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妖狐のハンコウキ  作者: 烏丸 和臣
第二章 神鳴衆
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真の兵達

 ここはナゴヤと呼ばれた都市にある神鳴衆のアジト。そこで新たな仲間、アンクとプロテを加えた僕達は国の中央にある通信基地に向かおうとしていた。


「だが……通信基地を襲うのはかなり難しいぞ。護衛が多い」


 みんなが準備を進める中、プロテがただならぬ空気で言った。


「その護衛ってのはそんなに脅威なのか?」


 お頭が真剣な顔で聞いた。


「あぁ……格が違う……」


「俺達、鳥籠で生まれたフラグは能力や技術などによって4R(フォースランク)から1R(ファーストランク)まで階級が分けられてんだ」


「俺達は4R(フォースランク)。だが護衛には3R(サードランク)が3人もいる……」


「控えめに言ってもかなりの戦力が必要だぜ」


 それを聞いた皆が考える。先の大戦で衛星までもが攻撃の対象となったことで世界中の通信網はほとんどやられた。

 そんな世界で通信もなしにあの山脈を越えようとするのは砂漠からの帰還に等しい。故に奴らは死ぬ気で守るだろう……。


「なら、それ相応の戦力で叩き潰すまでだ……」


 お頭がそう言うもすぐにメンバーを招集する。


「真田と龍樹。あとサポートでリンも向かってくれ」


「わかったぞぉ」「了解です!」「わ、分かりました」


「それと、高。行けるか?」


 そう言って呼んだのは元二番隊隊長である高凱隼ガオカイシュンさん。


「行けるネ。奴ら輪切りにしてくるヨ」


 そうして4人の隊が組まれた。


「途中までは全員で、その後基地には4人で向かってくれ」


 そうして動きが決まり、出発した。


 ◆◇◆◇


「そういえばアンクもプロテも、なんか名前特徴的だな」


「確かに。嫌にならないの?」


 僕達はその後高速道路上を走り、気づけば山間を走っていた。その時に起こった不意な疑問を聞いた2人はそれぞれ異なる反応をしていた。


「俺は別に嫌じゃねぇな。カッコいいし」


 アンクはあまり不満はないようだ。道中で教えてもらったが、最初はカタカナで「アンク」と名付けられていたのだがそれがイマイチで2年前に「暗愚アンク」と勝手に変えたらしい。


「やっぱ男たる者かっこよさを追い求めなきゃな!」


 そう笑うアンクの横でプロテはため息をついていた。


「俺はこんな名前嫌いだ」


 プロテがそう言い切る。その言葉にアンクも驚愕した。


「えぇ⁈ いい名前じゃねぇか! 面白くて!」


「それが嫌なのだ。お前と同じ、かっこいい方が良い」


 少し意外だった。プロテは体の殆どが金属で表情もあまり変わらず、言葉だってアンクに比べたらかなり固い。それなのに年相応にかっこよさを求めるのはなんだか少し笑えた。


「やっぱりそうなんだよなぁ……」「なら自分で変えたら?」


 僕が共感するとシオンがなんの脈絡もなくそう言ったのだ。


「名を……変える?」


 プロテが目を丸くする。


「良いじゃねぇか! 自分で好きなように名前決めれるのも楽しそうだぜ?」


「だがそんなことしても良いものなのか?」


「良いんだよ。実際に俺たちも苗字を捨てた」


「捨てただって?」


 それにプロテがまた驚く。だがすぐに下を向いて何かを考えていた。


「名を変えるのも……良いかもな」


 そしてどこか晴れやかな顔でそう言った。


「一緒に考えようぜ!」「良いもんだぞ」


 そうして空気が少し温かくなった時、隊が立ち止まる。そう、通信基地の近くに来たのだ。


「じゃあ皆、頼んだぞ……」


「分かったぁ」「任せてください!」「が、頑張ります」「ほら、行くヨ」


 そうして選出された4人が通信基地の方向にある森へ消えていった。


 ◆◇◆◇


 通信基地奪取に向かった4人が息を潜める。


「全員、あそこの3人組潰すヨ……」

 高隊長はそう言うと猛獣のようなマスクを被った。


「アイツらなめろうにするぅ……」

 真田さんがあの得物を抜く。


「パイセン。援護頼みました」「うん、気をつけて……」

 龍樹さんとリンさんも臨戦態勢だ。

 その時、基地の近くにいた3人組が一斉に隊長達を睨む!


「敵……60m、南東……」「懐かしい顔もいるんじゃん?」「あの2人はやはり使えなんだか……」

 そして1人の男が近くにあった木を片手で引き抜いた!


