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青い春など春ではない  作者: 猫屋の宿
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企み②

現在第一部分から第三部分までの加筆修正を行いました。



行きたい所があると言いやって来たのは、少し前に佐藤と一緒にやって来た場所だった。

前に来た時は暗くてよく分からなかったが、見渡すと大きなショッピングモールの周りに飲食店や流行りの飲み物や食べ物を販売しているキッチンカーやアミューズメント施設、洋服店などもあった。


「凪はどうせこういう所来ないでしょ?」


「え…まぁこういう所苦手だからな…」


いつも通り…平常心を保ち続け余計な事は考えず、くるみとの会話に集中する。


「だよね〜。でも、もったいないくない?凪って見た目はまぁ?悪くないのにさ、彼女作んないんだもん。こういう場所ってカップルで来たら最高に楽しいのにな〜」


「……ああ。彼女か……」


あのくるみさんが、見た目は悪くないと俺を評価はている事に驚きを隠せずにいると間髪入れずに質問を投げかけてきた。


「ん?黙ってどうしたの……やっぱり…彼女いるの?」


「え、だから…いる訳ないだろ。俺を誰だと思っているんだよ」


「だよね…それにわかってるよね?凪に彼女出来たらぶん殴るから」


世の高校生男子は皆んな彼女が欲しいと狂ったように発している。どうして彼女が欲しいのか俺には分からない。どうせ彼女の欲しい理由などは彼女がいれば頑張れる?安心する?日々が充実する?そんな事は全て自分の欲求を満たしたいだけに過ぎない。

よく別れ際にこういうセリフを聞く。「お前がいなくなったら俺はどうしたらいいんだよ」「お前がいないと俺はいけないんだ」こんなセリフが先程の理由を顕著に表していると思う。結局彼女が欲しいという欲求は全て自分の為にしか過ぎず、自分の欲求のわがままに彼女という存在が付き合わされているだけだなのだ。

ま、そういう訳なので俺は彼女を欲しいと思う事はない。


「くるみが来たかった所って…ここか?」


「うんそうだよー。こういう所って友達と来るのが一番楽しいじゃん」


お洒落に気を遣っているくるみの事だから、俺の入りずらい清楚なお店にでも行くのかと思っていたが…アニメショップとは検討もつかなかった。


「意外だな。くるみはこういうオタクじみた場所苦手かと思ってたんだが…」


「それよく言われるんだよねー。くるみってアニメとか見なさそーって…でも私けっこうなオタクだから!」


普段とは違った無邪気な笑顔を浮かべ、楽しそうに話しているくるみを見ているとこっちまで陽気な気分になる。

しばらくアニメショップを周り、俺はこういう世界も知っておこうと勉強がてらくるみに着いていった。

ひと休みとろうと言う事で喫茶店にやって来た。

喫茶店と言ってもレトロな雰囲気なお店ではなく惑星の絵画があったり高層タワーの写真があったり、絵の具が壁に塗装されていたりと、混沌とした空間なお店であった。


「ねぇ…凪はアニメ見ないの?」


「アニメか…最近はあまり見ないな」


「てっきり凪ってアニオタかと思ってたのに〜。だって、休みの日は一日中家にいるって言ってたから、アニメでも見てんのかと思ったじゃん」


「家にいる時は永遠とパソコンでゲームしてるんだよ」


「パソコンゲームって何か難しそうだよね。私にはキーボードとマウス両方を上手く使ったり出来ないよ」


「最初は慣れるのに難しいかもしれないが気付かないうちに上達して、やがてゲームを心から楽しめてほんと、幸せなんだよ」


「へー」


あ、ついゲーム愛を分かって欲しくて変な事を言ってしまったかもしれない。これは…くるみも引くだろうな……


「そういうのいいね!!熱中できる事があるってほんと幸せだと思うよ。私には我を忘れる程のものに出会った事がないから…」


意外な褒め言葉を貰い、少し嬉しかった。


「だとしたら、もうくるみは見つけてるんじゃないか?」


「私が?熱中できるものを?」


「ああ。正直今日のくるみはいつもと違って……可愛かった」


「…!?凪…あんた何言って−」


「そんくらい…くるみを変えてしまうほど好きなもの…熱中できるものなんじゃないかって事だよ!」


「あぁ…そう言う事。って私がいつもは可愛くないとでも言いたいみたいね」


「いや…別に可愛くないわけじゃ…ない事もないんだが…」


「むー」


自分の表情や素振りは自分自身では案外分からないものだ。なぜなら自分自身を視覚する事が出来ないからだ。緊張した中でいつも通り自分では笑っていると認識していても周りからは引き攣っていたり、目が怯えていたりと様々な認識を持つ。故にくるみ自身は気付いていないかもしれないが、今日のくるみは隣にいる俺までも幸せな気分にしてくれるオーラが漂っていた。




「さーて、せっかくだから凪は寄りたい場所とかないの?」


喫茶店を後にした俺たちは一度ショッピングモールの外に出て、噴水の近くまでやって来た。

ちなみに、ここの噴水は毎年冬シーズンになるとライトアップされ、ショッピングモールのくせしてデートスポットになってしまうらしい。


「俺は特にないかな…」


体育祭の練習で靴下が汚れ、洗濯が間に合わないから、靴下を買って欲しいと言われていたがわざわざくるみを巻き込む程ではないのでまた、今度でもいいだろう。


「……」


「……?どうしたんだ?」


「…ねぇ」


くるみが突然顔を伏せ、低く抑えた声で言葉を続けた。


「凪って…上坂さんと付き合ってるの?」


「…え」


「実はさ、前の放課後体育祭の準備してる時に凪が中庭で…その…上坂さんと二人きりで話してるの見て…あまりにも…その…凪の…」


「あれは…俺が体調悪くなって休憩していたところを、偶然通りかかった上坂さんが看病してくれたんだよ」


看病してくれていたかは分からないが、あの場面を他の生徒に見られていたとは迂闊だった。何もない中庭の景色など誰も気に留めないだろうと思っていたのだが…。


「…………………看病…、………そうなんだ。だよね〜凪に彼女なんてないない!殴られなくてよかったね!」


「殴るってお前…たまに怖い事言うよな」


「言ったでしょ?凪に彼女ができたら殴るって!」



何か切れたかのように急に能天気な人になっている。

もしかすると、くるみはこの事を聞きたくてわざわざ俺を誘い出したのかもしれない…今のくるみは緊張?が解け気分が楽になった、そんな事を思わせる様子であった。



続く。









最後まで読んでいただきありがとうございます!

今回の企み②で一度舞台は体育祭に戻ります。

体育祭編も中盤になり、凪にとって初めての協力し作り上げていく大型行事です。凪の視点のみならず様々な視点からお話が展開されます(予定です!)。ぜひお楽しみ下さい。

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