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桃色の夜に、きみがいた  作者: Noct


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第二部 桃色の約束 エピローグ 桃色の約束

夕方、蓮と別れた後の一人で帰る十分間。その時間が、桃花の一番好きな時間になっていた。

桃花には、好きな時間ができた。

夕方、蓮と別れた後の、一人で帰る十分間。

今日あったことを、ゆっくり思い出す時間。 蓮の言葉を、もう一度だけ確かめる時間。

(今日は百円玉だった。)

(昨日は「笑ってる時の顔、好き」だった。)

(その前は「大したことないよ」だった。)

大きなことは、何もない。 それでも毎日、何か一つ、残るものがある。

(これが好きってことなんだ。)

(誰かと一緒にいるってことなんだ。)

Noctの町の夕暮れは、いつも少し橙色に染まる。 海の方から風が来て、桃花の髪を揺らした。

(蓮に、また会いたい。)

(明日も、明後日も。)

(ずっと。)

それはまだ、声にならない約束だった。 でも桃花の胸の中で、確かに、桃色に咲いていた。

声にならない約束が、胸の中で桃色に咲いていた。大きなことは何もない毎日が、こんなに重いなんて。好きな人と過ごす普通の一日の、全部が宝物だった。第二部「桃色の約束」読んでくださってありがとうございます。

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