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ユニークスキル<ゲームにログイン>で魔王退治  作者: ぐわじん
1章 異世界転生

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01-08 闇の森

父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)

 闇の森に近い、ベシュッツァーにマティアス一行が到着した。闇の森までは一kmほど離れている。木材を多用した砦は他の村と比較して堅牢な作りであった。周囲の壁は木製で三十mほどの高さがあり、魔物といえども簡単には乗り越えられない。壁の上は歩廊(ほろう)になっており、敵が近づいてきたら上から弓やクロスボウなどで狙い撃てるようになっていた。

 闇の森まではほぼ平坦であり、視線が森まで通るようになっていた。森の付近では切った木材が多数横倒しのまま放置されている。


 ベシュッツァーには火縄銃だけではなく、大砲も配備することにした。火縄銃の威力も驚かれたが大砲はその比ではなかった。砦の直ぐ外から放たれた砲弾は森まで届き、木に直撃しそれを粉砕した。森の中に砲弾が落ちたので砦から粉砕した状況は見えないが、鉄球がすごい速度でぶつかれば生身では耐えられない事くらいは砦の兵士にも理解出来た。


「なんという威力だ」「こんなものが当たったら原型など留めないぞ」「神よ…」

 皆驚愕しており時間が切り取られたように呆然としていた。


「鉄の砲弾は狙って当てられる様なものではない。近づいた的に対して多数の砲を並べて一斉に放って一発でも当たれば良いと思ってくれ。

 それよりもこちらのぶどう弾を使う。これは丈夫な布の中に小さな金属片が入っている。これは放つと広範囲に飛散し、近づいた敵に放てば負傷させることが可能である」

 ティーモは事前にマティアスから教わったていた内容を兵士や自警団に説明する。大砲の砲身を清掃した後、実際にぶどう弾を放つと広範囲に鉄球が飛び散った。


「凄い! これなら魔物もひとたまりも無いぞ」「防衛が楽になるかも」「でも味方がいるときには使えないな」

 興奮してそれぞれ感想を話し合っていた。


「ぶどう弾は自分たちで作ってもらう必要がある。金属素材、布は置いていく。ぶどう弾は最低でも百発、手が空いたら内職しながら出来る限り作ってもらう。

 また歩廊の上に大砲を置くと撃った衝撃で歩廊が壊れる可能性がある。なので、歩廊の一部を石に変える必要がある。土魔法が使えるものは石の作成を優先してくれ。

 今回の手間賃としてソーセージとハムを二百kgずつ用意した。手伝った作業に応じて分配するように」

 ティーモの説明に兵士や自警団の皆は歓喜した。ソーセージ、ハムはごちそうであり、辺鄙な土地では娯楽であった。


 マティアスは倉庫に帆をマスト(帆を張るための垂直な柱)付きで横置きに積み上げいく。帆は丈夫な布で出来ているため、ぶどう弾の入れ物に向いていた。マストは取り外して砦の周囲に柵の素材として利用出来る。

 また槍や片手剣、クロスボウ、金属製の鎧などの武器や防具、鉄や銅、鉛、錫、青銅、真鍮、などの金属、麻生地、綿生地、毛生地ウールなどの織物、大麦や小麦、玉ねぎ、塩などの食料品も保管した。これで防衛力や生活水準が一気に向上し、冬の備えも万全となった。


 夕方からはぶどう弾製作報酬とは別に宴会が開かれた。ゲームから持ち込んだビールやソーセージ、ハムが振る舞われ、小麦と現地の小麦をブレンドしたパンも焼かれた。


「何だこのビールは! こんなうまいビールは飲んだことがないぞ!」「このパン美味すぎだろ!」「初めて食べた!」「生きてて良かった」

 パンにはバターや牛乳、砂糖、塩が惜しげもなく使われており、子供や大人含めて大好評であった。


「皆、この村での生活は大変だと思う。しかし、皆が苦労しているお陰で他の地域への魔物の進出を防げているんだ誇りに思って欲しい。今日は普段の苦労に対する褒美である。

 魔物に対する新兵器も用意した。今後この村の守備力は強化され、より一層魔物に対して優位な状況が作れるはずだ。森を開拓し魔物の生息地域を減らし、この村を、地域を、国を発展させるんだ。お前たちの頑張りが世界を変えるんだ! 今日は新しい門出である、大いに英気を養ってくれ!」

 ティーモは演説により、住民や兵士のやる気を引き出していた。


「父さん、森の付近には多くの木が倒れていたけどなんでなの? 活用しないの?」


「ああ、あれか。木材は伐採してから半年は放置して水分を飛ばす必要があるので、伐採した場所で乾燥も行っているんだ。木材は貴重な資源でもある。魔物に対しての備えも大事ではあるが、無駄にすることも出来ない。

 魔物の生息域を減らすために、また襲撃に少しでも早く気がつけるように木を伐採しているんだが、木を村の近くまで持ってくるには手間が掛かるんだ。平坦に見えるが小さな起伏もあるし、切り株も多い。そのため馬車に積む事ができず馬で一本ずつ木を引くしか無いんだ。もっと楽に運搬出来れば伐採も進むのだがな」


「それなら僕が運搬するよ。村に持ってくるから、森と村の間に柵を沢山作って簡単に近づけないようにした方が良いと思う。また村に近づける場所を制限することで、火縄銃や大砲の命中精度を上げることが出来るはず。また余剰な木は他の村に持っていって活用すれば無駄にもならないし」


「おお! それは助かるな。よし明日は木を回収するとしよう。頼むぞマティー」

 ティーモはマティーの頭を撫でながらお願いをした。撫でる力が強すぎてマティーの頭はグラグラと大きく揺れていた。



「木が消えたぞ!」「急に消えたり出たり、一体何が起きているんだ」

 翌朝、森の側で乾燥させていた木材と不要な切り株も回収した。警護の兵士達は超常現象に驚いている。三時間で二百を超える横倒しになっていた木材がアイテムボックスの中に全て収納された。

 価値が低い木のトウヒは、柵や焚き付け用の薪として活用し、価値が高い木のオークは他の村で建築の素材として活用する。またオークの切り株はそのまま残しておくことで、萌芽更新(ほうがこうしん)により、二十年程度でまた木材として利用出来るようになる。


「これで伐採が再開出来るな。今後もマティーに手伝ってもらえれば、伐採した木を楽に運搬出来るから制限を設けずに伐採を進める。冬を越したらまた来るとしよう。もう一泊止まったら家に帰るぞ」


 その夜、闇の森から多くの動物達が逃げ出していった。鹿やうさぎが砦の側を何十頭も通過し、夜警の兵士は異常事態に警戒を強めていた。

船を見たことがない人が多いので、帆を見てもそれがなにか分からないです。

船の帆は、ゲームのアイテムで船の装備品です。販売数に制限が掛かっていないので大量に買えます。安価です。


萌芽更新、切り株や根元から新しい芽が出て、態々新しい苗木を植えなくても木が育つので、資源の活用につながる。


森を減らすことは魔物の生息域が減るので大事な事だけど、一度にやりすぎるのも環境に良くないから、そのへんは良い塩梅でやるしかないねえ。

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