふぁっ!?」


つい変な声になってしまった。クラスメイトが再び私に注目する。


「あ、相坂さん、とりあえずクラスルームを出ましょう?」


「ふふっ。」


不適に笑う相坂ちゃん。わざとだ。絶対わざとだ。



人が(まば)らな中庭に移動。


「ちょっと、相坂ちゃん!?」


(かがり)ちゃんは可愛いわね。からかいがいがあるわ。」


「もぅー。私で遊ばないでよね。」


近くに誰もいないのでいつもの口調になる。


「でも、ボヤボヤしてるとフユトさん帰っちゃうわよ?」


「そ、そうだけど。」


引き留める理由が浮かばない。


今日は少しだけど話せたからもう十分なんだけど。


話し足りない。


「それに、アイリという人物は気になるわね。」


相坂ちゃんが昼休みの出来事を振り返る。


「そうだね。あの子、一体何者なんだろう?」


「篝ちゃん、しばらくはアイリには気を付けて。」


「うん。」


思わぬ真剣な眼差し。私は素直に返事をした。


「あ、フユトさん。」


「ふぁっ!?」


バッと付近をみまわす。


「うっそー。」


むかつくわ。本気で怒っているわけじゃないけど。


「……報告させてもらいますね?」


「わわわっ!ごめんて!篝ちゃん!」


相坂ちゃんの弱点はもう知っている。定期的に相坂ちゃんの行動について報告する日がある。そこで悪い点を報告するという意味だ。


「今後次第ね。」


私はドヤ顔をするのであった。



©️2017,2018 ёlrensia visual online co.,Ltd.

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