敵の姿、新たな仲間
ここはナゴヤと呼ばれた都市から少し離れた高速道路の上。ここで俺達は襲撃者2名を撃破した。
「楽しかったぜ……だがもう、これで終わりだ」
俺の前に倒れているのは「衝撃拳」の能力を持つ男。
「俺もだ……やるなら、さっさとやれ……」
既に奴は満身創痍。俺はゆっくりと刀を振り上げ、奴の心臓目掛けて落とした。
……だが何者かに手を止められる。
「おいガキ1号ぉ、まだ殺すなぁ」
その声が聞こえた瞬間、俺の体が吹き飛んだ!
「……は?」
突然のことに脳が働かない。それに加えて骨折などの怪我を負った体も動かず、無抵抗のまま地面を転がった。
「ぐぅぅぅぅ……」
声の主は真田さんだ。僕は視界の奥で奴と真田さんを捉えた。
「何だよてめぇ……水さすんじゃねぇよ……」
奴があからさまに嫌そうな声を出す。
「お前は捕獲して連れてくぞぉ、拒否権なしだぁ」
そう言って真田さんが奴を強引に持ち上げた。
「はぁ⁈ ふっざけんな! なんで連れてかれるんだよ! おい、お前も何とか言えよ!」
奴もジタバタ抵抗し、僕に助けを求めるが……
「すまんな、そこに飛び込むと僕の命がなくなるんだ。だから……頑張れ!」
僕は爽やかな笑顔であっさり奴を見捨てた。
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁあ!!」
「ほらぁ、来いよぉ。暴れてると刺身にするぞぉ?」
真田さんは狂気的な笑みを浮かべながら奴を連れていく。
◆◇◆◇
ここは高速道路の奥、そこで天兵達が怪我の手当てをしていると真田さんから連絡が入る。
「はい、こちら天兵です」
「ガキ2号ぉ、そこにいるエビスダイ簀巻きにして連れてこぉい。早くしろよぉ」
「は、はぁ……」
(エビスダイ→鎧のような鱗→鎧→鉄→体が鉄? →……コイツ?)
天兵の脳がマッハで回転し導き出した答えは、「半機械人=エビスダイ」
その時、捕縛された奴も起きる。
「……お前魚だってよ……」
「いったい何を言っている?」
「あなたは魚」「はい、魚です」「魚らしいっすよ」
瞬間的に現場はよく分からない空気と魚という言葉に支配された。
◆◇◆◇
そうして僕達は襲撃者二名を抱えながら本隊と合流する。
「よぉお前ら、2時間ぶりだな」
龍樹さんが声をかける。
「2時間でその言葉使えるんですか?」
僕は傷だらけの体で何とか奴を下ろした。
「それで、なんで合流するんですか? 作戦と違うと思うんですけど……」
「そうなんだけどな。まず作戦の概要は分かってるよな?」
龍樹さんがそう聞くが流石に僕でも分かってる。
「はい、現在の戦力を均等になるよういくつかの隊に分けて各地で研究所の捜索や戦力増強、敵の撃破等を行う……でしたよね?」
この作戦は雷帝軍が一時期使用しており、かつて動乱の世で圧倒的な力を持った英雄であり独裁者、織田信長も用いていた「方面軍」と言う策だ。
「そう、だがそうも行かなくなってな……」
龍樹さんの声と共に現れたのはあの場から謎に姿を消していた桐崎隊長だ。
「桐崎隊長⁈ 何でここに⁈」
僕が驚くと隊長がゆっくりと手を開いた。そこにいたのは小さな金属の虫。
「隊長、これは?」
「コレハ機工蟲トイウ蟲型ノドロイドダ。戦中ニ製造サレ、潜入、監視、果テハ攻撃マデ幅広イ用途デ使用サレタ」
「戦中のそんな物が20年経っても動いてるなんて不思議ですね……」
僕がそう言うと二つの拳が鈍い音を立てて僕の頭にぶつかる!
