02-31 報告2
エドワード 第一王子 第二王子に嫉妬心有り、次期国王の座を確実なものとしたい
ランハート 第二王子 有能。第一王子に従いたい
タビー 第三王子
予定通り開催された晩餐会は盛大とはいえず、どちらかといえば、陰鬱な雰囲気が漂っていた。
アイヒェンドルフ領で再び魔物の襲撃があり、三千から五千の大群に襲われたと聞いたためである。参加者の大半は心から楽しむことが出来なかった。
自身の所領が同様の被害に遭えば、町の一つや二つが壊滅する恐れがある程の大群である。離れた領地の者でさえ、同情せずには居られなかった。
「今年はアイヒェンドルフは来れなかったか。残念だな」
エドワードは側近に対して愚痴をこぼしていた。今年は自身の派閥にアイヒェンドルフを誘うつもりであった。それなのに、晩餐会に参加できないと聞いて不満を抱いていた。
エドワードの取り巻き達は不機嫌さを感じ取り、ひたすらおだてて、とばっちりに巻き込まれないようにご機嫌を取り続けている。
「おい、見ろよアレ。見え透いたお世辞にご機嫌だぞ」
「情けない。それよりもアイヒェンドルフ卿に対してもっと心配するとか、支援を表明するとか、するべきことがあるんじゃないのか?」
ランハートを支援する派閥の貴族からはエドワード王子達の様子を見て呆れる声が出ていた。
「卿ら、不敬であるぞ。もし他の者に聞かれたらどうするつもりだ?」
ランハートは不敬な発言をしていた者達を窘めた。
「「申し訳ございません」」
「兄上が次期国王だ。敬意を払うように。私は兄を助けてこの国を良くしていきたいんだ。もっと私の思いを汲み取って行動してくれ。
さあ俺の側にいるのではなく、兄上に挨拶をしてこい。機嫌を損ねるようなことは言うなよ」
エドワードの周りにはランハートの側近たちも挨拶に出向き、人だかりが出来ていた。ランハートの周りには誰もおらず、それを見たエドワードは、機嫌がより一層良くなっていた。
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二日後、大半の貴族は所領に戻って行った。エドワードやランハートも東部の開拓地に向かうために王都を離れた。
アイヒェンドルフ一行は入れ替わりで王都に到着する。王城には先振れを出しているため、そのまま直接王城に向かう。城に到着したアイヒェンドルフ及びウェーバーは、王たちが待つ会議室に通された。
「アイヒェンドルフ卿、ウェーバー卿、良くぞ参られた」
宰相が代表して二人を労い、アイヒェンドルフとウェーバーからも挨拶を返す。
「早速で申し訳ないが経緯を教えてくれるか?」
宰相は直ぐに本題の話に切り替えた。アイヒェンドルフは、魔物の数や種類、討伐の方法、被害状況、反省点や改善案、今後の見通しなどを説明した。ただ討伐方法は大砲や鉄砲ではなく、矢や槍などの投擲武器及び近接戦闘で倒したことにしてある。
「それほどの数を良くぞその被害程度で抑えたものだ。他の町であれば壊滅していたかも知れぬ」
会議に同席していた将軍が素直に称賛する。
「ありがとうございます。私は最後の最後で援軍として到着しただけで、ベシュッツァーの兵士及び住民の頑張りにより成し得たと考えています。昨年狼の大群に攻められた結果、全員の底力が上がっていたのも幸いでした」
「今回も素晴らしい働きをしてくれた。何か必要な物は無いか? 極力用意しよう」
王はアイヒェンドルフに対して褒美について尋ねる。
「はい、ではお言葉に甘えさせていただきたく。魔導炉を十個ほど用意したく。合わせて移民の募集許可もいただきたい」
「魔導炉十個か手配しよう。在庫が無い分は後日送り届ける。王領内での移民募集も許可する」
王はアイヒェンドルフの要望に全て応えた。
「今回のことでウォール・スパイクスの重要性が再認識されましたな。対策も全土に共有しよう。しばらくは金属製品の需要が伸びるであろうから魔導炉は早めに手配しておこう」
宰相は早速魔導炉の手配を部下に命じていた。
その後会議参加者達は別室に移動して食事を堪能した。アイヒェンドルフは戦闘の話をせがまれ、簡単な身振り手振りを交えながら魔物を討伐の話をした。
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翌日、早速アイヒェンドルフ領で発生した魔物の襲撃及び撃退について、広場の掲示板に掲載が行われた。合わせて吟遊詩人が今回の件について弾き語りを披露してお金を稼いでいた。
王国側の計らいで、今回の魔物の襲撃も吟遊詩人経由で王都、王国内に拡散させていた。
「流石は英雄のアイヒェンドルフ様だな」
「ああ、痺れるねえ」
「しかも領民を募集しているのか。もっと早く言ってくれていたら息子を東の開拓地に向かわせなかったのになあ」
大きな町や開発が進んだ町などでは子どもが生まれても二人目以降の就職先は少なく、兵士になるか、開拓地に向かう事が多かった。
ただ、ここ数年東の開拓地に対して多くの人材を割いていたため余剰人材は少なかった。一度拠点を移せば基本は二度と故郷に戻ることは無い。そう簡単には決断出来るようなことではないため、移住は非常に思い決断であった。




