表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第3章 千面道化襲来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/137

第98話 禁忌の書

「ちょっと待った!」

「その判断は理解に苦しみますな!」


 俺とコノハ先生はほぼ同時に異議の声を出した。


「「この男と組むなんてごめんです!」」


 コノハ先生と声が重なる。

 めちゃくちゃ不快だ。


「変装を見破れるイロハと、ホムンクルスによる人海戦術で人探しのできるコノハ先生、探索という分野でこれほどまでに素晴らしい組み合わせはないと思うがね」

「……脳みそついているのかこのカボチャ頭は」

「……ふん、奴の頭には炭水化物とカロテンしか入ってないさ」

「悪口バンバン聞こえてるぞ~、君たち」

「まぁいいか。班と言っても、別に共に行動する縛りはないはずだ」


 コノハ先生はあくまで俺と別行動をとるつもりだな。


「貴殿の言う通り強制はできない。しかし、これから吾輩がする話を聞いたならばコノハ先生は必ずイロハを利用するはずだ」

「ほう、面白い。では聞かせて頂きましょうか、私を納得させることができる魔法の話を」

「千面道化の逮捕・撃退・殺害、いずれかを達成した場合、オーロラファクトリーにはユグドラシルへの永久パスポートを、コノハ先生には我が校が保有する禁書の一冊を貸し出すことを約束する」

「それは……凄いわね」


 ルチアが笑う。


「ユグドラシルって学校の後ろの方にあるでっかい樹だよな」


 雲にまで届きそうな大きな樹だ。


「そこに入るための通行証……ってそんないいものなのか?」

「馬鹿ねアンタ! ユグドラシルは素材の宝庫よ! 普通、入るとなると必ず教員の付き添いが必要で、手続きも色々と面倒なの。それを全部パスできるって相当よ!」

「その通りだ。ユグドラシルが開放されれば、できることは大いに増える。私としても逃す手はない」


 ヴィヴィも乗り気だ。

 賢者の石にまた近づく、か。

 ちら、とコノハ先生を見る。コノハ先生は口元を手で隠し、こめかみに汗を這わせる。


「……それはつまり、『ニコラスの魂性理論(こんせいりろん)』や『パラケルススの人体法羅(じんたいほうら)』、それに……アゲハ=シロガネ著書の『禁忌の目次(タブー・リスト)』も対象ということですか?」


 爺さんの本だと?


「うむ」

「くくくっ……なるほど。これは良い話だ」

「ちなみに期間は2週間だ。ジョシュア先生の報酬は……なにがいいかね?」

「王都の義肢展覧会への出展資格をファクトリーに頂けたら幸いです」

「わかった、それでいこう。では諸君、話は以上だ。退出したまえ」


 失礼しました。と全員が校長室を出る。


「拠点はどこにする?」


 コノハ先生がジョシュア先生に聞く。


「お前の研究所はどうだ? 四季森なら俺も最大火力で戦える」

「そうだな。あそこならラビィも全開で戦える。拠点にするのは構わないが、勝手に俺の研究棟や保管棟を覗いたら殺すからな」

「はいはい。お前は学生の頃からホント、秘密の多いやつだよな」


 ジョシュア先生の前だからか、コノハ先生の態度が少し柔らかい。


「ジョシュア先生とコノハ先生は学生時代からの友人なんですか?」


 フラムが聞く。


「そうだよ。他にはレインも俺らの同級生だ」


 レイン副校長も……確かに、外見年齢で言えば同じくらいか。


「そうだ、レインの奴はなにをしている? 武力で言えばアイツが一番だろう」

「アイツはこういう時ユグドラシルの防衛に回されるからな、今回もそうだろ」

「ちっ。ならばヴィヴィをユグドラシルに入れて、ヴィヴィとユグドラシルの両方をアイツに守らせればいい。そうすれば探索に人数を割ける」


 よっぽど俺と2人になるのが嫌みたいだな。


「ユグドラシルの中は強力な魔物もいっぱいいるし、守る対象が2つもあるとレインでもキツイんじゃないか? 融合錬成は必殺だ、レインだって千面道化相手だと確実に勝てるとは言えない」

「そういえば、融合錬成ってどういう錬金術なんですか? 2つの肉体を1つにする錬金術っていうのはわかりましたけど、発動条件とかよくわからないんですけど」


 俺の質問にジョシュア先生が答える。


「千面道化の手に合成陣があっただろ? あの合成陣に触れた生物と千面道化自身を分解し混ぜ合わせ、ガワを対象に、中身を千面道化にしているんだ。多分」

「でもアランは千面道化に触れられても無事でしたよ?」

「アイツが触れた部位が義肢だったからな。融合錬成は生物だけが対象、義肢じゃ反応しない」

「融合錬成で厄介なのは対象の記憶も抽出できるところだな。ウツロギさんが吸収されたことで、ランティスの地理や三級以下の機密事項は奴に知られていることだろう」


 コノハ先生が補足する。

 相手の記憶も奪えるのか。確かに厄介だ。

 そうか。だからあそこまで自然にウツロギ先生の演技をできていたんだな。


「俺は今夜までに必要な物を準備し、拠点も整備しておく。全員、着替えや日用品を持って18時から19時の間に俺の研究所に集合しろ。今日から千面道化を殺すまで、俺の研究所で暮らしてもらう」


 そう言い残してコノハ先生は階段を下っていった。


「ヴィヴィ。お前は俺の家に来てもらうぞ」

「セクハラですか?」


 ヴィヴィは目を細める。


「なにを勘違いしてやがる。俺も家に荷物を取りに行くからついてこいってんだよ。今はお前から目を離せないからな。それが終わったら今度はお前の家に荷物を取りに行く。他の面子は自分の荷物をまとめたらヴィヴィの家の前で待ってろ。全員揃ったら四季森に入る」


 というわけで、俺達は一旦ヴィヴィとジョシュア先生と別れ、家に帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