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第一部 桃色の缶と、はじまりの恋 第四章 桃缶 その二
なんで来たの。なんで、よりによって桃缶なの。
「お前、顔赤いじゃん。熱あるんだろ?」
蓮の第一声にすぐに反応できなかった。
何が起きてる?
文句を言う予定だったのも吹っ飛んでしまった。
「……なんで?」
桃花が聞くと、蓮は桃花の友人から高熱を出して休んでいることを聞いたんだと言う。
「見舞いだよ!」
そう言ってビニール袋を目の前に見せて揺らした。
ああ、桃缶……。
知ってるわけないんだけど。
どうして……。
ポロポロ泣き出す桃花を見て、蓮は高熱でしんどいんだろうと勘違いした。
「外の空気は体を冷やすから。熱上がるぞ。」
そう言って肩をそっと掴んで、
「とりあえず、お邪魔させてもらうから」
そう言って玄関のドアを閉めて、そのまま上がり込み、桃花の両肩に手を置いて、後ろからそっと進ませた。
ベッドを見つけて、桃花を座らせた。
「横になった方が良い」
言われるまま、桃花は布団に入った。
「缶詰開けるか?」
と蓮に聞かれた時、桃花はもう夢の中だった。
桃花がもう夢の中に入ってしまっても、蓮は帰らなかった。




