02-33 対策
アイヒェンドルフ ティーモやマティアスの家名
ベシュッツァー 砦のある村の名前
デル・ドゥンクレ・ヴァルト 闇の森
ノイハウゼン 初めて出たかも。ウェーバー領との境にある村
「この辺りからがアイヒェンドルフ領となる。ようこそアイヒェンドルフ領へ」
先頭を歩いている兵士が後ろの集団に向かって話しかけた。五十人程の集団は王領からアイヒェンドルフ領に移民する者たちである。発展限界に到達している街では、成人後に住む場所や仕事に困ることが多い。特に二人目、三人目の子どもは居場所が無くなる。その場合は新規の開拓村に参加するか、兵士に就職するのが主流であった。
既に開拓された村の追加募集に参加するのは比較的楽な選択肢であるが、流石にデル・ドゥンクレ・ヴァルトの近くの村に住むというのはリスクが高い。それでもアイヒェンドルフ子爵の名声が轟いているため、三十人を超える募集があった。
また、自主的に移民を選んでいない者も参加している。借金奴隷で王都で買われた者たちである。奴隷には選択肢はなく、ご主人様の指示に従うしかなかった。
「なあ、アイヒェンドルフ領の住民は兵士と同じ鎧を着て生活しているって聞いたけど、本当なのかな?」
「流石にそれは話を盛っていると思うけど。村人全員に鎧を支給するとか金が幾らあっても足りんだろ」
逞しい二人の女性が雑談をしながら歩いていた。
「そっかー。でもアタイ達も兵士になるんだから、あの鎧を着るんだよな? 飾りが派手で目立つし格好良いよな~早く着たいな」
赤毛短髪の女性、リオニーは乗り気で楽しそうにしている。
「背中の羽飾りとか邪魔にならないのかな? 動きが阻害されるなら普通の鎧の方が良いんだけど」
長い銀髪の女性、ヒルダは装備の見た目よりも機能性を重視していた。
「羽飾りが邪魔だと思う位ならその髪も邪魔だろ。短髪にしろよ短髪に」
「うっさい! ちゃんと後ろにまとめているだろ!」
ヒルダはポニーテールにしているため、髪が絡まって剣が振りづらいということはなかった。銀髪は彼女にとって自慢であり、アイデンティティでもあった。
しばらく進むと畑が視界にはいる。そして兵士と同じような格好をしている者たちが農作業をしているのが確認出来た。
「うわ! 噂通りじゃん! 皆おんなじ格好している! すげー」
「本当だ。でも兵士が農作業しているのかもよ?」
リオニーは噂が本当だと確信し、ヒルダはまだ訝しんでいた。
しばらく歩き続けると今日の目的地であるノイハウゼンに到着した。ノイハウゼンはウェバー領との境にある村だが、アイヒェンドルフ領は辺境の地であり、商人などの行き来も少なく普通の寂れた村である。
村の広場に着くと住民たちが夕飯や宿泊の準備を行っていた。
「長旅ご苦労。ようこそアイヒェンドルフ領へ。食事を用意しているので一人一皿受け取ってくれ。エールは一人二杯までだ。このエールは酒精が高いから大人だけだ。子どもは水を用意してあるからそれを貰ってくれ。
それと体を洗うための水とブラシは、広場の端に用意してあるから各自勝手に使ってくれ。
それと共同トイレはそこだ! 村の中で粗相するなよ! 粗相したら鞭打ちだからな! まだベシュッツァーまでは三日ほど掛かるが今日はゆっくり休んでくれ」
引率していた兵士から注意事項の説明があり、それが終わると大半の者は食事の列に並び始める。一部の者は自身の汚れを落とすため広場の外れに向かった。
「やった! ソーセージ三本にハム二切れだぞ! しかもこのハムの厚さは何だ! ソーセージよりも厚いぞ、こんなに贅沢な切り方は見たことが無い! 白いパン! 柔らかい! あとはザワークラウトか。でも豪勢だな」
リオニーは席につき、早速ソーセージに齧り付いた。パリッとした歯ごたえがあり、肉汁が口の中に広がる。
「うめぇ! なんじゃこりゃ!」
リオニーはあまりの美味しさに叫ばずには居られなかった。同様の感嘆の声があちこちで巻き起こっている。そしてエールを一口に流し込むと、動きが止まった。
そして今度はエールが空になるまでゴクゴクと飲み続けた。
「プハー! !!! 信じられない! なにこのエール! こんな美味いエール飲んだことが無いぞ! お替りもらってくる」
リオニーは直ぐに席を立ってエール待ちの列に並んでいた。
「まったく。もう少し落ち着いて食べなよ。どれどれ…うまっ!」
ヒルダも一口でソーセージの美味さに驚いていた。そしてエールも飲み始めると一気に最後まで飲みきってしまった。
「確かにこれは美味い! エール独特の麦のカスが無く、酸味や異臭も無い。もしかして、こんな美味いものが日常的に味わえるのか?」
ヒルダもエールをお替りに行きたかったが、リオニーがテーブルの上に食事を乗せたまま席を立ってしまったので、盗られないように見張る必要があった。
「ヒルダ! エール飲んだか? 信じられないくらい美味いぞ!」
「飲んだわ、確かに物凄く美味しかった」
「お替りを貰いに行かないのか? なら、アタイが飲むから貰ってきてくれよ!」
「阿呆! 私まで席を外したらテーブルの上の食事が盗られちゃうでしょ」
「あっ、ちげーねー。こんな美味い飯、盗られたらキレちまう」
全員食事に感激して喜んでいた。頻繁に食べられるかは不明だが、この美味い飯がまた食べられるように頑張って働こうと意欲を燃やした者が多く居た。
ストックなくなっちゃった。
もっと伸びたら、やる気増えるかなー。
カクヨムにも投稿してみようかな。読む人が増えたら危機感が出るかも。




