表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
13/16

13.美紅

私は今、何歳になっているんだろう。

あれから何年経ったのだろう。


こうやってベッドに寝たきりになり、

時の流れもわからなくなってしまった。


実は最近、少し意識があるんだ。

姉や看護士さんたちの話が少し聞こえる。


でもまだそれに対して、リアクションできるほどの

力はない。


でももうすぐ、少しくらいなら動けそうな気がする。

もし目が覚めたら、姉はなんていうだろう。


きっと涙を流して喜ぶだろう。

姉は最近、私に雑誌を片手に話しかける。


どうやら自分の特集が載っているらしい。

私が事故にあった時、姉はまだ

駆け出しの編集者だった。


自分の特集を組めるほど、

出世?したということか。

目が覚めたらきっと思いっきり自慢されるんだろうな。



忘れられない日……。

それは私が高校3年の時だった。


私には年の離れた姉がいた。


家族は4人。

病弱な母と、その治療費を稼ぐため

ほぼ家にいない父。


姉は私の母代わりだった。


姉はアルバイトをしながら大学を卒業し、

雑誌編集者になるという夢を叶えた。


なぜ雑誌編集者だったのか。


それは、私の母があるアイドルのファンに

なったことがきっかけだ。



母は私が高校1年の時に亡くなった。


母は生前ほぼ、ベッドから離れられない

生活を送っていた。


母の楽しみといえば、

テレビを見ることくらい。


そこで母はあるアイドルに恋をしたのだ。

もちろん、付き合いたいとかそういう恋じゃない。


彼の笑顔に救われたというか。

彼の活躍が母の楽しみとなった。


明らかに母は元気になった。

もちろん、病気は思わしくない。

だが、明るくなったのだ。


姉は言った。


「彼ってすごいよね。

知らないところでたくさんの人を

幸せにしている。


私、将来彼らのような人達と

ファンの架け橋になるような仕事

がしたい。



いつか、彼と会える立場になった時に

お母さんと会わせてあげたい。

そしたらきっとお母さん、病気なおったりしないかな?」



もちろん姉も本当にそんなことを

思っていたわけではないと思う。


姉がアイドルと会える立場には

ほど遠い時期に残念ながら母は他界した。


そのアイドルもいつか露出が減り、

すっかりメディアからは消えてしまった。


でも姉は夢を叶えた。


そして知っている。


姉の恋人はじつはすごく美しいということを。


誰も知らない。


でもその彼はもういない。

原因は私。


あの時、私がいじめの現場に遭遇しなければ。

私がいじめを見て見ぬふりして

通り過ごせたら。


私がこんな寝たきりになることもなかった。


そして……、

蓮さんが命を落とすこともなかった。


私はもうすぐ目が覚める気がしている。

でもその時、私は姉になんていえばいいのだろう。


ごめんなさい。

蓮さんを奪ってしまった。

もし一つだけ願いが叶うのであれば、

もう一度蓮さんと姉を会わせてください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