01-05 作戦会議
父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)
マティアスとティーモ、ハンナは今後の方針について打ち合わせを行っていた。
「魔物と戦うにはまだ小さくて弱い存在だ。だから大きくなるまでは皆の補助を優先したい、例えば食料。小麦や大麦の樽であれば一晩で百は稼げる。ワインやエール、豚肉、鶏、牛、豚、塩、砂糖も出せる」
「牛や豚、鶏を出せるのか? 本当なら凄いことだぞ」
「塩が出せるのも凄いわ、出費が全然変わってくる」
ティーモとハンナは貴重な物を出せると聞いて、物凄く興奮していた。
「ああでも、まだ現実世界に出したことが無いから家畜が本当に生きているかは分からないな。この後試してみる。
他に持ってこれるものとしては、鉄鉱石や銅鉱石、錫鉱石、鉄板、銅板とか。武器は剣や槍、ナイフ、斧、火縄銃、防具は鎧、兜、グローブ、籠手、ブーツや靴、服もある。あと傷薬や料理も出せるかな。これ傷薬だけど使ってみて」
マティアスはティーモに傷薬を渡した。ゲームではHPが三十程回復する程度の物だが、試しに手の傷に塗り込んでみると直ぐに体中の傷が癒えた。今まで痛みが有った場所も正常な状態になっていた。
「なんだこの薬は! これも買えるのか!?」
「うん、これも沢山買えると思う。効き目があるなら怪我をした兵士にも使ってあげて。今ある物を渡しておくね。
ところで父さんはどうやって戦っているの?」
「主に殴る、蹴るだな。たまに投げ飛ばしたり。俺の場合はその方が剣や槍を使うよりも魔物にダメージを与えられるんだ」
「じゃあ、これも使ってみて」
アイテムボックスから、グローブと皮製のベストとズボンとブーツと帽子を取り出した。
「これは少し小さいんじゃないか。多分入らな…入ったな」
ティーモは体が大きかったが、装備のサイズが自動で調整されて、ピッタリとフィットした。
「使用する人のサイズに合わせて自動調整されるんだ。それと攻撃力が+6されて、防御力も+6されるんだ」
「ああ、何を言っているかは全然分からないが分かった。ところで火縄銃ってなんだ?」
こちらの世界には火縄銃は無いため名称だけではどのような物なのかが想像できなかった。
「弓やクロスボウと同じように遠くの対象を攻撃する武器で、鉄の筒に火薬と鉛の玉を入れる。火を付けて引き金を引くと火皿にあたって火薬が爆発して、爆発の力で鉛の玉が凄い速さで飛び出す。えーと火薬は火を付けると爆発する危険物です。取り扱いを注意しないと自分達が死ぬ可能性があるから。火が必要なので雨の日は使えないというデメリットもある」
裏庭にある射場で実際に火縄銃の試射を行う。説明を受けたティーモがプレートメイルや木の的に向けて発射する。バーンという轟音が周囲に響き、ミアや近隣の住民までもが何事かと家の外から出て来た。
「物凄い威力だな。連射は出来ないがそれでもこの攻撃力は魔物にも有効だろう」
「これの凄いところは数を揃えれば、攻撃力が物凄く高くなる。しかも弓と比較しても練習をしなくても高い効果が出る。普通の住民でも魔物に対して攻撃できる手段を持てる。
ただ火薬は危険だから、本当に危険だから。樽一杯の火薬があったらこの家を吹き飛ばす位の威力があるかも知れない」
「それは危険だな。ただ有効な武器と思う。早速兵士の訓練と自警団の訓練に採用しよう。数はいくつ揃えられる?」
「このタイプなら日に十丁は揃えられるけど。食料や資源のバランスかな。今後も夢の中で稼ぐには原資が必要だし、それを維持しつつという事だとそれくらい。全力で資産を空にしてまでというなら、数十万丁くらいは買えると思う」
「…。うちの領民は千人程度だからそこまでは要らないよ。こんな強力な武器を数十万も揃えられるほどの金を稼ぐとは末恐ろしいな。食料は将来的に頼むとしてまずは火縄銃と傷薬を頼む、火縄銃は百、傷薬は五十かな」
「マティアスという名前はなるべくしてなったのね」
そういいながらハンナはマティアスの頭を撫でた。神の贈り物という意味が込められている。
「防具は大丈夫? さっき壊したけど、同じプレートメイルなら後一個ある。アドミラルハットが一個、こっちは射撃スキル+1の効果があるよ」
「プレートメイルは良いかな。ところでスキルって何だ?」
この国ではスキルという概念を知らなかった。実際にはスキルやステータスは存在するが、自分や人のステータスを見ることは出来ないし、そうなるとステータスの存在に気が付きようがなかった。
「スキルは得意な技術かな、なるほどそういうの概念は無いのか」
一旦打ち合わせは終了となり、ティーモは負傷した兵士の家に傷薬を届けに行った。マティアスも自室に戻ってゲームにログインすることにした。




