02-32 三歳
ベシュッツァー 砦の村
父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)
姓アイヒェンドルフ
マティアスは先日三歳を迎えた。体も少し大きくなったがまだまだ小さな子どもであり、練習用の木刀よりも背は小さかった。
「元気だったかマティー。魔導炉を持ってきたぞ」
「父さん、元気だったよ。皆はどう? 変わりない? それは良かった。あと魔導炉ありがとう助かるよ」
約二ヵ月ぶりにティーモがベシュッツァーに訪れた。元々中型の炉五つで運用していたため、溶かせる量が二倍になった。青銅だけに特化して加工する場合は一日百八十個の青銅の製品を作り出すことが可能になった。
「既存の木製の壁は壊さずに、更に外側に壁を造るのか?」
「木製の壁を壊すのも時間が掛かるし、外側に五十mほど拡張して新たに石壁を造ることにしたんだ。建築中にまた襲われたら防御する際に困ると思ったから」
「なるほど、良いんじゃないか、それで進めてくれ。ところでマティー一度家に帰ってこないか? 皆も会いたがっているし、今後の領運営について相談したい」
「んー分かった。この村だけに集中するわけにもいかないもんね」
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「マティーお帰り!」
ミアはマティアスが帰ってくるなり、速攻で抱きしめた。
「魔物を討伐からお父さんしか帰ってこなくて、聞いたら後処理を任せたって! いくら神様の使いであっても、まだ三歳なんだよ! もう本当に信じられない」
ミアはマティアスを抱きしめたまま離さなかった。
「苦しいよ姉さん」
マティアスが窒息しそうになっているところをハンナが割って入って助け出した。なんとかミアを落ち着かせて、互いの近況を確認しあうことになった。
翌日、館ではマティアスやティーモ他、いつものメンバーで領の施策に関する会議が行われていた。
「衛生環境をもっと良くしたい。病死は不衛生が起因している可能性が高いんだ。入浴、せめて水浴びや清拭を頻繁に行って欲しい」
「マティー、体って頻繁に洗う必要性があるのか? 今まで洗ってこなかったのに特に何の問題もなかったぞ?」
「父さん、より良くしたいんだ。今までどのようにしていたかではなく、更に良くするためにはどうすべきかを考えて欲しい。
病気の原因は目に見えないほど小さい細菌やウイルス、他にもカビや寄生虫なんだ。それを体に付着したまま放置しない。体の中に取り込まない事が病気にならないコツなんだ。そしてそれは体を水やお湯で洗うことで防ぐことが出来るんだ」
「目に見えないものがある? そのような物が存在するなんて。しかもそれが水浴びで良くなるとか、どうしてそれが分かるんだい?」
「神様から聞いたんだ」
「…そ、そうか。ならそうなのかも?」
マティアスの能力は人間を超えており、明らかに神様の力と思えるようなものであったし、今までマティアスが行ってきた行動には一定の信頼性があったことから、マティアスがそのように言うんだったら、そうなのかもと思い始めていた。
「でも、水が大量に必要になるのではないか? 飲水は魔法で生成しているが、体を頻繁に洗う程の水だと魔法で生み出すのは難しい。井戸水にしても本数が少ないから限界があるぞ」
「井戸の数が問題なら掘ろう。僕なら数百mでも深く掘ることが出来る。水以外には何か問題がある?」
「村人が大人しく従ってくれるだろうか。今までやらなかったことだからなあ」
「それは布告するしか無いけど。ただ父さんは母さんにキスするよね?」
「おい、なんだ急にそんな話を」
マティアスの発言にティーモとハンナは二人とも照れだした。
「体の表面に病気のもとが付いていたら? キスした際に病気が体の中に入ってくるとしたら?」
「「「ええええ!?」」」
「体を清潔にしないと病気になる。好きな人との接触の前には体を洗う。体を洗っておかないと相手に嫌われちゃうぞ。体を洗ってから逢瀬するのがマナー。子どもの体を清潔にする、親が汚い格好していたら子どもが病気になる、そんなこともセットで広めたら体を洗う人も増えるんじゃない?」
「マティ、逢瀬って…。そんなことも神様が教えてくれたのか」
マティアスの提案は受け入れられて、体を清潔にすること、各村で井戸の本数を増やすことが決まった。
