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妖狐のハンコウキ  作者: 烏丸 和臣
第二章 神鳴衆
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決着

 ここはナゴヤと呼ばれた都市から少し離れた高速道路の上。そこで地獄のような死闘が繰り広げられていた。


「真っ二つになれよぉぉぉぉお!!」


「なるかぁ!」

 俺が戦っているのは「衝撃拳ショットガン」という能力を使用している男。

 一度の攻撃に2度の衝撃。そのイレギュラーが確実なやりにくさに繋がっていた。


「ショット!」


「がはっ!」

 奴の拳が突き刺さる! ただでさえ鉄甲を使った打撃は強力なのにそこからもう一つの打撃が来る!

 しかし、殴り飛ばされながらも俺は冷静に分析していた。


(奴の能力はおそらく)


「蜂の巣になってろよ!」

 俺は奴との距離をとってチャカを放つ! だが奴は体を回転させながらその弾を避けて近づいてくる!


「がぁぁぁあ!!」

 俺は迎撃の横薙ぎを放つが鉄甲で軽々と防御される。


「ショット」

 そしてなんと刀が弾かれた! 体勢が崩れる。その隙を奴が見逃すわけがない。


「大連発だぁぁぁぁあ!!」

 そして目にも止まらぬ連打を叩き込んだ! 俺は耐えきれずに吹き飛ばされる!


「チッ!」

 なんとかフックを高架に引っ掛けて踏ん張る。


「よっとぉ!」

 そして勢いをそのままに高架の真下を通る! そして反対側、奴の後ろに現れた!


「背後取ったり!」

 そして能力を発動する! そして放つのは隠しておいたとっておきだ!


「妖陣! 狐火!」

 次の瞬間、掌に赤い炎が灯る。そしてそれを奴に投げつけた!


「何ぃ⁈」

 突如発生した思わぬ搦手に奴が驚愕する。そしてその火の玉が奴の胸に直撃し、激しく燃え上がった!


「熱っ! ……くねぇ?」

 奴は一瞬で冷まそうとするが違和感に気づいた。


「隙見せたなぁ! そこまでだぜ!」

 そう、あの火の玉は俺の幻覚。つまり何も飛んじゃいない。しかし奴の脳は「火の玉に当たった」と錯覚する。


「一本もらったぁぁぁあ!!」

 そして奴の顔面に渾身の左ストレートを叩き込む!


「がはぁぁぁぁあ!!」

 強化された拳を受け止める事は容易ではない。奴は耐えられずに後方へ吹き飛ぶ!


「この野郎……人の顔面殴るなって教わらなかったか?」

 奴の口からは血が一筋流れていた。


「人の体ボコスカ殴ってた奴にだけは言われたくねぇな!」

 そして再び奴とぶつかった!

 金属のぶつかる甲高い音と血飛沫の上がる音、コンクリートを割る音などが重厚な音楽のように重なって空気を震わせる!


「おっしゃぁぁぁぁぁあ!!」


「くたばれよぉぉぉぉお!!」


 ◆◇◆◇


 俺たちが互いに血を吐き、身を削り合っていた時……高速道路の奥でも超規模の戦いが行われていた。


「ッシャァァァァア!!」

 天兵の手裏剣が絶え間なく空中にいる狙う!


「鬱陶しい……」

 奴は背中に小型のミサイルを作り、それを3人に向けて発射する!


「私に任せて!」

真透紫眼しんとうしがん!!)

 その瞬間、リンさんの右目が紫に光りライフルを鋭く構えた!


「ハァァァア!」

 そしてミサイルを全て撃ち落とす!


「この……!」

 逆上した奴が腕を剣の形にしてリンさんに突進する!


「シオンちゃん、お願い!」

 その時、影から気配なくシオンが飛び出した!


(天力で強化した状態なら大体ドライブ1状態程度の身体能力になる。なら……)

 その刹那、シオンの空気が変わる。


「ドライブ! 2!!」

 そして速度の乗った奴を真正面から弾き飛ばした!


「ぐおっ!」

 だが奴もただではやられない。吹き飛ばされながら銃弾をばら撒く!


「フゥゥゥ……」

 しかしそれも極限の集中状態に入ったシオンは全て弾く!


