最後は自由解散
「惜しい、実に惜しい」
「いい加減、諦めよ」
不死王軍を前に嘆いているのは、魔王である。それを嗜めるのは、竜人族の王だ。魔王は世界征服に不参加を表明した不死王を必死に説得していたが、最後まで翻意させることは出来なかった。
「判ってはいる。判ってはいるが、この数を揃えられるのは、魅力的だ」
戦争において兵を大量に集めることは、それだけで戦略になり得るのだ。小賢しい小細工など、数の前では蹂躙されてしまう。策が戦果を上げるのは、限られた条件下だけである。
「確かにこれだけの数を揃えられては、敵に同情してしまうな。だが、これが全力動員という訳ではないのだろう?」
不死王は今回の会合で、竜人族の王と仲良くなっていた。お互いに相性がよかったのだろう、自分の種族の事や内情などを他の王たちよりも意見を交わし合っていた。
「ああ、今回は戦後という事もあったが、これくらいはすぐに動かせる」
実は不死王、まだ領域内の六割程しか開発出来ていない。それは他の王たちも同じなのだが、開発が終了したらどんどん数を増やす予定である。食料の問題を無視できるのは、大きかった。
「やはり惜しい」
その話を聞いて、魔王はさらに惜しがる。魔人族は個体の強さは、他の種族の中でも上位に位置している。しかし、個体数は少ない方で、食料の問題もある。
「俺からしてみれば、竜人族の部隊の方が脅威だがな。骸骨兵は数は多いが、一体一体は弱いからな。竜人族の部隊なら、蹂躙されてしまうのではないか?」
そう骸骨兵は同格の人間と一対一で戦えば、確実に負ける。負けないために、数で対抗するのしかないのだ。ところが、竜人族は一体で骸骨兵を、百は余裕で倒す。逆に個体数はかなり少ないが。
「まあ、そう気を落とすな。個人的に人間と遊ぶ予定があるから、支援にはなるんじゃないか? 連携する気など無いが」
不死王は、自分の城塞群がどの程度通用するのか試すつもりでいる。襲わせては改良し、襲わせては改良するのだ。そうして絶対に落ちない城を作る、それが不死王の存在意義である。
「はぁー、それで納得しておくしかないか。だが、気が変わったらいつでも言ってくれ」
「そんなことは無いと思うが、そのときはそうしよう」
そんな会話も終ると、不死王は自分の領域へと帰っていく。魔王城では、世界征服計画の話し合いが行われている事だろう。不死王の様に参加しない者たちは、各自で勝手に帰って行くのだった。




