第二十一話 黙れ性犯罪者
「……ふぁ~」
頭に心地よい感触を感じながら目が覚めた。目を開けるとニコニコしながら俺をじっと見ているサクヤ、何となくそのまま見つめ返す。
サクヤの頬が徐々に赤くなってきた。だからと言って俺は目をそらさないしサクヤも目をそらさない。
そんな二人の時間を作り出していると
「……おはよう、ご主人様、サクヤばかり見つめてないで僕のことも見てよ」
リオが頬を膨らませながら言ってきた。この場合は取り敢えず……リオを見つめよう。
じっと見つめているとリオが段々と笑顔になっていった。
流石にこのままと言うわけにもいかないので起きることにする。
「今更だけど二人ともおはよう」
サクヤの太股から頭を上げた。サクヤが残念そうにしている。
周囲を見渡してみると三人ほど増えていた、乗り合い馬車だから当然か?
「俺が寝てからどれくらいたった?」
「二時間ぐらいかな?途中に一度、町で止まったくらい……うるさくなかった?」
リオが何故か心配そうに聞いてくる。そしてそんなリオをサクヤがニコニコしながら見ている。
「別に煩くなかったよ?何かあったのか?」
状況が分からん。
「う、ううん!よくな寝れたならいいよ!」
?よく分からん。リオはオドオドしてるし、サクヤはため息をついている。説明がほしい。
「次の町はどれくらいかかる?」
御者に聞く。
「今は昼だろ、後四時間ぐらいだな。これから一旦止まって休憩だ。昼飯ならその時に食え。」
馬車が止まった。
馬車から降りる。
「ん~流石に疲れるなぁ」
腕を上げて体を伸ばした。
「大丈夫ですかシノン様?マッサージでも致しましょうか?」
サクヤが気遣ってくれる。
「いや、腹減ったから昼飯にしようか」
マッサージもいいけど腹が減ったからね
「分かりました。直ぐに準備致します。」
サクヤがアイテムボックスから色々と取りだし始めた。
「ご主人様、サクヤが料理し終わるまでマッサージしてあげるから横になって」
リオの方を向くといつの間にかシートが敷いてありその上で手招きをしている。
サクヤに断ったばかりだけど出来上がるまでは時間あるしいいかな。
「それじゃお願い」
シートの上に横になる。
「足からマッサージしていくね」
リオはガントレットを外して足を揉みほぐしてくれる。
「どう気持ちいい?」
「気持ちいいよ、上半身も頼んでいいか?」
本当に気持ちいい、リオはマッサージが上手い。
「任せて、それじゃ……っと」
リオが腰の上に跨がってきた。
「……リオ?」
「この体勢がやりやすいから、ご主人様も役得でしょこんな美少女が乗るんだから?」
少々照れくさそうにしながら言った。確かに役得だけどこれって他人の目があるところだと流石に恥ずかしいんだけど。
そう伝えると
「気にしない気にしない♪」
気にして欲しいんだけど
「シノン様、出来上がりました、簡単なものしか出来ませんでしたけど」
サクヤが声をかけてきた。
「リオ、ありがとうもういいよ」
リオにお礼を伝える。
「…分かった。疲れたら言ってね、またマッサージしてあげるから」
少々残念そうにしながら退いてくれた。
サクヤの料理を食べていると先程同じ馬車に乗っていた人達が近づいてきた
「食事中に悪いけど少しいいか?」
先頭の男が声をかけてきた。
「どうした?」
「いや、御者が腹を下した見たいでな出発が遅れるみたいだ」
「ああ、わざわざ伝えに来てくれたのか」
「それでなんだが……少ししたら俺らと模擬戦しないか?」
どういうことだ?