マティアスが持ちこんだ食物も無事に育っており、収穫量、味、品質、どれも既存の物を大きく上回る内容であった。とはいえ長い間育ててみないと分からないこともあるため増産は限定的にしている。
翌日、新たに井戸を掘る場所に移動しマティアス達は準備を始めた。村人達は新たに井戸を掘ると聞いて何か手伝わされると思っていたが、アベル達が掘削場所から人を遠ざけていた。マティアスが中心となり作業に取り組むようであった。
マティアスの体には縄がしっかりと結ばれており、皆何がはじまるのだろうかと興味津々で様子を伺っていた。マティアスがとてつもない力を持っていることは領内全員に知れ渡っているため、きっと何かをするのだろうとは理解していた。
「はじめるよ」
マティアスはアイテムボックスから組み立て済みの木材を出して地面に置いた。縄をその木材に取り回してから、マティアスの真下にある地面がアイテムボックスに収納される。マティアスは落下して皆から見えなくなった。周囲の者たちが心配して近づこうとするが、アベル達は問題ないから遠ざかるように繰り返し警告してマティアスには近づけさせない。
マティアスは周囲を石魔法で固めて、掘った土が崩落して埋まらないようにする。最初だけは深めに格納したがその後は慎重に少しずつ格納しては石で補強するという作業を繰り返した。穴の中は真っ暗になるため、定期的に明かりを灯す魔法を唱える。
周囲の人たちは縄が地面の中に吸い込まれていくのが見えるので、深く掘り進んでいることは想像出来た。
「あげて!!」
マティアスから声が聞こえるので引き上げる。そして地上に上げるよりも早く止めるように声が聞こえた。補強するために重ねていた周囲の石が重みで下に沈んだので、今度は上に向かって石を作っていく。
三時間ほどして穴の中からマティアスの声が聞こえた。アベルがゆっくりと縄を手繰り寄せるとマティアスが地上まで引き上げられた。
「作業は順調だよ。昼休みにしよう」
マティアスはアイテムボックスから机と椅子を出して、護衛の兵士も含めてパンや肉、エールなどを用意した。マティアス自身はミルクを飲みながら昼食を取っている。
「あいかわらずマティアス様は凄いな」
「ああ。一体全体何が何やら全く理解出来ないが凄いな」
「ありゃ神様の使いだろ絶対」
「それしか考えられん」
常識を超えるような事は神や悪魔の領域と考える者が多く、良いことをしてくれるマティアスは神様の使いと思われていた。
昼食後もマティアスは作業を再開した。既に水は出ているが、水が出ている層までしか水は溜らないため、汲み上げても困らないほどの量を確保するには深く掘る必要があった。なお出てきた水もアイテムボックスに格納することで作業は問題なく進めることが出来た。
下の掘削作業と上の補強作業を交互に行うのは非効率的であったため、イエーガーに補強作業を任せて、マティアスは掘削作業に専念することにした。そのため午後の作業は順調に進んだ。
最後に水をろ過するために砂や小石や木炭、その上にもう少し大きな石、さらに大きな石を積んだ。
「終わったよー、引き上げてー」
マティアスは僅か一日で井戸を完成させてしまった。普通に村人達がその深さの井戸を掘ろうとしたら数カ月は掛かるため、マティアスの偉業は村人達に畏敬の念を抱かせていた。
青銅のインゴットをドロドロに溶かして、型に流し込むと一度に十本の穂先のようなものが作れる。
溶かしては流し込むを繰り返す。
それを型に流し込み冷えるまでは時間が掛かるから、同じ型が大量に用意してある。
型が沢山必要だけど、土魔法を使って石の型をつくるから、型作りはそれほど困らない。
あとサビ対策で青銅にしている。なので青銅製で作ってる。
刃の鋭さを出すために、刃先は薄くなるような形にして、
最後に研磨作業を魔道具の回転砥石で行うようにする。という脳内設定。
鉄製で叩いて作っても良いけど、数万本の鍛造って大変そうだし、
鍛冶職人が潤沢ではないから鋳造で造る感じ。
もっと大きな町だったら鉄製でも作れるかもしれないなあ。
銅、錫、鉄、硫黄、亜鉛、真鍮、鋼、銀、金などがゲームから入手できるんだけど
鋼は硬すぎて加工大変みたい、
鉄もある程度温めたら叩いて加工出来るみたい。ただ何回か叩く必要がありそう。
一番楽に加工出来そうなのが青銅なんだよなあ。
こんなこと考えているから、全然話が進まないんだよなあ。
それだけじゃなくて、ユーチューブショートや色んなサブスクで動画をずっと見続けているのも進まない理由なんだけどねえ。




