02-16 訓練
父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)
姓アイヒェンドルフ
マティアスの護衛の兵士
兵士:アベル
兵士:バメイ
兵士:エアニー アベルの弟、ルイーサの彼氏
兵士:イエーガー 弓が上手い
兵士:ルイーサ バメイの妹、エアニーの彼女
兵士:ウルマー 狼の征服者という二つ名を持つ
ニコラスはベットの上で横になっていた、ただ目が冴えて眠れそうになかった。そして夕飯時のマティアスの発言を思い出す。
「マティーはこの家を継ぐ気はなさそうだったな。それにしても一歳なのになんであんなに色々考えているだ、僕は何にも考えてなかった。三年も王都で勉強してきたのに」
ニコラスは独り言を漏らした。
「金塊も沢山出せるみたいだし、うちよりも遥かに大金持ちなんだよなきっと。ということはうちを乗っ取ってもメリットは無い気がする。だって既にもっと多くの物を持っているんだから…。
ちょっと気味が悪いと思ってしまったんだけど、神様の使いなんだから優秀なのは当たり前なのかな? 領地を発展させようとしているみたいだし、少し信じてみるか一応お兄ちゃんなんだからな僕は」
ニコラスは気持ちが落ち着いたのか、静かに眠りについていった。
翌朝朝食後、ティーモ、ニコラス、マティアスと護衛の兵士達は庭に出て訓練を始めようとした。
「訓練の前に今の自分の力がどんな感じなのか試してみるからちょっと待ってね」
マティアスは魔法で石製のカカシを作成しそれに革鎧と金属鎧を着させた。用意されていた自分の身長以上ある木刀を持って軽く振り回す。ブンブンという空気を切る音が聞こえる。
革鎧に向かい木刀を振るうとバシンという音が響いた。あれが人であれば鎧を着ていても怪我を負うのではないかと思えるように見えた。更に叩く力が増していき木刀にヒビが入った。
マティアスは違う木刀に切り替え全力で革鎧を叩くと木刀は一撃で折れてしまった。
「なるほど」
マティアスは自分のちからがどれくらいか把握出来たので納得していたが、周囲の者たちはその力に驚き言葉を失っていた。自分が見たものが信じられなかった。一歳の子供が自分の身長以上の木刀を難なく扱い、一撃でその木刀が折れるほどの力を込めて叩けるというのは衝撃以外の言葉で表すことが出来なかった。
マティアスは金属製の剣を取り出し金属鎧に斬りかかる。金属鎧が少しへこむ、何度か剣を振るうたびに鎧がへこんでいき、原型が保てなくなって剣もひん曲がって武器としての本来の威力を失ってしまった。
「大体自分の強さが分かったから、訓練を始めようか」
「待て! マティ! 訓練する相手が危険すぎる!」
ティーモは慌てて訓練を中止しようとした。
「自分の力加減が分かったから、本気で切りかかったりしないよ。軽く戦って剣術の練習とか出来たら良いんだから。というかウルマーだって結構力があるんじゃないの? ヴォルフスベツヴィンガーなんだし」
ウルマーは先日の戦いでヴォルフスベツヴィンガー、狼の征服者という意味の二つ名で呼ばれている。ウルマーが木刀を持ち、全力で革鎧に叩きつけると木刀が砕け散った。
「え?」
「「「「え?」」」」
ウルマー本人も驚いていたが周りの皆も驚いていた。マティアスは片手剣を取り出しウルマーに渡した。石魔法で作成したカカシに新しい金属鎧を装着する。
ウルマーは力いっぱい金属鎧を叩きつけると金属鎧はマティアスと同様にへこみ始めた。何度も繰り返し剣で叩きつけると鎧はボコボコになっていく。
「俺もこんなに強くなっていたのか」
その後ティーモや他の護衛兵士も多少の差はあれど、以前と比較して格段に強くなっていた。
「父さんや兵士ってこんなに強かったのか」
ニコラスは以前からずっと強かったと少し勘違いしていた。
マティアスやニコラス、護衛の兵士達は素振りの練習をしばらく行う事にした。マティアスは初めて剣術をするとは思えないほどしっかりと剣を振り下ろす事が出来ていた。ニコラスも以前から剣術を学んでいたため、マティアス以上に剣を振れていた。
その後仮想の相手を想定した一人稽古に移行した。そこでもマティアスは剣を横に振ったり、防御したり、なかなかの腕前をみせる。
「マティーは初めてなのにどうしてそんなに剣が扱えるんだ?」
ティーモはマティアスの剣の扱いの上手さに驚いていた。
「それは夢の中で訓練していたから。剣術スキルを覚えているしね。剣術をブーストする装備をしたらもっと強くなるよ」
「はい?」
ティーモはマティアスの言っていることが理解出来なかった。するとマティアスは大量の飾り羽が付いた鎧を取り出した。どうみても大人用の鎧だが装着すると自動で鎧のサイズがマティアスにフィットした。剣も別のものに持ち替え、一人稽古を再開した。
鎧を着ているから本来なら多少なりとも動作が遅くなるはずであるが、とても重さを感じさせるい動きではなかった。そして先ほど以上に剣をしっかりと振ることが出来ていた。
「なんで鎧の大きさが? 剣筋すごっ!」
ニコラスはただただ驚くしかなかった。
「鎧と剣は剣術スキル+1の効果があるから、これと同じ装備ならお金で買えるから兵士全員に渡すことは可能だよ。ただこれ以上の装備になると、お金では買えなくて、数個なら用意できるけど全員分は難しいな。鎧の大きさ? ああ、鎧には自動でサイズが変わる機能が付いているから安心して。
あっこれ兄さんにあげるね。剣術スキル+3あるから」
マティアスは剣術スキル+3が付いている片手剣を取り出してニコラスに渡す。
「あっありがとう。剣術スキル+3?」
ニコラスは貰った剣を構えて剣を振るうと、今まで以上に上手く剣が扱えることに直ぐに気がついた。
「なんじゃこりゃ! どうなっているの?」
「だから剣術スキル+3の効果があるから、大事に使ってね」
「こんなの貰えないよ!」
ニコラスは効果に驚いて返そうとするが、マティアスにまぁまぁとなだめられて無理やり持たされていた。
「じゃウルマー対戦しよ」
マティアスの発言にウルマーはティーモに視線を向けると、ティーモが頷いたので承諾して試合が始まる。どちらの攻撃も相手の体には届かず、何十回と激しく叩き合っていると木刀が折れ、折れた先端がマティアスの顔面に激しくぶつかった。
「「マティー!!」」「「「「「「マティアス様!!」」」」」」
皆がマティアスの心配し声を上げた。マティアスの顔には赤い痕が付いている。
「大丈夫だよ大したことない。HPが3減ったくらいだから」
「HPが3? 何を言っているか分からないがハンナに治癒魔法を、いや傷薬を使うか?」
「父さん大げさだよ。こんなの一晩寝れば治っちゃうくらいだから。傷薬だって無料じゃないんだよ。あっでも皆は怪我したら直ぐに使ってね。こんなの幾らでも出せるんだから」
マティアスは自分自身のステータスが確認出来るため、たかだかHPが3減った位で傷薬を使うのは無駄だと思っていた。普通の人には相手が負った怪我の具合などは詳細に確認することが出来ないため、心配するのは無理からぬことであった。
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