「ぐえっ!」
「アホかヨウタ。不思議で済ませちゃいけねぇんだよ」「本来充電と操縦が必要な代物だぁ、誰かが俺達を監視してたに決まってんだろぉ?」
龍樹さんと真田さんが容赦なく僕を殴ったのだ。
「ソウダ、ダカラコイツラニ尋問シヨウト思ッタノダ」
桐崎隊長がゆっくりと奴らに近づく。
「な、何だよ……」「お前達に割れるほどこの口は脆くないぞ」
「割ル必要ハナイ。オ前達ガ奴ラノ下ッ端戦闘員デアルノハ分カッテイル」
そして奴等の肩に巨大な手を置く。
「ヤラレタト知ラレレバ間違イナク処分サレルダロウ。ココデ情報ヲ吐ケバ命ハ助ケルゾ。ドウスル?」
それを聞いた奴らが驚いて目を見合わせる。忠誠を誓う兵士にとってこの2択は簡単……「裏切るならば死ぬまで」それが答えだ。しかし奴らは下っ端、よって忠誠心などないだろう。
「……」「……」
2人が黙る。すると真田さんが奴等の首に得物を押し当てて口を開く。
「お前達ぃ、仲間になれぇ。どうせ忠誠心もクソもないんだろぉ?」
そして悪魔のような言葉を放つ。
「くっ……」「……」
すると奴らがゆっくりと口を開いた。
「分かった、全部話すよ。その代わり仲間に入れてくれ」「どうせ死ぬならば暴れて散る方が良い」
そしてそう言ったのだ。
僕達はそれを受け入れて縄を解く。
「俺はアンク、こっちはプロテだ」「よろしく頼む」
そうしてアンクとプロテは話し始める。
「お前達が「研究所」と呼ぶもの、名は「統一研究部」……通称「鳥籠」だ」「鳥籠は全国におよそ十ヶ所の支部を持ち、その全てで大量の改造人間。「フラグ」の実験が行われている」
「フラグか……研究の指揮を取っているのは?」
「分からん。かつては組織のリーダー自ら率いていたそうだが、聞いたところによると今はもうAIがやってるらしい」
(AI……戦中まであったのは知ってたけど実在するんだ……)
おそらく存在を知っているのは戦争を生き抜いた者だけ。確か人間の能力を超えたとか超えてないだとか聞いた気がする。
「リーダーについての情報は何かあるか?」
「分かんね、少なくとも正体を知ってるのは幹部の何人かだけ……俺達は声すら聞いたこともねぇ」「だが一時期名乗っていた名があるそうだ。噂によれば「オウム」らしい」
「オウム……か……」
その言葉を聞いた時、お頭達数名の顔が険しくなる。
「後、俺たちに一度だけ話された組織の目的がある」「奴ら曰く、「世界の再創と信仰の具現化」。これを果たす為に命を捨てろだそうだ」
(世界の再創と、信仰の……具現化?)
僕達はその言葉の意味がわからない。
世界の再創はまだ分かる。世界の状況は詳しくはわからないが戦争末期には核兵器が大量に使用されたらしい……なら世界は今荒れているなんてものじゃないはず、それを復興すると言うことだろう。
だが信仰の具現化は分からない。
信仰なんて見えるものでもなければ今の世界にとっては無いに等しい。それを具現化なんて馬鹿げているにもほどがある。
「ソレガ実現スレバ……良イコトニハナラ無サソウダナ」
「とにかくその支部十ヶ所を潰そう。その為にも戦力の分配をしないと……」
龍樹さんの言葉を近くの草薙隊長が止める。
「いや、まとまって動くのが最善だ。下っ端であってもこの戦闘力、人数差が無ければ最悪の事態になるぞ」
その言葉にお頭も賛同する。
「基本は全員で、作戦の時だけ分かれれば良い。ここから近い奴らの支部はどこだ?」
「山脈の中に通信基地がある。そこなら情報があるだろう」
「ならそこに向かって行こうか」
『はい!』
そうして僕達は新たな仲間を得、行くべき地を定めた。
さて、いかがでしたでしょうか?
今回はギャグ回的な感じでしたね。アンクにプロテの仲間入り。謎の多いボス「オウム」……不思議がたくさんですね。
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