「クソが……」

 そう吐き捨てる奴の顔には焦燥が滲んでいた。


(アイツの弱点……それは初動の遅さ)

 天兵は奴の弱点を掴んでいたのだ。


(戦闘力は高いが、まぁ能力の影響だろう。頭で動きを考えてから一度データ化して体に信号を発する。その一手間による遅さが奴の弱さ)

 天兵が先程、奴の考えを覗いた時に大量に流れ込んだ数字の羅列、0か1しかなかったそれは戦前のデータ社会で主流であった二進法。

 天兵はその違和感を見抜いて策を立てたのだ。


「クッソがぁぁぁあ!!」

 奴が弾丸を大量に放つがその全てが当たらない。強化を使用した2人にとってその弾幕は薄いのだ。


「よし! 決めるぞ、リンさん! シオン!」

 天兵の声に合わせて2人が頷く。そして天兵がコンクリートを踏み抜きながら超速で突進した!


「ッシャア!!」

 そして勢いよく二つの手裏剣を投げる!


「ふんっ」

 しかし空中の奴はそれを軽々と避けた。そして反撃に出る!


「ガァァァァア!!」

 そして奴が腕や肩、背中から大量のキャノンを発生させる!


(エーテル解放!)

「消し飛ばせ! バーストキャノン!」

 そしてその全てを同時に発射した! 辺り眩い光が包み込んでいく。


(来た!)

「オラァァァァァア!!」

 その瞬間、天兵がその弾道から離れて後ろからリンさんが現れる!


「神原くん! しっかり頼むよ!」


「合点承知です!!」

 ライフルを構えるリンさんの後ろを舎弟衆の神原が支えていた。


真透紫眼しんとうしがん! 標的固定ロックオン!」

 そしてリンさんが引き金を引いた! 長い銃身から規格外の弾丸が放たれる。


「ハァァァア!!」

 しかもリンさんはそれを何発も連射している! 一発でさえ反動が大きなリンさん用のライフル。普段ならば一発打つ度にバックステップで反動を軽減しなければいけない代物を神原に全てを任せて撃っているのだ。


「「ぐぅぅぅぅぅぅう!!」」

 だがどちらも限界。リンさんの肩は着々とダメージを受け、神原の足には血が滲んでいる。


「これで、終わり!」

 そしてリンさんがマガジン最後の一発をぶつけた瞬間! あのキャノンが遂に相殺されたのだ!


「何ぃ⁈」

 最終奥義が打ち砕かれた衝撃で奴の動きが止まる。


「隙あり……」

 その隙をシオンが捉える!


「妖狐流双刀術! 獅子爪乱舞・空!!」

 そしてシオンの小太刀が奴を完膚なきまでに切り刻む!


「ぐぅぅぅぅう!!」


「これで……終わり!」

 最後! シオンが強化した状態で強力な蹴りを放つ!


「ぐぁぁぁぁぁあ!!」

 奴は真っ逆さまに高速道路へ落ち、動かなくなった。

 天兵が気を引き、リンさんが受け止め、シオンが刈り取る。その連携によって奴を撃破したのだ。


 ◆◇◆◇


「ハァ……ハァ……」


「ぐっ、クソが……」

 それと同時、俺の戦いも終結に向かっていた。


(奴の能力……名前からして何発か撃ったら溜めがいるはず。弾が無くなった時……そこが狙い目だ)

 俺は血塗れになりながらも奴の分析をしていた。


「良い加減……終わらせようや……」

 その時、奴がそう言って構える。

 最後、本気の一発で終わらせるつもりだ。


「乗った!」

 そして俺もエーテルを惜しみなく纏い、構える……。

 両者の間を静寂が過ぎ去った。

 次の刹那! 俺たちが同時に飛び出す!


「オラァァァァァア!!」


「ッシャァァァァア!!」


(エーテル解放!)

全装填フルバレット!」

 奴は自身に残っている全ての弾をこの一発に込める!


「基本技四、怨狼の……」

 そして2人の信念が交錯する!


「ショットォォォォォオ!!」


「一太刀!!」

 互いの本気の一撃、魂そのものがぶつかった!

 次の瞬間! 爆発のような音が辺りに轟いた! 周囲に煙が舞い、それが少しずつ晴れていく。


「ゴフッ……」

血が吐かれ、足元が紅に染まる。


「ふふっ、俺の……負けだな……」

そして奴が静かに沈む。

血を吐いたなら俺だ……だが紙一重で奴の胸を深く切り上げたのだ。


「楽しかったぜ、この喧嘩……」



そして謎の襲撃者2人を俺達は見事撃退した。

さて、いかがでしたでしょうか?

今回は戦闘の決着。この2人がどうなるのか……悩ましい所です。

それでは、感想や評価、ブックマーク登録などしていただけると嬉しいです。

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