「いや、俺らはこれでもSランクの冒険者何だが…あっ、まだ自己紹介してなかったな。俺はタナス、こいつがマルス、でそのちっこいのがエルルという」
タナスは大剣を背負ったおっさん、このおっさんの面なんというか犯罪者?って感じ、マルスは長髪の魔法使いで中々のイケメン、エルルは身長が145㎝ぐらいの少女、パーティーを組んでいるみたいだ。
「俺はシノン、この二人は俺の仲間のサクヤとリオ」
「おう、シノンにサクヤにリオだな?その二人は奴隷か?随分と仲がいいな」
おっさんが二人について話題を振ってきた。もしかしてこいつ…
「……んで?少女を誘拐した挙げ句に人の奴隷に目をつけて模擬戦とかなんとか言って俺をボコり、二人を貰っていこうとしているおっさんがなにかようか?」
蔑むような目でおっさんを見る。俺の言葉に反応してサクヤとリオは俺を守るように前に立ち、マルスとエルルはドン引きしておっさんから離れた。
「ちょっと待てぇぇぇぇ!!!何でそうなった!俺は誘拐してないしそんなつもりもないからな!人のことをいきなり最低なクズ扱いするなんて酷いわ!!!というかマルスにエルル!お前らもその反応は何だ何年一緒にパーティー組んできたと思っているんだ!」
おっさんが突っ込み始めた。やはりこのおっさん、いじりがいがありそうだ。
「え~この流れはそうでしょ?犯罪者に捕まった私、それを助けてくれる彼ら、なにも知らなかった青年マルス、それで犯罪者のあんたでしょ?大人しく成敗されなさいな」
ノリがいいエルル
「タナスをがそんなやつだとは知らなかったぞ!僕にもその手伝いさせる気だったんだろ!」
これまたノリがいいマルス
「お願いします助けてください!この男が私を誘拐してあんなことやこんなことさせるきなんです」
エルルが涙目になりながら俺に抱きついて来た
「だから違ぇぇぇぇ!!!てかエルル何だよそれ!相手がイケメンだからっていきなり抱きついたりしてんじゃねぇ!そんなことより俺を助けろ!」
大声で叫ぶタナス、あれ?
「なあサクヤ、リオ、俺ってイケメンなのか?」
俺はイケメンに入るんでしょうか?
「当たり前です、シノン様よりカッコいい人なんていません!」
サクヤが
「当たり前だよ!ご主人様は絶対にイケメン!」
リオが
「当たり前!あなたがイケメンでないならタナスは不細工通り越してただのクズ!」
エルルが
「ちょっと待てぇぇ!!!エルルお前!クズとかいい加減にしろぉぉ!!」
タナスが
「お、おう」
そこまでいってくれるとはお世辞でも照れるな。途中でエルルが入った意味が分からんが。
注意 天野詩乃は顔面偏差値トップクラスです。勿論イケメンな方で。
「エルル仲間に向かってクズはないだろ!クズは!」
声を荒らげエルルを睨み付けるタナス
「きゃあ怖い!あの人私のことを視姦してる!絶対に手籠めにされる!」
それでもやめないエルル
「そこまで言うなら本当に襲うぞごらぁ!」
言ってから気づいたのか慌てて訂正しようとするタナス
「やっぱりそのつもりだったのね!」
だからと言って見逃すエルルではない
「い、いや今のは冗談だから」
「黙れ性犯罪者!もう大丈夫だからなお嬢さん俺が守ってあげるよ」
無論俺も乗る。俺のキャラではないけど面白いからいいかな?無論演技だけど
「ありがとうございます!私、いつ犯されるか怖くて怖くて」
泣き真似をするエルル
「いい加減にしろぉぉ!!エルルゥゥゥ!!」
あっ、タナスがキレた。エルルに向けて走り出した、ちなみにエルルは俺に抱きついている。
犯罪者顔のおっさんが怒って走ってくるとか怖いな!
……重域展開、重力操作『瞬間加重』
言葉通り一瞬だけ加重を加える技、といっても今のは普通の人間なら一瞬で潰れるけど俺はSランクのおっさんを信じている。
地面にめり込み人の形をした跡を作るおっさん、原型を留めているがピクリとも動かない。
「…大丈夫かあれ?」
指を指しつつ聞いた。
「大丈夫大丈夫、あの程度じゃ死なないから」
エルルが俺の腕を取りつつ言った。
マルスは苦笑しながら
「あれは頑丈だから気にする必要はないよ?それより追撃しない?しないなら僕がやるけど」
……追撃って、この場合は
「じゃあ頼む」
容赦などない
「任されました!炎よ集いて敵を爆散させよ『フレイムボム』」
空中に炎の塊が産まれタナスに向けて放たれた。
「ぎゃゃぁぁぁぁ!!!」
タナスにぶつかると爆発した。
……南無




