02-26 魔物侵攻5
魔物の名前を間違えてました。
誤:ジャイアントスパイダー
正:ラージスパイダー
修正しました。
「よし石油をばら撒け!」
「倉庫から追加の爆薬や石油を持ってきてくれ!」
ラージスパイダーを倒したことで、防衛に余裕が生まれた。石油が入った樽を下に向けて振りかけはじめる。そして火魔法で着火させると狼達に引火し、煙と炎で苦しみだす。
「やったぞ。これで勝ったな」
「おいバカ、油断大敵だって言っただろ!」
先ほど不用意な発言をした者が同様な発言を繰り返した。すると灰色狼達が一斉に光りだした。門に突進するが、門は鉄製に変えており突進くらいでは破壊することは出来なかった。また門周辺は石製の壁で補強しており、壁を壊すことも出来ない。
門の両脇には石壁があり外周の石壁の門まで続いているが、間隔が空きすぎており壁を蹴って上に上がることも出来なかった。無駄に凶暴化して右往左往しているだけの存在となっている。
「下は放置で良いだろ。オークやゴブリンを狙え! うわあ」
歩廊上の兵士に対して、ゴブリン達から魔法攻撃が飛んでくる。ラージスパイダーが居なくなったことで魔法攻撃が遠慮なく打ち込まれるようになった。この時点でゴブリンメイジの数は三百五十ほどになっている。それらが一斉魔法を唱えたため、目に入る光景全てが魔法で埋め尽くされたかと思えるほどの攻撃であった。
魔法攻撃によって投擲弾に引火し誘爆が発生した。爆発が複数連鎖し、数人が吹き飛ばされて一人が地面に落下した。直ぐに周囲の者が傷薬を使ったが地面に落下した者は絶命しており、助けることが出来なかった。この戦いで初めての戦死者であった。
「火薬と石油は下げろ!」
「早くしろ!」
幸いにも歩廊上には多くの物資が残っていなかったので、被害は限定的であった。一方的に魔法攻撃を受けるが、負傷する都度直ぐに傷薬を使うことで損害を抑えることが出来ていた。歩廊の上からも散発的に魔法や煙玉を使って反撃するが、煙玉は相手周辺に投げ込むことが出来ず、出来たとしても直ぐに拾われて、こちらに投げ返されてきた。
「火薬が使えないから火縄銃も無理だぞ」
「投擲槍を持って来い」
数人の村人が倉庫から投擲槍を持ってきた。一度に一人十本程度しか運べないため、数を用意するには頻繁に往復する必要があった。
兵士の一人が投擲槍をオークに向かって投げつけた。オークの胸に突き刺さり、その場で息絶えた。近くのオークが投擲槍を引き抜き、力いっぱい投げつけてきた。
幸いにも投げた槍は村人の鎧をかすめた程度で済んだが、直撃していたら致命傷になると思えるような威力であった。
「投げて相手の手に渡ったら厳しいぞ」
「迂闊には投げられないぞ」
有効な反撃手段が見つけられず、歩廊の下でうずくまりながら次の案を考えていた。
その隙にオーク達は足場の悪い通路を少しずつ進み始める。あえて高低差を作った場所では昇降に失敗して転落する者も出ていた。それでも着実に迫ってきている。
大きな爆発音が聞こえた。一人が歩廊の上から顔を出して音がする方向を見ると、石壁の歩廊上の大砲から煙が上がっているのが見えた。
「石壁から大砲の煙が見えた!」
「バカ! 俺達まで殺す気か!」
「皆、歩廊の上から下がれ!」
木壁の歩廊上からは大半の者が下がり始めた。そして石壁の方からは二つの大砲から砲弾が発射される。ぶどう弾が周囲に散らばり、敵味方を区別すること無く襲いかかる。
味方にも数発小さな弾が当たるが、大半はオークやゴブリン達にダメージを与えていた。オークやゴブリン達は背後からいきなり攻撃を受けたため混乱していた。
大砲を全て一斉に放つのではなく、三班に分けて時間差で撃つことで間隔をあまり空けること無く攻撃し続ける。
「グゴオ!!」
最後尾に居たゴブリン達は雄叫びをあげて石壁に向かって走り出した。戻る途中で攻撃を受けて死亡する者もいるが、それに構わず一心不乱に走り続ける。
しかし、石壁の歩廊に近づくと道が無くなっていた。下に二m、長さ十m程の空間が出来ており、さらに石壁側の通路上には高さ二m程の壁が出来ており、どうやっても戻ることが出来ない。
攻撃より前に土魔法で石を消し去り、さらに防壁を用意することで石壁側に戻ってこれないようにしていたのであった。数匹のゴブリンが大砲陣地に向けて魔法を放つが、鉄砲や投擲槍の攻撃を受けて絶命する。
通路上のオークやゴブリン達は袋小路の中に入ったような状態となり、どこにも逃げることが出来なかった。とはいえ大砲による攻撃をなんとかしないと生きられないと考え、オークメイジの大半は石壁側に向かい始める。
走ってくるゴブリン達の前面でぶどう弾が弾ける。眼の前で破裂したぶどう弾には、鉄砲の弾にも使われている鉛が二百程含まれており、それが通路上のゴブリンメイジ達に降り注いだ。数体のゴブリンが即死し、十数匹のゴブリンは負傷した。また一部はバランスを崩して転落する。
一斉に多数の味方が負傷するのを見て一瞬躊躇したが、後続のゴブリン達は石壁に向かって進み始める。
ゴブリンメイジが唱えたファイヤーアローが装填作業中の大砲に当たり、大砲に詰める前の火薬に引火して爆発した。さらに誘爆をして大砲の側にあった残りの火薬も吹き飛ばし爆発に巻き込まれた四名の命が失われた。
「チクショウ!」
「弾を込めろ!」
被害を受けながらも、攻撃の手は緩めなかった。
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