「挨拶はやっぱ必要じゃん!」

 そうしてそれを豪快に投げた!


「下がれぇ、巻き添え喰らうぞぉ」

 既に構えていたリンさんと龍樹さんを真田さんが引っ張る!


「えぇ!」「ち、ちょっと。どういう……!」

 2人は有無を言わさず距離を取らされ、落下する木の先には高隊長ただ1人。


「隊長!」

 その瞬間、あの人が狩猟刀を抜いた。


「五月蝿えなぁ……舐めんな……」

 そして頭上の巨木に唐竹一閃! 次の瞬間、生命力に満ちていた木が真っ二つに切られた……。

 二つになった巨木が地面を転がった。


「やっぱりアイツじゃん? 蘭陵王らんりょうおう!!」

 3人の殺気が膨れ上がり、木の葉を舞い上がらせる。

 蘭陵王。その名は大陸の古い歴史に刻まれる武将である。その美貌によって敵に侮られることを防ぐために仮面をつけて敵を屠り続けていた武人。

 そしてその本名は高長恭こうちょうきょう……高隊長の先祖なのだ。


「さぁ、お返しだヨ……」

 次の瞬間、マスクを外した隊長が短弓を取り出して三本の矢を同時に放つ!


「避けなきゃじゃん!」「迎撃……」「カァァアッ!!」

 その矢は一直線に3人を貫こうとする! だが奴らも猛者。1人は避け、1人は撃ち落とし、1人は弾いた。


「追えぇ、逃すなぁ」


「はい!」「お気をつけて!」

 次の刹那、龍樹さんとリンさんは矢を避けて森に変えた奴を追い、真田さんは矢を撃ち落とした奴の元へ駆け出した!


「降りてこい! 異国の民よ」

 残った1人が隊長を睨みつける。


「……」

 だが隊長は無言で矢をつがえ、撃つと同時に走り出した!


「小賢しいわ!」

 奴が矢を避けるとそれは樹木を貫通して地面に深く突き刺さる。

 そして奴も反撃に移った!


「カァァァアッ!!」

 奴が刀を振るった瞬間! 隊長の腕を謎な斬撃が掠める!


「チッ……」


「我が斬撃は必中じゃぁぁぁぁあ!」

 そして奴が刀を振るう! 周りには我武者羅に振っているよう見えるだろうがその斬撃は隊長の身を削り続けていた。


「フゥゥゥ……」

 隊長は木々の間を飛び回りながら奴に向かって矢を何本も放つ!


(奴の能力、必中とは言っていたが恐らく違うネ。刀を振った方向にいる生物の近くに斬撃が発生する……)

 隊長は最初の攻撃以外全てを避けながら冷静に状況を見ていた。


(当たる確率は高くても視認できなければ外れも多いネ)

 その瞬間、隊長がマスクを被り弓をしまった!


「分析終了ネ。あとは狩るだけだ……」

 そして一気に距離を詰める!


「来い! 切り刻んでやる!」


「土に帰れ!!」

 そうして2人が激突する!


 ◆◇◆◇


「クソッ! あの野郎どこ行った?」

 隊長と剣士が遠距離戦を繰り広げている中、龍樹さんとリンさんはあの時避けて森に消えた怪力男を追っていた。


「この眼でも見つけられない……一体どこに……」

 リンさんも能力で探すが影すらない。


(ここで奴を逃せば面倒なことになる……急がないと……)

 そうして2人が捜索していた瞬間、巨大な鉄塊が空を切る。


「ん?」

(鉄の匂いと空気の揺らぎ!)

 龍樹さんはその異変を野生的な感覚で察知する!


「パイセン離れて!」

 そしてリンさんを突き飛ばした刹那!


「隙ありじゃん!」

 そして巨大な薙刀が龍樹さんの背中を切り裂く!


「ぐぅぅぅぅぅぅう!!」

 龍樹さんは咄嗟に背中の筋肉を固めるがそれすらも強引に断ち切られた!


「クソがぁ……」

 龍樹さんの背中から血が滝のように流れる。


「隙あるのが悪いんじゃん?」

 奴の得物は薙刀と呼ぶには巨大すぎる質量と分厚さを持っていた。



 そして、この地が凄惨な戦場へと変わった。

さて、いかがでしたでしょうか?

今回は戦闘の導入でしたね。やはり隊長は別格の強さですが3Rの剣士も負けてはいない!

戦闘の結果は次回以降にご期待ください。

それでは、感想や評価、ブックマーク登録などしていただけると嬉しいです。

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