01-06 仕入れ
父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)
ゲームにログインして要望された品物を買いに行く。火縄銃は北海の港のアイテム屋で三千Gで販売している。ゲーム内では彈がなくても撃てるが、現実世界ではそうもいかないので交易品の火薬と弾丸も十樽ほど確保した。セビリアでもアルケブス銃が約二千Gで取引されているため、こちらも念のため購入してみる。交易品の銃のほうが安いため、使えるなら交易品の方がお得で数を揃えやすかった。
ゲームをしているだけ、遊んでいるだけで大量の物資を購入することが出来るのは本当にチートでしかなく、苦労でも何でもない。
ただ少し不便なのはメモを取ることが出来ないため、交易品に何があるとか、相場情報などが分からなくなる。メールの下書きを使ってメモするしないのが結構不便だった。
攻略WIKIも閲覧出来ないので、アイテムの性能や、港で何を扱っているとか、将来的にこの交易品が出るはずとか、クエストの答えとか、調べることが出来ないので効率が若干悪くなっている。
でもそんな不便が問題にならないほど普通のゲームよりも効率が良い部分がある。アイテムボックスを使うこで船倉が無制限と言っても過言ではない状態であった。購入制限まで品物が買えることで一度の航海で多くの利益を得やすいし、大量に買えるので取引スキルや会計スキルレベル上げにも役立つ。移動する際には入港出来る港という港に入って、相場よりも安いものがあれば手当たり次第買えるだけ買う。買値よりも売値が高いところで売る。ゲームでは利益率が低いために買わないような交易品でも少なからず利益を出すことが出来た。
アイテムの所持制限やレシピ本の所持制限が実質無いので、あとで必要だと思われる物は片っ端から買っておけるので、わざわざ再度買いに行く必要がなかったり、いつでもアイテムやレシピを入れ替えられるので、物を作りたいときのストレスがほぼ無かった。レシピとアイテムの上限枠は本当に頭を悩ませる仕組みだったのでバランスブレイカーと言える。
スキルは自分自身の技能であるため、アイテムボックスに入れられない。どのスキルを鍛えるのか重要になると考えていた。プレイヤーが沢山いればそれぞれの専門分野の人が出てくるので、高品質の物を色々と買えるのだが、自分以外は居ないので店売り以外は自分で何とかするしかなかった。
そこで選択したのは調理と工作である。対人戦闘や他人との競争が無いので、自身の装備品は冒険による発見物や店売りのもので十分に賄えた。
物を作ると経験値が入るし、安い素材を購入して加工して高値で売れるのと、自身のスキルレベルよりも高レベルの物を作成するとより高い商人レベル経験値とスキルレベル経験値が入手できる。スキルレベルを高めるためのブースト装備があれば、結構な速度でスキルレベルが上がっていく。
例えば豚→豚肉→ハム、ハムと塩→ハムステーキになる。ハムステーキは行動力を回復するのに役立ち、それを食べて再び調理が行える。
豚を百匹買って豚肉すると約二百四十個の豚肉になり、その後ハムにすると約三百九十個のハムになる。豚を買った港にそのままハムを売っても一つ五百Gの儲けで、纏め売りして利益が高ければ高いほど商人レベルの経験値が入る。
工作は鉱石から鉄や銅などを造ったり、他にもお酒、調味料、家具、船首像などが作れる。調理や工作に必要な素材を多く買えるように食料品取引、調味料取引、家畜取引、酒取引、鉱石取引、工業品取引を覚えた。
小麦または大麦からビール、鉛鉱石から鉛などは入手しやすい交易品であるため、取引レベルや工作レベルが面白いように上がった。ぶどうからワイン、ワインからシェール(ワインの蒸留酒)にするには高い工作レベルが必要だが、アイテムボックスのおかげで原材料を大量に確保し成果物も格納しておくことで移動や販売などの手間を極力減らすことが出来た。その結果直ぐにレベルが上がって作れるようになった。シェールは利益率が高く、工作レベル上げにも役立つ優れものであった。
工作と調理はカンスト出来たため、ゲームの進行や効率化に必要なアイテム作成に切り替える。行動力回復アイテムや商人レベル上げの為の高利益交易品の作成に特化した。
商人レベルが35に上がったが、そろそろ生産でのレベル上げは時間かかるようになってきた。金や象牙を取り扱いたいが西アフリカへの入港証が入手出来ていなかった。入港証がないと港にしか入れず、街で交易品を買うことは出来ない。
名声が一定数貯まると王宮から呼び出しが掛かり、提示された条件を達成すると入港証が貰える。名声を稼ぐために自国の港や敵国の直轄地以外の港に投資を行う。投資すると発展度が上がり、交易品やアイテム、造船出来る船の種類が増え、交易品の購入上限が増える。また直轄地でない港では国の影響度が増え、一番影響度が高い国は優先取引国として手数料の減額と一度に購入出来る上限が更に高くなる。
しばらくは名声稼ぎのために金を稼ぐ事にした。他の人が投資をしていないため港の発展度が上がりにくかった。目的は名声獲得であるため一旦発展度の件は気にしないことにした。
発展度が低いため投資に必要な金額も少なくて済むのはメリットでもあった。よく使う港を中心に発展度をあげたところで、強制ログアウトの通知が表示されたので目を開けた。
「朝よ起きなさい」
ミアがマティアスを起こしに来ていた。食堂に着くと昨晩に引き続き豪華な朝食であった。
「美味しい!」
ミアはいつも以上にがっついて食べていた。一人あたりに割り当てられている食事量も増えたし、ハムやソーセージが食卓にあがり、ごちそうが多いため思わず食が進んだ。朝食後、マティアス、ティーモ、ハンナは会議を行う。
「銃は百丁買って来た。火薬も有るけど全部渡すのは危険だから、前回の使い残しと弾丸を渡すね」
マティアスはアイテムボックスから品物を少しだけ取り出して、二人に見せてすぐにしまった。
「家畜も買って来たけどここだとあれだから庭に行こう」
庭に出たところでアイテムボックスから木材が入った樽を取り出す。樽から木材を取り出すと樽よりも長い三十mほどの長さになった。
「相変わらず理解できないな」
「本当にそうね」
ティーモとハンナは驚きつつも、受け入れるしかなかった。
家畜用の囲いを作ってから、ニワトリが入った樽を開けると一羽の生きたニワトリがいた。囲いの中に放すと地面をつついていた。豚の入った樽にも生きた小さい豚がおり、樽から出すと体長が一mまで伸びて体格も一回り大きくなった。
牛の入った樽から牛を取り出すと体長が二m程の牛が出てきた。家畜達に挽いたあとの小麦や大麦のカスを与えると皆それを食していた。




