02-09 砦の復興2
ベシュッツァー 砦のある村の名前
父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)
姓アイヒェンドルフ
原木放り投げてた六人、率先して下に降りて戦った兵士、マティアスの護衛
兵士:アベル
兵士:バメイ
兵士:エアニー アベルの弟、ルイーサの彼氏
兵士:イエーガー 弓が上手い
兵士:ルイーサ バメイの妹、エアニーの彼女
兵士:ウルマー 狼の征服者という二つ名を持つ
石壁がついに完成した。復興作業から約百日が経過していたが、この速度で造ることは本来は不可能であった。マティアスがゲーム内でのログイン時間を増やし、石材を大量購入したことで早期完成にこぎつけていた。
石壁の厚さは一番薄いところで二m、厚いところでは十mほどになっている。大砲を上に置いて発射するためにはそれくらいの余裕代が必要であった。ところどころに塔になっている箇所があり、火薬や弾、矢、投擲槍などの物資を保管している。
石壁と砦の塀の間は幾つかの区域に分けられており、区切り部分も石壁で作られいた。門が破られて中に入られたとしても、即致命的な状況には陥らない見立てであった。石壁の上が歩廊になっているので、歩廊まで上がられた場合は、歩廊を経由して攻められる危険性は残っている。
石壁のあらゆる場所に狭間を設けており、火縄銃の弱点である下方向への射線が通らない件も対策していた。また大砲用の狭間も用意しているため、前回のように大群で攻めてきた場合にはぶどう弾による攻撃が有効に機能するはずであった。
石壁から以前からあった塀までの道もところどころ穴を掘ったり、盛り上げたり、盛り上がった先の穴の中に杭を用意するなどの罠も用意していた。全速力で駆け抜けると自ら死にに行くことになる。
ベシュッツァーでは作業の分業化が進んでいた。色々な作業で効率化が出来ることを経験したことで受け入れられる土壌が醸成された。矢の作製も分業化されて一日に作成出来る本数が増やすことに成功した。とはいえ他の作業も並行しているためこの作業に避ける時間がなく、この村での生産数は少なかった。矢の作製の分業化はアイヒェンドルフ領の他の村にも広めており、他の村での生産量は確実に増えてきていた。
闇の森の伐採も大分進んでおり、約三十七ヘクタールほどの面積で木が伐採された。奥行きが約二百m、横に約千八百五十m、これは東京ドームの約八個分の面積である。人手がもっと割くことが出来れば、もっと広く深く伐採を進められるが、こちらも人手不足がネックとなっている。
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「お前まだ配給されたハムを残していたのか。うまそうに食いやがって」
「そりゃおめ~が後先考えずに喰っちまうからだろ? うめぇ」
「まあまあ、明日の祭りではハムやソーセージ、ビールやワインが出るんだから」
広場で兵士、村人が集まって夕飯を食べていた。村人や兵士たちには労働に対する対価として定期的に追加の食糧配給が行われている。明日は石壁の完成記念および年の暮れの祭りが開かれる予定であった。
「マティアス様は祭りが終わったら、館に戻っちまうんだろ? さみしいよなあ」
「俺達はマティアス様に命を救われたも同然だよな。この砦の防衛のために時間を割いて作業しているけど自分達のためでもあるし、マティアス様の恩には応えていない気がするなあ」
「マティアス様こそ貴族になるのが相応しいんじゃないのか?」
「おい! そりゃどういう意味だ! ティーモ様に不満があるってのか?」
村人の会話に兵士が割り込んで怒ってきた。
「ちがう! ちがいますよ! マティアス様が男爵様になっても良いんじゃないかって思っただけでさあ」
「確かにな、でもマティアス様の事バレたら、王家に取られちまうかも知れないからな。黙ってるしか無いさ、もう会えなくなったら淋しくなっちまう」
「一番活躍したのはマティアス様なのにな」
ティーモが子爵になる話や国中で英雄視されていることは村人達も知っているが、マティアスが評価されない事は面白く思っていなかった。
「でも俺はマティアス様が館に帰られて良かったと思うぜ。よく考えてみろよ、一歳だぜ? それなのに家族から離れて三か月、ずっとこの村のために頑張ってくれてさ。うううう…。寂しかっただろうにぃ、うう」
「おい、バカ泣くなよ。マティアス様が居なくなると思ったら、俺も涙が止まらなくなってきたじゃないか」
「マティアス様、ううう」
皆マティアスが居なくなることに対して、さみしい気持ちを抱いていた。
翌日は朝からお祭りとなり、桶に皮を張った太鼓を叩いたり、木に穴を開けて作った笛を吹いたりして音楽を楽しんだ。音楽が始まれば、それに合わせて歌を歌って踊りも始まる。マティアスが祭りに参加するのは二回目であったが、前回は赤子のふりをしていたので、本格的に参加するのは初めてであった。
「しまったな。こんなことならもっと早く出しとけば良かった。みんなこれ使って」
マティアスはアイテムボックスから様々な楽器を取り出す、弦楽器のリュート、ビウェラ、木管楽器のリコーダー、打楽器のタンバリンが村人達の手に渡った。
「なんかいい音が出るぞ!」
「難しいな」
「でもこれは良いぞ! 楽しい」
弦楽器や木管楽器は演奏方法が難しかったが、タンバリンは直感的に扱うことが出来て大いに盛り上がった。これらの楽器は村に寄贈され大変喜ばれた。
祭りは夜まで続き、その後子供や老人たちは幾つかの家に分散して宿泊し、若者や働き盛りの年齢の者たちは、恋人や夫婦で熱い一夜を過ごした。
「マティアス様! また来て下さいね!」
「「「マティアス様!」」」
村人や兵士総出でマティアスの出立を見送った。涙ぐんでいる者も多かった。
「また来るよ! 元気でね!」
マティアスは手を振って応えた。護衛のアベル達と共にまずは隣村に向かった。ベシュッツァーで護衛を担当していた六人は、配置換えが行われて正式にアベルの警護を担当することになった。
「お前らしっかりと護衛を頼むぞ! 命に変えてもマティアス様を守れよ!」
「分かっている! まかしといて!」
村を守っている兵士から発破を掛けられ、エアニーが調子良く応えていた。
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